何か1つの事を思い出して書くと、連鎖的に別の話を思い出したりするな。
大抵の場合、「忘れていた何か」とは、
「そのまま忘れていた方がマシ」なんだけど。
そんな話に、今夜も暫く付き合ってもらおう。
と、ある日の事だ。
近所で犬の鳴き声がする。かなり執拗に鳴いているので、
俺が外に出てみると、ダッシュで走って逃げていく、
小さな犬の後ろ姿だけが見えた。
俺と同じように、鳴き声に釣られたのだろう。ご近所のご老人も出ていた。
(知らん人だけど)
老人は俺に話しかけてきた。
「あれ、お兄ちゃん(実際はお兄ちゃんという歳でも無かったけど)の犬かい?
違う?ああ、そう。野良犬かね?首輪してなかったようだけど。ああ、そうそう。
ワシんちにも犬が居たんだよ。でもねえ。一歳ちょっとになった時、
居なくなっちまったよ。
え?
『その犬は、豆柴犬みたいな赤犬で、大きさは50センチくらいじゃなかったか?』だって?
そうそう、そうだよ。うん。あれでも成犬だったんだ。」
(何故、その犬の特徴を俺が詳しく知っているのか?
そのご老人は、全く不信に思わないようだった)
「...きっと、誰かに盗まれたんだよねえ。首輪も付けていたのに。
え?そうそう。3年前の、1月だったよ。そうだ。そうだ。」
その誰かと言うのは99%の確率で俺の叔父だ。
非常に、悪い言い方をすれば...
正月に焼き肉をやって手なずけてから、茨城にさらっていった。
もっとも、「宴会に紛れ込んだ迷い犬」の方が、帰ろうとした叔父のパジェロに
勝手に乗り込んで降りようとしなかったので仕方無く...とも言える。
まあ、「どっちもどっち」だ。
が、どちらかと言えば「一番の被害者はこのオジイサンだ」と思った。
「ワシの家か?そこだよ。そこの白い門の家じゃ。(じゃなんて言わなかったな)」
疑う事を知らないそのご老人は、俺の質問に答えて、去って行く。
誰が悪いわけでも無い。(いや、悪いよ)
が、かの老人は今でも犬の鳴き声を聴くと、「帰ってきたのか?」
と反射的に思うに違い無い。(いや、俺の想像だけど)
俺は罪悪感に耐え切れず、手紙を書いた。
「元気に暮らしています。心配しないで下さい。」
(こういう時は、あまり、余計な事は書かない方が無難だ)
その犬の「今現在の写真」もあったので(何故か?数ヶ月前、叔父が持ってきた)
それも添えて、「白い門の家」のポストに投函した。。
(勿論、手紙や写真からは指紋を丁寧にふき取った)
以来、老人とは会っていない。(って言うか、俺が避けている)
*因みに、写真の犬は違うよ。
大抵の場合、「忘れていた何か」とは、
「そのまま忘れていた方がマシ」なんだけど。
そんな話に、今夜も暫く付き合ってもらおう。
と、ある日の事だ。
近所で犬の鳴き声がする。かなり執拗に鳴いているので、
俺が外に出てみると、ダッシュで走って逃げていく、
小さな犬の後ろ姿だけが見えた。
俺と同じように、鳴き声に釣られたのだろう。ご近所のご老人も出ていた。
(知らん人だけど)
老人は俺に話しかけてきた。
「あれ、お兄ちゃん(実際はお兄ちゃんという歳でも無かったけど)の犬かい?
違う?ああ、そう。野良犬かね?首輪してなかったようだけど。ああ、そうそう。
ワシんちにも犬が居たんだよ。でもねえ。一歳ちょっとになった時、
居なくなっちまったよ。
え?
『その犬は、豆柴犬みたいな赤犬で、大きさは50センチくらいじゃなかったか?』だって?
そうそう、そうだよ。うん。あれでも成犬だったんだ。」
(何故、その犬の特徴を俺が詳しく知っているのか?
そのご老人は、全く不信に思わないようだった)
「...きっと、誰かに盗まれたんだよねえ。首輪も付けていたのに。
え?そうそう。3年前の、1月だったよ。そうだ。そうだ。」
その誰かと言うのは99%の確率で俺の叔父だ。
非常に、悪い言い方をすれば...
正月に焼き肉をやって手なずけてから、茨城にさらっていった。
もっとも、「宴会に紛れ込んだ迷い犬」の方が、帰ろうとした叔父のパジェロに
勝手に乗り込んで降りようとしなかったので仕方無く...とも言える。
まあ、「どっちもどっち」だ。
が、どちらかと言えば「一番の被害者はこのオジイサンだ」と思った。
「ワシの家か?そこだよ。そこの白い門の家じゃ。(じゃなんて言わなかったな)」
疑う事を知らないそのご老人は、俺の質問に答えて、去って行く。
誰が悪いわけでも無い。(いや、悪いよ)
が、かの老人は今でも犬の鳴き声を聴くと、「帰ってきたのか?」
と反射的に思うに違い無い。(いや、俺の想像だけど)
俺は罪悪感に耐え切れず、手紙を書いた。
「元気に暮らしています。心配しないで下さい。」
(こういう時は、あまり、余計な事は書かない方が無難だ)
その犬の「今現在の写真」もあったので(何故か?数ヶ月前、叔父が持ってきた)
それも添えて、「白い門の家」のポストに投函した。。
(勿論、手紙や写真からは指紋を丁寧にふき取った)
以来、老人とは会っていない。(って言うか、俺が避けている)
*因みに、写真の犬は違うよ。