ほぼ日刊、土と炎、猫と煙突

白く燃え尽きた灰の奥深く、ダイアモンドは横たわる。

釣れ釣れ団

2007年12月30日 16時18分47秒 | フィクション
「海中の騒音公害」と呼ばれ、潜水艦の探知に使われる米海軍の次世代ソナー(音波探知機)の使用が許可された。

低周波を使う同ソナーは、ジェット機並みの音の大きさから、クジラやイルカなど海洋ほ乳類の脳に影響し、大量死につながると指摘されている。

次世代ソナー搭載艦は、中国やロシアの潜水艦を対象に、太平洋にも一隻配備される予定だ。このため、座間味島沖などにクジラが生息している沖縄の海にも将来、影響が及ぶ可能性がある。

 米国家海洋漁業局(NMFS)がこのほど、搭載艦を二隻に限定して許可した。
5年間、調査しながら使用し毎年、条件を検討し直すという。
しかし、環境保護団体は「全面使用に道を開く」と猛反発、提訴する構えだ。

 海中に音波を発射し、反射音から潜水艦の動きを探知するのが
「アクティブ・ソナー」で、従来3500ヘルツ付近の音波が使われていた。
しかし、探知されにくいようにスクリュー音を小さくした潜水艦が増えたため、
米海軍は300ヘルツ付近の低周波を使い、より静かな音を探知できる次世代ソナーの開発を進めていた。

 2年前、米海軍がカリブ海のバハマ沖での新ソナー実験中に、クジラ16頭などが海岸に打ち上げられる「事件」があった。低周波ソナーとは異なる音波を使っていたが、専門家は「次世代ソナーの低周波数は、大型クジラがコミュニケーションに使う音波帯に近く、脳や鼓膜への影響は大きい」と指摘していた。

参考→ここをクリック

生物にとっては……「捕獲される事」より「生活環境の破壊」が最大の虐待である。

珍味の行方

2007年12月29日 11時16分58秒 | フィクション
2008年1月号 [ビジネス・インサイド]
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水産庁の委託を受けた日本鯨類研究所が今年も、南極海での調査捕鯨に出発した。
海外の環境保護団体からは批判の嵐だ。

11年ぶりに政権を奪取した豪州の労働党は
「監視の必要性があれば、軍を派遣して(捕鯨船を)追跡する」
(マクレランド氏)と語気を強めた。

海外勢が日本の調査捕鯨に神経を尖らすのには理由がある。

国際捕鯨委員会(IWC)の決定で商業捕鯨が停止された翌年の1987年にスタートした調査捕鯨は年々、規模を拡大。

南極海から北西太平洋にも範囲を広げ、捕鯨対象種も増やしていった。

11月に出航した今回の捕鯨は、春までに850頭のミンククジラに、ナガスクジラ、ザトウクジラ各50頭を加え約1千頭を捕獲する。

これは商業捕鯨を強行しているノルウェーの捕獲頭数をも上回る可能性があり、「日本は調査の名を借りて、世界最大の捕鯨国に復活している」との批判を浴びている。

調査捕鯨の問題点は、これだけではない。捕鯨の費用は、捕獲した鯨肉の販売でまかなう仕組みだが、その販売価格は「必要な費用から逆算して決める」(水産庁関係者)。
このため、鯨肉は牛肉の2倍近い高値に跳ね上がっている。
「高値なのに、それほどおいしくない鯨肉」(流通関係者)は毎年売れ残り、
年々在庫が積み上がっているのが実情だ。

海外から見れば、売れもしない鯨肉を捕獲するために毎年、捕鯨船を送り出す水産庁の行動が、常軌を逸したものに見えるのも当然だ。捕鯨の是非をめぐる論議は感情的になりがちだが、鯨肉在庫を膨らませる日本側にも問題がある。

……在庫は最終的にどうなるんだろうね?

団魂の世代(2)

2007年12月29日 00時34分09秒 | フィクション
「何、呑気な事、言ってやがる」
電話を切ったオサーンはブツブツ文句を言う。
「また、取立てですか?」
「ああ」
月極め駐車場の地代家賃を半年、滞納している店子がいるらしい。
「何で今頃、気付くんですかね?」
「知らねえ。えーと何だ?『ブルジョア』の最近の言い方」
「セレブですか?」
「そう。そのセレブよ。連中の考えている事はわからねえ」
電話をかけてきたのは神崎社長夫人だ。
彼女はオサーンを神埼家の奉公人でもあるかのように使う。

―以下、想像の世界―
「あの奥様」
「何でしょうか?」
「あの人はプロの取立てやさんですか?」
「いいえ。でも、何で?」
「いや、私も困っているんです。マンションの家賃を払ってくれない人がいて」
「まあ。そうでしたの?」
「私ではナメられてしまって。あんな人がいてくれれば……」
「あら、言ってくださればいつでもお貸しますよ。ホホホホホ」
―以上、想像終わり―

市内の資産家達の間ではこんな密約がかわされているのかも知れない。

「で、今度はどこへ?」
「**・ワールド」
「……そりゃあ、チョイヤバですねえ」
その言葉を日本語に直訳すればわかる。
世界を一極化することにより、恒久平和が訪れる……そんな教義を唱える
キリスト教系、K国生まれの宗教団体、○一教会の隠れ組織である。

「気を付けて下さいよ」
「ああ」

普段「俺はヤクザや警察は恐くねえ」と豪語する彼も宗教系は苦手らしい。

「あんまり、行きたくはねえけどな」
「俺、替わりに行きましょうか?」
……よせばいいのに俺は何故か?そんな言葉を口にした。

<続く>

男魂の世代(1)

2007年12月27日 23時58分01秒 | フィクション
オサーンが言う。
「今日、俺。147円、得をしちゃったよ」
(そりゃまた随分、デッカく儲けましたね)
と、思ったが、その微妙な金額には心当たりがある。
「もしかしてガソリンっすか?」
「そうだよ。いつも『レギュラー、40ℓ』って言ってるのに」
スタンドの店員が間違えて41ℓ入れてしまったらしい。
「で、40ℓ分の金しか払わなかったんですか?」
「ああ」
「酷いなあ」
「全くだ。俺はカーちゃんから40ℓ分の金しかもらってねえのに」
(いや、酷いのはアンタだ!)

「慣れないバイトの高校生がやった事じゃないですか?」
かわいそうに、時給700円(かどうか知らないけど)
から147円引かれただろう。

しかし、オサーンは言う。
「違う!」
給油したのはいい歳したオサーンで、それが謝りもせず、ヘラヘラと
「へへへ、1ℓ多かったけどいいっすよね?」
と冗談っぽく言った……らしい。

「あの態度にゃ、さすがの俺もカチンと来たね」
オサーン(自称、仏の○○)は
自分の首筋をトントンと二回叩いてから、そう付け加えた。

「……そういう事情ならしょうがないか」

なんとなく情景が目に浮かぶ。俺の言葉に彼は満足げに頷いた。

「まあな。世の中、舐められたらおしめえよ」

と、その時、その言葉が引き寄せたように電話が鳴った。

<続く>

泣く

2007年12月26日 22時54分19秒 | フィクション
変格ショート・ショート。ガリレオ風味。

―季節労働者―

「お世話になりました」
「なあに、こっちこそ」
権造が別れ際の挨拶をすると監督は人の良い笑顔を浮かべ、話しかけた。
「ゴンさん。最後に月並な事を聞くが。向こうに帰ったらまず、何をしたい?」
「『かくれん坊』ですね」
「ハァ?」
「……まだ、途中なんですよ」
「何だよ、それ? 逃亡中かい? ハハハ!」
「え、まあ、そんな所です。ハハハ!」
上野発の夜行列車の車中。そんなやり取りを思い出して、
鬼瓦権造(仮名)は一人つぶやいた。
(まあ、わからなくてもいいさ。ヘヘヘ)
彼の村は雪に閉ざされる東北の農村の多分に洩れず、
冬の間は東京に出稼ぎに出なければならない。
しかし、今年、彼の家には4才なる息子、春介がいた。
「お父さんは、春になったら帰ってくるからな。それまでお母さんの言う事を良く聞いて……」
物心が付き始めた子供に事情を説明したのはかえって失敗だった。
「行かないで!」
春介は泣き出す。以来、すっかり警戒してしまい、出発する当日も、ずっと傍を離れない。
そこで権造は、一計を案じた。
「そうだ! 春介、かくれん坊をやろう!」
「うん!」
「まず、おまえが鬼だ。向こうを向いて10まで数を数えろ」
「いーち、にー、さーん……」
春介は何の疑いも無く、目を伏せて数を数え始める。
(今だ!)
その隙に権造はその場を逃げだし、そのまま上京した。
(このままじゃあ、俺は奴を騙した事になる)
工事現場で働いている時や、飯場で仲間と焼酎を飲んでいる時。
権造の頭からは片時もその事が離れなかった。
(待っていろよ。必ず……)
自分の言葉を信じきって、嬉しそうな顔をした春介の顔が蘇る。
さらに遡れば、風呂の中で数の数え方を練習させた事。
それが不本意な形で役立ってしまった事。
(うぅううう)
「?」
一方、その傍では一人の駅員が
「ニヤニヤしていたかと思うと急に泣き出した季節労働者」を
不審そうな顔で見つめていた。

―父帰る―

「ただいま!」
「あら、あなた。おかえりなさい!」
合掌作りの高い茅葺き屋根。黒く燻された竹の骨組み。
その下では囲炉裏の南部鉄瓶が穏やかな湯気を揚げている。
外では母が鶏に餌をやっているんだろう。裏庭からは地鶏特有の鳴声がした。
(たった、数ヵ月だというのに……)
権造にとっては懐かしい光景。
鬼瓦家は彼の不在中も、まるで何事も無く日常が続いていたようである。
それが喜ぶべき事なのか悲しむべき事なのか、ちょっと判断に迷ったが。
「しゅ、春介は?」
「まだ、寝ているわ」
障子を開けてそっと隣の部屋を覗くと、愛しい我が子の寝顔が見えた。
権造はその枕元にそっと東京土産の玩具を置く。
が、本当にプレゼントをもらったのは権造の方かも知れない。
「それ、春介が幼稚園で作ったのよ」
恵美子が差し示すちゃぶ台の上には画用紙と折り紙で作った彼の「作品」があった。
「間にあって良かったわ」
「え?」
「あの子『お父さんと一緒にやるんだ!』って、そりゃあ張り切っていたんだから」
「……」
権造は心の中で、そっとつぶやく。
(春介、今度は俺が鬼だからな)
季節は節分。彼がそっと「手作りのお面」被ると……その目には涙が溢れていた。

―湯川家の人々―

(『鬼の目に涙』か)

そもそも、世間一般の「父親像」という物を想像する事ができない
俺は、読書感想文を書きあぐねていた。
しかも、運悪く相談する相手は父親しかいない。
「見せてみろ」
考えてみたら、話がややこしくなるのに決まっている。
「いや、その。困っている事は困っているけど」
「時間の無駄だよ。つまらん事で悩んでも」
そう言われると、逆らえず、プリントを手渡した。
「……ふむ。学(まなぶ)、鬼の目に涙が浮かんだ理由は何だかわかるか?」
「それは」
(原因と結果が逆です)と言いかけて俺はその言葉を呑んだ。
「本当は『泣く所を奥さんに見られたくなかった』から、お面を被ったんだと思う」
そんな事を言えば普通の大人は感心してくれるが、このオヤジは違う。
「何故、そうと言い切れる?」
そう突っ込まれるのが関の山だ。
「少し考えさせて下さい」
「……いいだろう」


(↑何の関係もありません)

「理論的には可能です」
「言ってみろ」
「時代設定を考慮すると、春介君が作ったお面は大和糊を使ったと思われます」
「……ふむ。まあ、仮説としては面白いな」
続けて、と言う父の言葉に俺は再び語り始める。
「大和糊とは本来、米を水で溶かし、すり潰した物で
乾燥すると固まる澱粉の性質を利用して繊維を接着します。
が、当時、工場で作られて市販されている”ヤマトノリ”には保存剤、
つまり、防腐剤としてホルマリンが使われていました。
それが人間の体温によって気化し、人間の眼の粘膜に及ぼす……」
「おおむね合っている」
が、父は俺の言葉をさえぎるように言った。
「でも、おまえは一つ大事な点を見落としているぞ」
「なんですか?」
「その読書感想文を誰に提出するんだ?」
「ひろみ先生」
「だろ? あの先生にそんな難しい話はわからん」
「……もう、いいです」
結局、俺はその経緯をすべて書いて提出し、今度は本気で怒られた。

<終わり>

世界バカ紀行

2007年12月24日 15時01分27秒 | 古い日記
昔々……

「昨日、僕ね。蕎麦屋さんでね。カレーを食べたのね」
「蕎麦屋さんで? 何で?」
「他にわかるのメニューになかったし」
「で、どうだったの?」
「うーん。正直美味かったよ。これ、インド人としては許される事じゃないけど……」

たとえ秋葉原であろうが……
外人同士で日本語を喋っている光景は珍しい。
いや、こんな会話を聞くことはもっと珍しい。
(もう一人の白人の方の国籍は不明)

「御飯じゃなくてヌードルが入ってた」
とか何とか言っていたから↓これの事だと思うけど。


これも良くわかる。

やわらかいフランスパン

しかし、全く……どいつもこいつも他人の事は言えねえ。

真夜中の孤独

2007年12月23日 02時02分49秒 | フィクション
「……何故、そんな事を?」
「知らないわ」
看護士の彼女は冷たく言った。
俺には指輪を「そんな場所」にはめる理由がわからない。
(もしかして亡くなった奥さんの形見?)
だとしても、あまりロマンチックな話じゃないな。
でも、人間、年をとるとそんな衝動にかられるものなんだろうか?

いずれにせよ……夜勤中にそんな用事で呼び出された
彼女の気持ち、いや、それより救急車を呼んだ老人の孤独を考えると、
暗雲たる気持ちになる。

「って言うか、どうやって外したの?」
「それは…(中略)…かえって大きくなって(後略)」


さて。

「穴」という漢字一文字をググって(googleで検索する事)みて下さい。

一番上に来た「ソレ」を読むと、
この手の出来事はさほど珍しい事でもないのかな?と思ったりする。

コジ記(7くらいか?)

2007年12月22日 23時33分46秒 | 古い日記
biro君から「手作りパン」をもらう。

「小さい肉まんみたいだな」

「二次発酵までやって酵母菌は***(聞き漏らした)使ってますよ」

そこまで言うなら、味が落ちない内に早く食べた方がいいだろう。

さっき、軽くトーストして食べた。

味? これはちょっと感動したね。

シンプルなんだけど「売り物」とは違う。

採算無視の無添加パン……これが本来のパンの味なんだろうか?

電車奇憚

2007年12月21日 23時35分41秒 | 古い日記
―――以下、消えた乗客―――

2002年7月4日

 神戸市東灘区のJR住吉駅で、時速百キロもの猛スピードで通過する新快速電車から男がホームに飛び降り、立ち去っていたことが三日、兵庫県警の調べで分かった。男は居合わせた客の視線を気にせず、何事もなかったように歩いて姿を消したという。

 県警は、鉄道営業法違反の疑いで行方を探しているが、警官らも「こんな『途中下車』は聞いたことがない」と首をかしげるばかりだ。

 二日午前十時四十五分ごろ、同駅ホームで、近江今津発姫路行き新快速電車から、赤い服を着た若い男が飛び降りるのを複数の人が目撃。男は勢いで鉄製フェンスに激しくぶつかったが、そのまま改札口の方に歩いていったという。

 一方、電車内では、連結部付近で人の手や足が見えているのに気付いた乗客がいたが、「ドン」という音とともに姿が消えたという。

 JRから通報を受けた東灘署や県警鉄道警察隊などが周辺を捜索。病院や医療機関にもあたったが、該当する人物はいなかった。

 JRによると、新快速の最高時速は約百三十キロ。駅の通過時はややスピードダウンするが、それでも百―百十キロは出る。車両は窓が開かず、停車駅で連結部にしがみついたとみられる。担当者は「新快速から飛び降りて大きなけがもないなんて…。ミステリーだ」と目を白黒させている。

―――以下、青森の謎の老婆―――

4年後に現れたのは別人か?

2003年8月12日

JR青森支店によると、十二日午後一時四十分ごろ、東北線清水川-狩場沢間を
走行していた青森発八戸行き回送列車(六両編成)の運転士が、前方の線路内に
リュックサックを背負った老女がいるのに気付き、急ブレーキをかけて停止した。

 運転士は「接触したかもしれない」と感じ警察に連絡、救急車も手配したが、
周辺をいくら捜しても、老女の姿はなく、車両にも接触した形跡はなかった。

 現場はカーブ状だったため、老女は衝突寸前で身をかわした可能性もある。
特急を含め七本が最大約五十分遅れる羽目になったが、支店は「最悪の事態に
ならずよかった。それにしてもどこに行ったのか」と気に掛かる様子だ。

2007年12月15日

◆鉄道トラブル:「線路上におばあさん」 
緊急停車…発見できず--JR東北線 /青森

 ◇運転士「線路上におばあさん、人身事故起こした」
列車緊急停車、ぶつかった跡なく周辺で発見できず

 13日午後7時25分ごろ、JR東北線を走っていた名古屋発札幌行き貨物列車が、東青森-青森駅間の青森市奥野付近で緊急停車。運転士(61)からJRを通じて警察などに「線路におばあさんがしゃがんでおり、人身事故を起こした」と連絡があった。ところが、駆けつけた警察官や消防隊員、駅員ら約30人が懸命に周囲を捜しても「おばあさん」は発見できなかった。列車にも人がぶつかった跡がなく、列車は約1時間半後に運転を再開した。

 JR青森支店によると、運転士は「確かに人がいた」と話しているという。この騒動の影響で、東北線は特急列車など上下線5本に最大72分の遅れが出て、約820人に影響した。

【矢澤秀範】

ピース商売

2007年12月20日 23時20分24秒 | 古い日記
小学生が駆け寄ってくる。↑コイツの所に。
「ピースだ!!!」
何で名前知っている? ああ。首輪に書いてあるからか。
「ニャーン!」
ピースも彼の所に駆け寄った。しかも甘えてる。
「君。そんなに好きか? この猫が?」
「うん。大好き」
「良かったら上げようか?」
正直、この凶暴猫はもてあましている。三毛猫のコマを追いかけてどうしょもない。
「え? 本当?」
でも、単独飼育なら問題ないと思う。
「それより、君の御両親は何と?」
「みんな動物大好きだもの。いいって言ってるよ」
(そりゃ、助かる)
でも、子供の言う事を100%真に受けない方がいい。
結局、ピースを連れて彼の家に出向いた。

(念のために言っておきますがイメージ写真です)

「こ、これが君の家か?」
「そうだよ」

(中略)

結論から言うと……家族間での合意は取られていなかった。

「どうも、すみません。お手数かけて」
「いいえ」

驚いた事に、お母さんも「ピース」の事は知っていた。
家で何度も話題になっていたらしい。



「これ、つまらない物ですが……」
(ピース。これ、時々やってくれないかなあ)
口では「いえいえ」などと言いながら、俺はそんな事を考えていた。