ほぼ日刊、土と炎、猫と煙突

白く燃え尽きた灰の奥深く、ダイアモンドは横たわる。

青い時代は過ぎて……

2008年12月31日 20時32分00秒 | フィクション
「じゃあ、今年一年を総括してM部長から」
「今は部長じゃねえ。退職したし。来年から”ハゲかわのM”とでも呼んでくれ」
「……? では顧問のMさんから今年一年を振り返って」
「いやあ、酷いもんだね。俺も管理職から一転。現場の労働者だ」
「でも、怪我の巧妙というか。すっかりメタボが解消したじゃねえか」
「それはいいけど。着られる服がねえんだよ」
「若いヤツみたいにダボっとした格好すればいいじゃねえか」
「ダメだ。俺、ああいう服、悲惨なまでに似合わない」
「確かに。”貧相な死神”か”他人の服拾って着てるホームレス”に見えるよな」
「減ったのは体重だけじゃねえよ。頭もだ」
「いっそ、坊主頭にしてみるとか」
「ホンモノの職人さんだったらいいけどな。社会的に無理がある」
「うーん。一昔前に流行った”チョイ悪男”風にしてみたらどうだ?」
「お前等、俺がラティーノか何かと勘違いしているんじゃねえか?」

「……」
「やっぱり、俺らは”憧れる対象”を間違えていたと思うんだ」
「うん。今になるとそう感じるよな」
「古典的な日本のオヤジ像も完全に崩壊したし……」
「いや。今こそ日本のオヤジ文化復権の時だ」
「で、何? それが”ハゲかわ”なの?」

「そうだ」
「無理あるなあ」
「お前等、哀愁漂う日本のオジサンの魅力がわかねえのか?」
「いや、あんまり、わかりたくないけど」
家でも会社でも相手にされねえ男の悲哀がわからねえのか?」
「そう言えばさあ。アンタ、老後の資産運用失敗したんだって?」
「ああ。やっちまったさぁ」
「やっちまったって、どのくらい?」
「株の含み損で追証かかって。頼みの綱の退職金までつぎ込んで」
「全部?」
「スッテンテンさ。だから死ぬまで働くしかねえって事だよ」
「けどさあ。だからって……」
「だって。だってよお…シクシク」
「?」
「他に――目指すトコなんか――もうどこにもねえじゃねえかよ」
「……」

……忘年会や新年会。隣でこういう会話をしているのを聞いたら、
そ知らぬフリをしていた方がいいぞ。

悲しみジョニー



君は……孤独(一人)じゃないさ。

2008年12月30日 01時36分44秒 | 古い日記
いつに無く、真顔でひょうちゃんは言う。

「あの。RESANDOさんなら、”わかってくれる”と思うんだけど……」
「何だ?」
「他に話を聞いてくれる大人がいなくてさあ」
「パパやママもか?」
「うん。こういう話、貴方にしか出来ないし」
(コヤツ……)
”耳に4つピアスを付けた彼氏”が出来た所までは知っているが、
一体、何やらかしたんだ?
「実は私、T県の県警に……」

県警?
「よ、呼ばれたのか?」
「ううん。違う。でも聴いて欲しいの」
「?」
「これ↓」







振り込め詐欺防止ソング。(製作:T県警)
バナーをクリックすると聴けます。

「どう? この曲?」
「うん。なかなか。俺のツボだな」
イントロのシャンシャン言う鈴と、サンタナ崩れみたいなギター。
打ち込みじゃなくてちゃんと楽器を演奏してるし。
「でしょ?」
「言いたい事は良くわかったよ」
「ヤッパリ! 喜んでくれると思った!」

今後、”パパやママに言えない事”が出来たら、
報告するそうだが……

俺ってそういう”大人”でいいのか?

ペット税

2008年12月28日 23時55分37秒 | 時事メモ
無責任な飼い主減らせ、自民議連が「ペット税」導入論
12月28日3時14分配信 読売新聞

読売新聞

 自民党の動物愛護管理推進議員連盟(会長=鳩山総務相)は、
犬や猫などの飼い主に課税する「ペット税」の導入に向けた議論を近く開始する。

 動物を飼ってもすぐに捨ててしまう飼い主を減らし、
ペットを取り巻く環境改善につなげる狙いがある。
議連では、ペットを購入する際に一定額の税金を全国一律で課すことを想定している。

 近年、ペットの飼い主が「飼うのに飽きた」などといった安易な理由で、
ペットを捨てるケースが増えている。
2006年度末時点で全国の自治体に引き取られた約37万4000匹の91%が殺処分され、社会問題化している。

 環境省はペットの引き取り数を17年度末までに約21万匹に抑える方針を打ち出しているが、財政難にあえぐ自治体は十分な対策を講じる余裕がないのが現状だ。この自治体の対策費の不足分を補う財源として、ペット税が浮上した。

 ペット税の税収は、〈1〉ペットと飼い主の特定につながる鑑札や体内埋蔵型マイクロチップの普及〈2〉自治体が運営する動物収容施設の収容期間を延長するための運営費〈3〉マナー向上の啓発運動費用--などに充てる方向だ。

 議連では、「ペット税導入には、動物愛護団体からも前向きな声が寄せられている。飼い主ばかりではなく、ペット業者にも『大きく育ち過ぎたから処分してほしい』といったモラルの低下が見られるという。新税導入で殺処分減少に効果があるかどうか、検討したい」としている。

以上、記録までに。


見たよ

2008年12月27日 23時26分17秒 | 古い日記
NHK あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑
を見る。

題名からして当然だが、主役は息子の方だった。

花き農家 長谷○康平 クリスマスを華やかに→ここをクリック

おれと俺と少年ジャンプを取り合っていた、あのコーヘイ君が、ねえ。
随分と立派な事を…



思い出すなあ。その昔、
彼のお父さんから頼まれた事がある。
「ヤツの勉強を見てやってくれ」

さっそく、俺はコーヘイ君に尋ねた。
「何でもいい。最近のテストを見せてくれ」
「うん」
実に素直だ。
彼は恥ずかしがりもせず、100点満点中、40点の国語のテストを持ってきた。
(うーん)
思わず唸った。漢字の間違い等はいいとして。

見逃せなかったのは以下の文章問題だ。

遠足:
今日は学校の遠足でした。
(中略)
川の水は日の光を受けてキラキラと輝き……
(後略)

と言う様な作文に対して、以下のような設問があった。

問:
川の水が綺麗な事は、文中、どのように表現されていましたか?

コーヘイ君の答え:

ゴミを捨てないから

「いくら何でも、この答えはないだろう?」
「え? なんで?」
「質問の答えになっていない。てか、これはヌケ作先生のボケだ。」
「でも、言ってる事は正しいっぺよ~」
「ま、まあ、そうだけどね」
「誰が考えたってわかるべ? 」
「何を?」
「川にゴミ捨てたら、良くねえよ」
「う~ん」
「魚が死ぬべ?」
いかに学業に秀でていても、
そういう”基本”を知らない人が多すぎる。
現に、当時の北茨城市では川に直接流す生活排水が酷かった。
川を美辞麗句で表現した所で、それが何になる?
勉強などそっちのけで野山に親しみ、
汚染に気付いていたコーヘイ君の観察力の方が評価されてもいい。
「確かに、なあ」
「じゃあ、あってるっぺよ」
「いや、そういう問題じゃなくてね……」

結局、俺は彼の考えを正す事はできなかった。
否。”正す”などという不遜な態度がおこがましい。
そう思わされる程、彼は直球ド真ん中のアホ「真っ直ぐ」だった。

その後。

「どうだった?」
「学業の方は期待できません。けど……」
「けど?」
「あれはあれで”良い”と思います」
「何で?」
「勘だけど。いずれ、茨城のシクラメンを担う男になります」

けど、勘違いしないで欲しい。

これは
「俺の先見の明がいかに優れているか?」
を如実に表す、エピソードであって……
彼に対する賛辞では無い。

あ、まさか? アイツ、このブログ見てないよな?
検索されたらヤバいから、一部伏字にしておこう。



正直者の彼が丹精込めて作ったシクラメンは→ここをクリック

プレゼンター(4)

2008年12月26日 23時53分24秒 | 古い日記
前回まで→ここをクリック

「ええ~では。美術館前地下道
 ――に設置する絵陶板と言うか絵タイル――ですね。
 それについて。こちらで御用意した原案の方を説明させて頂きます」
型通りの挨拶を済ませると、K君は怪しげな言葉使いで、話始めた。
やはり、ちょっと緊張しているんだろう。
「あ、K君。その前に俺の方から」
「え? 何ですか?」
「スマンが、先にやらせてくれ」
「何を?」
「アレだよ」
「ハァ?」
「だから例のヤツ」
「……べ、別に、いいですけど?」


余計に動揺させてしまったようだ。
まあ、無理も無い。昨日の打ち合わせでは……

「いいんじゃないの? 最初の案としては」
俺は主に彼の作った「代案」をそう評価した。

1:モンドリアン風の抽象画的デザイン
2:あえてモノクロームで表現したミケランジェロ風壁画
3:ベタだけど地域の名所、旧跡。

その他、本命~対抗~穴馬まで数点。

一応、もっともらしい解説と地下道の写真にはめ込んだ画像。
地下道入り口から見た様子もCGを使って表現してみた。

「悪くないね」
「そうですか。良かった」
「が、これは切り口だ。ここから先、いかに具体性を付けていくか? だよ」
「まあ、御役所が相手ですからね」
「その通り。個人の案より、皆の意見を尊重するだろうから。
 玉虫色と言うか――万事、フレキシブルに対応できるようにな」
「じゃあ、順番はどうします?」
「今の発表順でいいよ」
「で、問題の社長案は?」
プレゼンのシュミレーションとして、俺がやってみたが、
K君は途中で吹き出してしまった。
これはヤバい。つられて俺まで笑ってしまう。
「うーん。最後にしよう」
「かえって言いづらくないっすか?」
「いや、参考までに”追加”って形で。
 『まあ、社内ではこういった意見もありました(笑)』
 みたいな感じで」
「なるほどねえ。卑怯なまでの処世術ですね」
「うん。あくまでさりげなく。さりげな~く切り出すから」
「いっそ、そのままさりげなくオシマイにした方が……」
「それはマズいよ。後で社長にしつこく訊かれるぜ」
「『イチゴとトマトはどうでしたか?』って?」
「そうだよ。あの人、役所にコネもあるしバレるよ」
「確かに。言わなかったら言わなかったで困った事になるでしょうね」
「そんなに自信があるのなら、自分で言えばいいのになあ」
「ヘヘ。社長がやる訳ないじゃないですか」
スベッた時の恥ずかしさだけは、誰かに押し付けたいらしい。
「じゃあ、そういう事で」
「了解しました」

この事は今朝も確認した筈である。
……ところが、本番になって俺は脚本を無視し、暴走し始めた。
それは場当たり的な行動か?何か計算あっての事だったのか?
正直、今でも良くわからない。

「まず、私から。テーマは『イチゴとトマトの織姫物語』です」

<続く>

プレゼンター(3)

2008年12月24日 23時32分54秒 | 古い日記
前回まで→ここをクリック

数日後。慣れないスーツを着た俺達は、
弱小地方都市の市役所にしては瀟洒な建物のエレベーターの中にいた。
「しかし、まあ、よくやる気になりましたねえ」
自分の意見をゴリ押しした社長を除けば、
原因を作った主犯格なのに、
まるで他人事のように言うK君の言葉には答えず、俺は訊き返す。
「なあ。芥川龍之介の”地獄変”って知っているか?」
「確か、高校の国語の教科書に載っていたような」
「いや、高校は羅生門」
「そうですか」
「普通、中一で杜子春、地獄変は中三だよ」
「はあ」
「まあ、そんな事はいい。芥川の”地獄変”は……」

時は平安時代末期。偏屈で天才的な絵師が出てくる。
いや”天才”は附帯でだだの変態絵描きだったかも知れないが、
その辺の人物像はどう描写されていたか? 忘れた。

ともかく彼は、これまた常人離れした殿様だか将軍様に
「地獄絵図を描いてくれ」
と依頼される。
が、絵師は「自分の心の中に無い物は描けない」と言って、一端は断った。

「ああ。そうでしたっけ?」
「次に将軍様は『では、どうすれば描ける?』と問う訳だよ」
「なんか。誰かの台詞みたいですねえ」
「絵師の答えはこうだ。『人が焼け死ぬ所を見たい』」
「ああ。思い出した。で、実際に誰かが焼かれるんでしたっけ?」
「そう。将軍様の計らいによって希望が叶った絵師が目にしたのは――
 よりによって自分の娘が火刑に処せられる姿さ」

「……で、それ。今の状況とどういう関係があるんすか?」
「まあ、聞け。結局、絵師は絵を完成させるんだ」
「愛娘が焼け死ぬ姿を見て、ですか?」
「そうだとも。最後には人間としての理性より、
 絵師としてのプロ根性が勝ったんだ。で、この小説のテーマがわかるか?」
「俺には単なる猟奇趣味にしか思えませんね」
「いや、芥川が言いたかったのは人間の”業”というヤツさ」
「ごう?」
「性(さが)と言ってもいいかな。それが我が身を滅ぼすとわかっていても、
 それ無しには生きられない――人は誰もそんな側面を背負って生きている」
「な、何が言いたいですか?」
「俺は絵描きじゃないし、他のいかなる芸術家でもない。けど……」
「けど?」
「なんか、俺、ちょっと楽しくなってきたんだ」
「ハァ?」
「考えてもみろよ。この危機を乗り越えた後、
 その事をネタにして、他人に面白おかしく話す時の事をさ」
「……チン!」
K君が怪訝な顔をすると同時に、エレベーターのドアが開く。
目指す市街地整備課はすぐ目の前だ。

<続く>

プレゼンター(2)

2008年12月22日 22時49分26秒 | フィクション
前回まで→ここをクリック

話を整理しよう。

新しく出来た市民美術館前の地下道。
そこの出入り口にレリーフか絵タイルを設置する
スペースが予定されていたが……
「どんなテーマで何を作るのか?」
役所では誰も決められず、
業者である我々が何か叩き台を提出する予定だった。

しかし……


  +

  +


「これ、『イチゴとトマトの織姫物語』って何すか?」

「うーん。だから特産品と名所を合体させたんじゃないか?」
「ケーキや料理の名前ならまだしも、何故、地下道に?」
「俺に言われても……」
「強引過ぎですよ」
「いや、これは叩き台だからな。あくまで」
「むしろ叩く気が失せますよ」
「かも知れんなあ。で、何か代案は無いのか?」
「代案って、そんなの考える気持ちの余裕がある訳が無いでしょ」
「それじゃあ、話が先に進まねえよ。いいからやれって!」
「出来ません! 今の精神状態じゃ絶対に出来ません!」

大人になってから気付いた事がある。
いちいち理屈っぽくて、
出来ない理由を環境や道具のせいにするヤツの方が、扱いやすい。
その「理由」を一つ一つ潰していけばいいからだ。

「じゃあ、どうすれば『気持ちに余裕』が出来るのかな?」
「まず……」
「まず、何だ?」
K君は暫く考えてからポツリと言った。
「『自分が替わりにやる』って約束して下さいよ」
「何を?」
「社長案のプレゼン」
「お、俺が?」
「そう。例のヤツ。イチゴとトマトの何ちゃらを。御役人さんの前でね」
「ちょ、ちょっと待て!」
「抜本的な解決策はそれしか無いですよ」
「……わかった」
他にもやる事は色々ある。もう、面倒な事は後で考えよう。
とりあえず「その場しのぎ」の約束をする事にした。
「え?」
「いいよ。それはこっちでやるから。とにかく今は黙って仕事してくれ」
「マ、マジですか?」
「任せておけ」
「わかりました。ようやく集中できます」

デザイン担当、と言うお門違いな業務に就かされ、
「止めたければ後任者(生贄)を作る事だ」
と気付いたが――逆にこんな事を言われるようになる、とは。
(――いや)
最初から最後までヤツのシナリオ通りだったのかも知れぬ。
俺との付き合いが長いせいか、彼も段々と悪知恵に長けてきた。
「あー。実に良かった。本当に助かったな」
さっきまでの態度を一変させ、
嬉々としてパソコンに向かうK君の後姿を見て俺はそう思った。

<続く>

プレゼンター(1)

2008年12月22日 00時27分57秒 | 古い日記
プレゼンテーション(Presentation)とは。

情報伝達手段の一種で、聴衆に対して
情報、企画、提案を提示して説明する行為を指す。
略してプレゼンとも呼称される。

「ちょっとK君」
「はい」

何故か? 一人だけ社長室に呼ばれたK君を俺は気にも留めなかった。
(どうせ、年末調整の書類に不備でもあったんだろう)
しかし、帰ってくると――あきらかに様子がおかしい。

「あー」とか、
「イヤだ! イヤだ!」
を念仏のように繰り返している。

「うるさいなあ。さっきから」
K君は元々、営業部だったが、
「子供二科展」に入選した事がある経歴を俺に話したのが運の尽き。
それを俺が大袈裟に周囲に吹聴し、無理矢理、デザイン室に引きずり込んだ。

今、こうして一緒に仕事しているのは、
公共事業の物件が増え、絵陶板のデザイン、企画をする為だ。

作る製品は専ら「文字入り&地方限定の一品物」なので、
俺一人ではまかないきれなくなってきた。


(こんな感じ)

もちろん、デザインされた原画が送られてくる事もあるが。
こっちから提案して公共物件に入れてもらうスタイルが
御役所に好評らしく、東京本社の営業部からは山のように依頼が届いていた。

やれ、
「『下駄の街』のイメージで」
だの、やれ、
「ピーナッツのキャラクターを」
だの。

お陰で日本の地理と特産物には詳しくなった気がするが。

「気が散って仕事が出来ないじゃないか」
「これはパワハラですよ。ああ、イヤだ、イヤだ!」
「何がそんなに『イヤ』なのか? 説明してみろ」
「来週、市役所でプレゼンしなきゃならないんですよ」
「すりゃあ、いいじゃないか」
自分の提案が如何に素晴らしいか――文字通り「自画自賛」する。
いくら恥ずかしくても、それが生業と言える。
「今度の物件は地元なんで『直接、お前が行け』って事なんだろ?」
「ええ。まあ」
「それに君は元々、営業部員だし」
「でもね。さっき社長が”妙案”を出してきたんですよ」
「別にいいだろ?」
ただの「思い付き」に過ぎない曖昧模糊としたモノを、
形ある商品として具体化する――それも俺たちの仕事である。
「発案者が『顧客から社長』になっただけで、やる事は同じだよ」
「へ。案件の内容を知らないから、そんな事言えるんだ」
が、K君は俺の言葉に全く動じず、言い放つ。
「じゃあ、何? その『社長案の内容』って?」
「それが……」

「……それは確かにキツいな」
「でしょ?」
「うん」
後に続く言葉が思い付かなかった。

<続く>

近くへ行きたい(54)

2008年12月20日 20時43分09秒 | 近くへ行きたい
何日か前。この絵(By ドスタール)を見てから、
久しぶりにあの夢を見た。

謎の「青い長方形」が目の前に現れ、
ゆっくり傾斜しながら周囲の風景に呑み込まれるように消えていく。


(ちょっと違うなあ)

さて。俺の場合、歳をとると、どういう訳か?
最近の事は思い出せなくなるのに、
幼少の頃の記憶が鮮明になってくる。

あってもなくても、どうでもいいが……
また、一つ、長い間、潜在意識の中に封じ込められていた
「怪しげな記憶」が蘇ってきた。

あれは――かつて、俺が住んでいた家のすぐ隣だ。
現地に行くと、やはり間違い無い。

もう、名残でしかないが。
かつて、この向こう側には某街工場があった。

江戸時代の長屋みたいな路地文化の中に現れる、
空色の鉄の扉。コンクリート・ブロックで出来た灰色の塀。

両者の中間色みたいな波形トタンの色。

これらの記憶を極端に抽象化すれば↑のドスタールの絵のようになる。

(もっとも、俺はこの絵がどんな理由で描かれたか?
 いや、題名すら知らないが)

えーと。この扉。実際はどうだったかなあ。
鎖がかけてあって、常に施錠された状態だったと思うけど。

角を曲がれば
もう、人が通る事もほとんど無くなったこの路地に入る。
山茶花だか寒椿だか。

路上に散った鮮血のような赤色には驚かされた。

元タイル屋の没作品集

2008年12月16日 22時33分39秒 | 古い日記
他にもクワイとかニンニクとか。

根菜系をシンボライズし、単純なイラストにする。

というのは難しい。が、ある時、気付いた。

(あれをパクろう参考にしよう!)

花鳥風月はもちろん、波や雷や雲まで具象化したデザイン集。

それは……家紋である。


カッコいいけど”特産品のわさび”という趣旨からは外れていた。


ちなみにこれ↑はどっかのフリーサービスが作ってくれたRESANDO家の家紋。

これだったかなあ?→家紋メーカー