
親知らずの抜歯というものは、術後に腫れてとても痛いイメージが多い。
特に下顎の横にはえている親知らず(智歯)は抜歯するとき
術式の外科的侵襲が大きくなるため、術後はとても痛い。
私自身も水平埋伏智歯を1時間ぐらいかけて抜歯してもらったことがあり、
しかも術後ドライソケットになり、数週間痛みに苦しんだ経験がある。
それゆえ、智歯の抜歯を要する患者に対しては、
術後の痛みがどんなものか理解できるため、
出来る限り処置時間は短く、外科的侵襲を少なくするように心がけている。
例えば提示している症例
この程度であれば、歯肉切開、フラップなど開けず
この状態のまま抜歯した。処置時間は18分であった。
この手法で抜歯すれば、術後の腫れは殆どなく、痛みも少ない。
今までの私の臨床で、同様の事例はすべて腫れはなかった臨床実感でも
この処置法は有意性が高いと思う。思いやりのある抜歯術式である。
水平に萌出している智歯は、上位にある場合は半埋伏の状態である。
一般的に臨床では、この様な状態の智歯でも抜歯時は歯肉切開を行い
全層弁フラップ下で抜歯処置を行う。そのため処置時間は
必然的に30分以上はかかってしまうだろう。
術後の腫れの程度と痛みの度合いは、処置時間と侵襲エリアの範囲に比例する。
ゆえ、・フラップをなるべく大きく開けない ・手際よく処置する ことが
臨床では何より優先することと考える。
ちなみにこの症例、右下の水平埋伏も抜歯したが
さすがにフラップを開けて抜歯した。
当然、腫れて数日痛みに悩まされたとのこと…