リキデンタルオフィス 医療関係者向けブログ

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私の日常臨床 16

2012-03-30 08:03:13 | Weblog
今回の日常臨床編は、普段の私の臨床から1症例をピックアップしたもので、
特に大きなテーマはなし。

右上小臼歯の急化Perと前歯部の審美的な問題が主訴。
審美的問題に対して補綴物で単純にきれいにするのでなく
いろいろ考えて対処しましたが、何を考えたかは想像して
ください。とりあえず毎度ながら、再根治いっぱい、
水平智歯の抜歯、CT、ペリオコントロール、インプラント外科、
といった概要です。

治療直後の写真ではつまらないので、治療後もうすぐ1年後の
メンテ時(24年3月)の写真を術後の写真として提示します。

TMJの問題も、顎位の問題もないケースで、
補綴マテリアルが保険診療のものか自由診療のものかの違いは
患者が決めることなので、そんなことは論議するとこでもないが、
だいたいの普段の臨床はこんな感じの流れです。

にんげん

2012-03-17 21:17:18 | Weblog
“にんげん” 小学生のころの道徳の時間にこんなテキストがあった。
今の学校にもあるのだろうか。 今回は 道徳についての独り言だ。

今朝の新聞で、現在の日本での暴走族グループは統計によると
80年代ピーク時の3分の1に減少しているという記事があった。
急速に減った理由として、厳しい処罰になったこと、改造するだけの費用が
捻出できないといった理由の他に、厳しい上下関係が嫌という理由もあるとのこと。
そして昔みたいに特攻服で統一された集団でなく、普段着で、しかも
仲のよい友だちと走る感覚でいる傾向が現代暴走族の姿と書かれていた。

一見、この記事は世間では不良とされてるグループが無くなっていることを
賛美するような話に見えるが、 正直私にとっては、このような世界にまで
現代人の風潮が波及しているのかと、これからの社会にいささかの不安をもってしまう。

この意味が どういうことか・・・

世間でいう一般社会の道徳に馴染めない連中はいわゆるアウトローな者とされているが、
ひと昔前では、そのような者たちが、反社会的な行動をすることに憧れやカッコよさを
求めて、暴走族や愚連隊などを結成したのである。
バイクを改造するにも先立つ費用が必要なら、そのために懸命に働いて稼ぐ。
そして彼らの世界には彼らの規律があり、仲間内での上下関係であり、協調性であり、
統率性である。そして暴力の中で生きることで、身体的な痛みや、精神的な仁義を身を
もって学んでいく。そしてグループを引退する時には、気づけば、落ち着いた優しさを
もつ人格者となった者が多い。

上下関係の規律がいや、同じ服を着るのが恥ずかしい、めんどくさい。
現代社会における若者を象徴した理由ではなかろうか。
叱られればすぐ拗ねる。辛いことや疲れることに簡単に背を向け、
忍耐・我慢といったことが、本来の真意とかけ離れたものになってしまう。
上下関係の規律や道徳というものがちゃんとわからないものに、
相手を敬うこと、ねぎらうこと、慈しむこと、等がどのようにできるであろうか。 
一体いつから実直さがみっともない、めんどくさいことになり、
だらしなさが当たり前のようになってしまったのだろう
道義道徳というものはどのようにどこで皆、学べばよいのだろう。。。

『誰も自分に指摘や注意しないから気づかない』…じゃない。
周囲は優しいから言わないのでなく、関係ない人、そこまでいう義理がない人、
どうでもよい人、指摘するとトラブルになるから、という理由がほとんどである。
このような考えをもった人達があふれかえった社会を想像してもらいたい。。。

“自分だけがよかれ主義”“自分のことしか考えない”の者が多くをしめる未来の日本国像を考えたとき、
タメ口社会、クレーマー社会、暴力を見て見ぬふり社会、人の心の痛みを理解できない社会は
おろか、日本の伝統格式といった国體までをも揺るがす事態ではないかと危惧してやまない私である。

この話、意味が理解できない人がいたとしても せめて
私が暴走族の減少を嘆いていると思わないでほしいと思う・・・

菅原研鑽日誌 3月編

2012-03-10 08:56:17 | Weblog
この研鑽日誌 すっかりご無沙汰だったが
正直に申し上げて、まったく忘れていた。。。

ここ数箇月、彼に言っている小言を今回のテーマにしよう。
それは、『~さしていただきます』の臨床

巷で当たり前のようになっている歯科医院での応対マナー、、
『○○様、お痛みはございますか?』
『お口の中を見さして戴きます』
『お口をあけてください。失礼します』 …
これって医療なのだろうか。

社会における会話のマナーの話であるが、
日本語文法でいう謙遜語、尊敬語というものの捉え方が
医療現場において間違っているように思える。 
美容歯科系でいうホワイトニングや、PMTCなどを
希望する人(このような希望でくる人は患者とはいわない)
 に対してはこのような応対でもよいと思うが、
患者と定義される人たちは、そんな対応を目的としていないことを
考えるべきである。
私はスガが患者に『~さしていただきます。』と言った言葉を話すたんび、
「そんな言い方を話すことより、手技で己の尊厳と愛情を注げ!」といつも叱る。

周囲の歯科医は私のことを、
『先生が今学生だったらOSCE(オスキー)の試験絶対落ちる!』って冷かすが、
逆に私がオスキーの教育をする立場にあったら医療倫理について
改革したいものである。

『○○様、~さしていただきます』の臨床
私にしてみれば、臨床歯科医が知識と技術をごまかすための
ツールとしか思えないのが本音である。

基礎を大切に

2012-03-04 13:10:43 | Weblog
今回のテーマは無歯顎の欠損補綴について。

昨今インプラント補綴が注目される中、
インプラントと義歯を絡めた欠損補綴というものも
多く取り入れられるようになってきた。
しかし中には無歯顎の顎堤に6本近くのインプラントを植立し、
オーバーデンチャータイプの治療を行なっているという
意味のわからないものもたまに見かける。
設計がどうこう、インプラントによる義歯の安定どうこうより
患者に無駄に費用をかけさしていることに疑問をいだくが、
インプラントを覚えた歯科医はどうもインプラントに依存する傾向がつよい。

無歯顎への補綴治療、通常なら総義歯治療であるが、
結構みな総義歯治療に手をこまねいているのが実情である。
総義歯への治療にはいくつかの流派がこうすればうまくいく、
このコンセプトがよい、etcといっているが、私はそんなもの興味ない。
よくよく考えてもらいたい。学生のころ、授業で習った手順と臨床において、
確実なステップと手技で十分機能する義歯は作れるものだ。
良い義歯の結果というものは、完成したての義歯を口腔内に
いれた時点では評価出来る訳がない。 それを患者が継続的に日常生活で使ってみて、
快適に食事ができ、快適に会話できていることで初めて評価できるのである。

今回、当院で保険診療で作成した総義歯の3ヶ月後のリコールの時に
撮影した動画を提示しよう。
ライオンのデイアップという噛むトレーニングをするための硬めのガムを
噛んでもらっている動画である。(患者にはY-tubeにアップすることを承諾済)

ここクリック★24年1月撮影・総義歯 噛むメンテ★

保険総義歯でも全然問題ないのである。自由診療で金属床にするか
人工歯を良いものにするか、レジン床をリアルなガムタイプにするかは
このような機能的なことが達成できなければ、全く意味がない!!

無歯顎症例に対してインプラント治療を考えるのは、患者の当初からの要望か
どうしようもないくらい難症例のときに考えるものである。
こんなことばっかしてたら儲からない、と思うかもしれない
 (、、でもほんと収入は増えない…(悲)) が、地域医療に貢献することを
うたい文句に医院を構えているなら、基礎的な技術をおろそかにしてはなりませぬ。