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私の日常臨床 33

2018-03-27 11:20:39 | Weblog
今回は顎機能障害症例を動画で紹介しよう。
症例は左耳部の鈍痛と開口運動時の運動痛が主訴。
就寝中も耳周辺の痛みで起きてしまうとのこと。

問診から原因は歯科領域にあると判断し、
診査したところ咬合に問題があることがわかったため咬合調整を行った。
調整後、症状はすぐに軽快される。

一般的に機能障害において咬合調整はすぐに行うべきでないとされているが、
患者の苦痛と悩みに対して、明確に原因が見えているものに対しては
処置をするべきであろう。
ただ、この調整の行い方は単に、早期接触や咬頭干渉を調整すればよい、
というものではなく、また、見様見まねでできるようなものではない。
踏み込んだ思慮での調整が必要であることを述べておく。

このような事例に対しては、重軽症度にもよるが、
レントゲン、模型診査などの資料収集を行い
治療計画などを練っても、時間の無駄な場合がある。
なぜなら、その期間中も患者の苦痛は変わらない。
また、我々にとって軽度の問題であっても、患者にとっては重度の症状の場合もある。
病態の所見を診査時にみて、問題の程度の判断を行い、軽度の問題とされるなら
即時に対処してあげるべきだろう。

この症例、咬合調整だけで終わりである。

動画
 ↓
顎機能障害症例

2018年3月10、11日 BADS矯正セッションとPGI名古屋特別例会

2018-03-12 08:06:32 | Weblog
先週末も勉強会がダブルブッキング。
バドの矯正セッションが土日に行われ、
サウナに行くときでもネクタイとスーツをまとうジェントルマンこと、
東京の野寺義典先生により矯正治療の勉強会が行われた。
今期の参加者はやたら熱心な先生ばかりなので
矯正の講義だけでなく、実習においても質疑が絶えない状況であった。

そして日曜日は別会場で、当スタディーグループの顧問・西川洋二先生による
総義歯補綴治療の勉強会が行われた。講義の要旨はここでは明記しないが
西川先生の総義歯臨床の理論を拝聴した先生方にとっては、
非常に参考になる内容が多かったのではなかろうかと考える。

また、特別例会では、毎年恒例の昨年春と秋に行われた例会における症例発表者のアワード授与式もあった。
当会の例会会員発表において、公平かつ厳正な審査のもと表彰されるプレゼンの評価基準で、
もっとも重要視されていることは、臨床への取り組みがいかに一生懸命考えられ、
治療を行った内容を正直にまとめたスライド構成か、である。
その結果、平成29年度の最優秀賞を受賞したのは、飯塚慎也先生であった。
彼は2回目の最優秀賞の受賞だが、彼のプレゼンは、努力がひしひしと伝わってくる内容である。
本当に深く考え、一生懸命取り組む臨床の手本としてはピカ一ではなかろうか。
同世代の先生方は、彼のようなプレゼンに深く関心をもつべきである。
当会はとにかく地味で実直な歯科医の集まりでいたい。
それゆえ、名前をうりたいばっかりの者や、礼節、道義の意味が理解できない者は、
当会(私や親分)のスタンスを煙たがり、知りたい知識だけはもっていったあと、
自然と当会から離れていく。(やめてもらった人もいるが)

ちなみに、全般的な歯科界(海外を含む)を大局的にみて、我々は
患者が大金を使っているであろう派手な治療内容、ひいてはかっこよく仕上げているようなプレゼンに魅了されることより
我々臨床家にとって身近な事例を用い、踏み込んだ思慮の中、どう治療したかを一生懸命伝えようとしているプレゼン内容に
多くの歯科医が関心を持つことによって、歯科臨床の学術における表現の方向性が変わってくるのでは、と思う今日この頃。。。


平成29年度の会員発表
最優秀賞:名古屋市西区開業 飯塚慎也先生
優秀賞1:西尾市開業 三矢雄大先生
優秀賞2:一宮市開業 前岡遼馬先生
優秀賞3:名古屋市西区開業 舟橋伸也先生

パナデント咬合器

2018-03-08 08:03:26 | Weblog
半調節性咬合器にはいろいろな種類があり
私も4種類もっているが、ここ何年かはカボとパナデントしか使用していない。
ハノーやディナーはもう10年近く、まったく使用していない。(ヤフオクにだそうかな)

そのような中、近年、咬合診断系において臨床ではパナデントの有用性が見直され
パナデント咬合器に移行する臨床家が多くなっている感がある。
このDrLeeによって開発されたパナデント咬合器は、
PGIの始祖である寿谷先生によって改良されたPGI仕様のパナデント咬合器がある。
何がどう標準のパナデント咬合器と違うかは、簡単にいえば、
咬合診断、セットアップモデル、補綴などを行う際、非常に有用性が高くなっている。
特に補綴物作成時、技工士にとっては、嬉しい情報を組み込むことができるようになっている。

ただ、このPGI仕様のパナデント咬合器は
PGIの関係者でも使いこなすことができる歯科医は、それほど多くはない。
この仕様の意義を反映した臨床数を何症例かはこなす必要があるからである。
付け加えてPGI仕様のこの咬合器で、この仕様を使いこなすには
咬合器だけでなく、他のパナデント関連の器材、パラマウントの器材や
他にも数点そろえた方がよいものがある。
そのため、東海地方でPGI仕様の咬合器を松風(株)で購入しようとすると
メーカーが私にPGI名古屋のメンバーであるかきいてくることがある。。。

昨日、親分から連絡があり、3月11日の親分の総義歯治療の講義の中で
このPGI仕様咬合器と関連器材の有用性についてデモも行いたいから
当日、私の医院から主だった器材を持ってくるように指示をうけた。
1時間ほど診断系のデモが入ることになる。
総義歯治療におけるある点について重要な意味をもつ、本会でもなかなか
きけない話であり、親分はまったく新しいスライドを名古屋の会員のために
作ってくれているとのことである。
参加者のみなさん、前日はしっかり睡眠をとって、
当日は頭すっきりして遅刻しないようにしてください。



総義歯補綴から思うこと

2018-03-04 20:40:49 | Weblog
無歯顎の治療における総義歯治療は難易度の高い咬合治療といわれている。
そのため色々な理論が提唱されて、多くの研修会が行われている。
また、無歯顎補綴で義歯のみでは機能性安定性が乏しいとされる場合、インプラントを併用したIODや
BAFB、A4などの治療法が紹介されているが、結構臨床では機能的な面だけで考えると
顎口腔機能回復を考えた治療を適切に行えば、普通にIODすら必要ない症例が多くあると考える。

私の20年以上の臨床経験では、保存修復、エンド、口腔外科、補綴、これらの分野において、
大学の授業で習った手技を忠実に守りながら行った臨床を見直してみると、
予後がよくないという経過の症例があったという経験がない、、たぶん、、
そのため学会や勉強会、研修会に行かなければ『よい治療ができないかも』という考えをもつ前に
基本を見つめ直し、学校で習った学術を『まずは丁寧に実践してみてはいかがなものか』と思う次第。

提示している写真は総義歯であるが、これらも通法通りに筋圧形成し、印象を行い、
義歯のことをよくわかっている技工士に総義歯を作成してもらうと、
保険治療でも十分に機能しているという症例群のごく一部である。
提示している写真を含め、欠損補綴における義歯補綴治療の治療ステップや予後などについては
BADSで私は提示と解説をしているので、メンバーは知っていると思う。

ちなみに保険外診療の総義歯において、金属床の設計が適切でないものが多くみられる。
また、義歯では食事が味気ない、おいしくないという主訴の患者がたまにいるが
確かにこの点はある理由があってそのようになるのだが、ある点に対して義歯にちょっとした
配慮をすればある程度は改善できることも忘れてはならない。

保険外診療でないとしっかり作れない、良い結果がだせない、という事例はそんなに多くないと思う。
保険診療、自費診療の違いは何かを問われたら、
ほとんどの場合、材質の違いによる快適性が大きな違いであると私は考える。

3月11日 PGI名古屋の例会にて、我らの親分・西川洋二先生にお越しいただき
総義歯治療について講演していただける。
大学で習う基礎となる概念の臨床への意義と、総義歯学における重要な観点を交え
どのように総義歯治療を行っていくかを6時間たっぷり解説してくださる。
我が親分の症例はほとんどが保険診療中心で、良好な予後ばかりなので、
臨床医向きの講演が楽しみである。

追伸
こないだのオフの日といっていた日の夜、地区の歯科医師会の会合があったことを
完全に失念していたことに翌日気づいた。。。 ごめんなさい