ほぼ日刊、土と炎、猫と煙突

白く燃え尽きた灰の奥深く、ダイアモンドは横たわる。

「無一文」の由来

2005年04月23日 00時51分51秒 | 古い日記
今日も、俺が代打だとよ。

じゃあ、暫く付き合ってもらおうか。

昨夜は、昭和の「貧しい時代」の話をしたな。
今夜は、昭和の「最盛期」の頃を語ろうか。
いわゆる「バブルの時代」ってヤツよ。

建築、土建業界っていう所は、おそらく最も景気の影響を受けやすいんだな。

そうそう...
○○興業の社長なんか、いつも新品のローレックスの腕時計していて...。
飲みに行く先々で、毎回、失くしてくる。それでも、探したりなんかしなかった。
その度にもっといい時計を買うんだ。自動車が買えるくらいの値段でな。

まあ、上の人間のバカバカしい贅沢なんか書いていたらキリが無いけど、
あの頃は、バカでもチョンでも、金が手に入った。

何しろ、建設ラッシュでな。
東京に行けば、「トンカチ持って、釘打てる。」
それで誰でも日当2万4千円だった。技能のある奴は、その倍って所だ。

この辺の大工の下っ端なんか、皆、出稼ぎに行っちまったよ。
何しろ、半年も働けば、こっちの年収くらいは稼げるんだから、当然さね。
いやあ、本当、あの頃は地元で人手を集めるのには苦労したよ。

そんな世の中だから、3Kの職業も大変さ。

ヤクザなんかも求人難になっちゃってさあ。
地方の小さな組なんて、バイトを雇っていたよ。

バイトったって、そんな暴力沙汰はやらせないんだけどね。
例えば、襲名披露式とか、そういう義理事にな。
自分の組だけ、人数が揃わないと、カッコ付かないだろ?
そんな時にだけ、臨時に人を雇ったりしたもんさ。ハハ。

株?株も儲かったねえ。よく的中したよ。
何しろ、俺が買ってた株は大抵上がったね。

え?「当時は、ほとんどの株が上がった」って?
そりゃそうだ。銘柄の予想もヘチマもイカの頭も無かったよ。ハハ。

それにもう少し早く気が付いてりゃ、今頃は億の資産が残せていたねえ。

総括すると、あの頃は...。

「土地の値段や人件費が上がった」と言うより、
金(かね)の価値が極端に下がったんだ。
当時、100円で買えたもんなんて、子供の菓子くらいだよ。

逆に今は、
「土地の値段や人件費が下がった」と言うより、
金の価値が段々と上がってきているんだな。

100円ショップに行く度に、俺はそう思うけどね。

そうそう。○○興業の社長、今何やってるか知ってる?
夜逃げから帰ってきて、○○市で「焼鳥屋」はじめたんだ。
店の名前が「無一文」だとよ。そりゃ、借金鳥も逃げ出すわな。

嘘じゃねえ。いずれ写真をアップしてやっからよ。
楽しみに待ってろや。