バブルの時代、突然、この
長者番付に躍り出た無名の若者は
憮然とした表情でこう言った。
「何もしてません。ただ、土地を売却せざるを得なくて」
「何で?」
「相続税です」
そりゃあ、ちっとも嬉しくねえだろうなあ。
さて。
今やウヤムヤになり
「銀行は悪くない。自己責任だよ」
の一言で闇に消えようとしている「あの連中の功罪」を思い出して欲しい。
(いや、功の部分は報道されないし、良く知らないけど)
バブル時代に日本の銀行各社が推し進めた”大型フリーローン”である。
彼らは現れる。
地価の高騰で「相続税が払えず、住んでいる所を追い出されるんじゃないか?」
と心配する人の所に。
銀行員の説明は以下の如し。
「財産の相続と言っても”マイナス財産”もあり、
債務(借金)を負っていれば、それがプラスの財産と相殺される。
よって、所有する土地価格に相対するような大金を借りれば、
莫大な相続税を払わなくても済む」
……間違った事は言っていない。(基本的に)
借りた金でマンション経営すれば、年間収入が2000万、
それで借金は十分返せてオツリがくる。
当時の時代背景を考えればかなり説得力のある言葉だったと思う。
ただし、実際に財産を相続する時になったらどうなっていたのか?
バブル崩壊で土地価格が下落。
財産は基礎控除額だけで相殺され、相続税など最初から発生しなかった。
マンション経営も上手く行かず、後には莫大な借金だけが残る。
と言うか、元金が元金だけに利子が偉い事になる。
銀行は公的資金投入(言葉は綺麗だが税金、つまり国民全体で負担)
で生き返ったが、路頭に迷う人達は救済されなかった。
銀行被害の実態
うーん。思い出すなあ。
大昔、中野の激安下宿(家賃1万6000円)の大家さんから、
「もう限界だ。ここ壊してマンション作るから出て行って」
と言われた俺も被害者の一人です。
数年後、見に行ったら更地になっていたけど、何も建ってなかったよ。
今考えると……こういう事だったのかい?