レレレへの道

日々鑑賞した映画の中で、レレレに書かない映画の感想です

殺しが静かにやって来る

2011年05月02日 23時31分14秒 | 西部劇

「殺しが静かにやって来る」
原題:IL GRANDE SILENZIO/THE GREAT SILENCE
1968年 伊/仏 105分
■監督:
 セルジオ・コルブッチ
■出演:
 ジャン=ルイ・トランティニャン
 クラウス・キンスキー
 ヴォネッタ・マギー
 フランク・ウォルフ

●あらすじ
賞金稼ぎを生業とする残虐な無法者集団。
彼らは無垢の人々をも手にかけ、一顧だにしない冷酷さを持っていた。
彼らに夫を殺された未亡人は、ひとりの男に復讐を依頼する。
“サイレンス”と呼ばれるその男は、幼いときに両親を殺され、自分も声帯を切り裂かれて声を失っていた。
そして、彼をそんな目に会わせたのが、その無法者たちのボスだった……。
(TSUTAYA DISCASより)

★感想など
注意、ネタバレ全開でいきます!
本作は、マカロニ・ウエスタン極北の一本と言われている有名な作品。
他は、多分「情無用のジャンゴ」とかだと思う。
何がそう言わせるのかというと、まずは舞台にあるだろう。
マカロニ・ハリウッド問わず、通常ウエスタンの舞台と言えば、
ぎらぎらする程熱い荒野を連想する。
しかし本作の舞台は、一面の銀世界。
真っ白な雪の上で繰り広げられるマカロニ世界には、正直違和感よりも新鮮さの方が勝つ。
そして、これが本作をマカロニ界の極北とまで言わせているのがオチである。
何と主人公がラストに悪党に殺されて終わるのだ!
ご丁寧に主人公に依頼した未亡人まで殺される。
そして悪党たちは目的を果たし、悠々と去っていく。
こんなバッドエンドが普通あるだろうか?
流石に製作会社もこれは無いと思ったらしく、ハッピーエンドで撮り直せと監督に命令。
監督はしぶしぶラストを撮ったらしい。
この別エンディングはDVDに収録されているのだが、これが正に適当に作った感アリアリ。
主人公と悪党の一騎打ちなのに、悪党を倒すのは主人公ではなく保安官。
しかもこの保安官も何日も前に、氷った湖に落とされていたりする。
撮り直しても、結局主人公に花を持たせないセルジオ・コルブッチ。
やるな。
実際、セルジオ・コルブッチはマカロニ・ファンからは熱烈に支持されている。
一方、セルジオ・レオーネを批判する向きもある。
これは両者の映画作りの違いだと思われる。
マカロニと言う枠からははみ出さないんだが、マカロニにおけるルールと言うか
パターンを良い意味で裏切る事に知恵を絞るのがコルブッチ。
だから純粋なマカロニ・ファンは、安心して観る事が出来るのだろう。
一方レオーネの方は、マカロニという枠から飛び出して作りたかった人。
それなのに、マカロニ特有のルールは守る所もあるもんだから、正にコルブッチとは対極。
どちらが好みかは人それぞれだろうが、まあマカロニを観るならどちらも外せないという事で。

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