ほぼ日刊、土と炎、猫と煙突

白く燃え尽きた灰の奥深く、ダイアモンドは横たわる。

ストリッパー

2005年04月04日 23時47分31秒 | 古い日記
「ストリッパー、買ってこい」とか、「持ってきて」と言われた事がある人は、
多分、電気関係の仕事をしている人だろう。

俺も、最初聞いた時は驚いたけど。

この場合、ストリッパー(stripper)とは、「服を脱ぐ人」では無く、
被覆コード(銅線の周囲をビニールで包んだ、要するに普通の電気コード)
のビニール被覆だけを剥く、工具の事だ。(写真参照)

さらに驚いたのは使ってみると非常に便利な事だった。
ガシャっと一回握れば、綺麗に銅線の部分だけ残して、コードが剥けた。

が、一方で、以下のような欠点もある。

1:そのストリッパーに適合したコード以外は使えない。
  (ビニールの厚さとか、銅線の太さとか)

2:高額。(今は安いかも知れない)

慣れた人ならカッターやラジオペンチで、どんな線でも剥いてしまうし、
わざわざこんな物を作る程の必要があるのだろうか?

そんな疑問を先輩社員(電気回路担当)に尋ねると、
以下のような答えが返ってきた。

「アメリカ人は不器用だからね。こういう工具が生まれるんだよ。
 日本じゃ、発明されないだろうね。こういうもんは。」

その時は、(そういうもんか?)と思ったが、今は
「不器用さが専用の工具を生む」とは思わない。

戦争中、兵器の開発をしていた人から聞いた事がある。

「熟練工しか作れないような、武器はいかん。
 品質がバラつくからな。

 手順通りにつくればアホでも製造出来て、新兵でも使えて、
 壊れたら、その辺の道具で直せるような兵器。

 そういう物でなければ、戦場では役に立たない。
 武器としての性能は二の次だ。

 ...と、気付いたのは戦後だけどね。」

さらに、
「熟練工に頼る」より、
「誰が作っても一定の品質になる」ように設計しなければならん、
と言っていた。

そういう意味に於いては、ストリッパーは、高額かもしれないが、
バイトの人でも、毎日やっている専門家でも同じ結果しか出さないので、
優れた道具と言う事になる。

しかし...「○○専用」が多すぎるのも困り物だ。

防衛庁規格の製品なんか使うと、スイッチひとつでも、
納期はいつになるかわからないし、高いしで...

自衛隊の装備は、万事こんななのだろうか?
故障したら、その辺の電気屋で部品を調達出来るようにした方がいいんじゃないか?

戦争になったら、また負けるぞ。