ほぼ日刊、土と炎、猫と煙突

白く燃え尽きた灰の奥深く、ダイアモンドは横たわる。

かつてはピンク色だった。

2005年04月09日 23時34分22秒 | 古い日記
想像して欲しい。(写真が無いからな)

そこは、地方都市の一角の、そのまた一角くらいの所だ。

少子化が進み、企業は倒産し、
廃墟と化した街で、忘れさられたような○○町の福祉児童公園...。

錆付いた、遊具施設には縄が掛けられ、「使用禁止」の手書きの看板。
今は滅多にない、タイル貼りの水飲み場。(と言うより、只の流しだな)
ペンキの剥げ落ちたフェンスの向こうに見える、市営団地の壁は灰色。

ひび割れた側溝の上を走る野良猫の尻尾は妙に長く、
近道しよう、と公園を横切るオジサンの足は短い。
(キムジョンイルそっくりだった)

世話をしている人がいるとも思えないが、ここの桜は見事だ。

サクラは...稲作と関係がある。
「苗代桜」と言う言葉があるそうだが、開花時期をもって、
農作業の目安にしていたらしい。

と言うより、稲作を始める頃に花を付ける樹木を「咲くラ」と呼んでおり、
それが今日では「木の種類」を指す言葉になった...と思われる節もある。
(コブシの事を桜と言う時代や地域もあったから)

現在、我々が目にする桜は「ソメイヨシノ」と言う品種で、江戸時代に生まれた。(らしい)

「市の花」になっている事も多く、俺も随分作った。(タイルでな)
しかし、その「ソメイヨシノの花の絵が入ったタイル」
ってヤツは難しい。

実際の「ソメイヨシノ」の花の色は、白と言ってもいい色で、
「何かの間違いじゃないか?」と思う程、人間の記憶の中にある「桜色」と異なる。

では何故、我々には「桜色=淡いピンク」のイメージがあるのか?

良く観察すると、ピンク色なのは、蕾の時だ。(それもかなり濃い)
これが白い花に混じって、沢山重なると、全体で何となく、「桜色」に見える。

よって、満開になればなる程、全体は白っぽくなる筈だ...と俺は思う。