今回の症例は、慢性的なひどい偏頭痛に悩まされているという患者さん。
整形外科などの医科を受診するも症状がまったく改善されないため
歯科も一度受診することをすすめられたとのことで当院を受診された。
県外遠方からの来院で、しかも翌月から半年ほど出張で離島にいくとのことで
出張前にこの症状を少しでも緩解させたいと望んでおられた。
受診時、当院で行っている通法の診査により、歯科で対応するべき
病態であるかの鑑別診断を行ったところ、症状と徴候・所見が一致したため
歯科で対応しなければならない症状であることが分かった。
そのため、初診時に症状を取るための処置を行い、次回来院時
症状がとれていることが確認できたら、確定的な処置を行うことを話した。
2回目の来院時、患者さんは、歯科でこんなに早く悩みが解決されるとは
思っていなかったとのことで、症状が全くなくなったと嬉しそうに来院された。
いづれにせよ、原因を解決したのであとは再発しないように処置を行った。
カリエスも数本みられたが、緊急性は低いカリエスのため、患者さんには
出張から戻ったら、居住されている地域に親交のある先生がいたので
その先生に連絡しておくので治療を受けることをすすめ、
当院では2回の通院で重要な問題は解決しておいた。
さて、この様な症例、何が原因で症状が起こっていたかが問題である。
原因に対してどのような診査を行い、対処しなければならないか。
一見、難しいような症例であるが、実はそれほど難しく考えなくても、
理論通りに考え、処置すればよいだけである。
ただこの処置は、簡単な様で実は非常に繊細さが要求される。
顎生理機能を“正しく”理解していれば、
時間を浪費しないで効率よく診査と診断を行うことができる。
ちなみに私は、この症例、矯正治療はする必要はないと考える。
術前術後の写真でいろいろ考えてみてほしい。