「男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW」
英題:A BETTER TOMORROW
2010年 韓国 120分
■監督:
ソン・ヘソン
■出演:
チュ・ジンモ
ソン・スンホン
チョ・ハンソン
キム・ガンウ
キム・ヘゴン
●あらすじ
ジョン・ウー監督の「男たちの挽歌」を、ジョン・ウー自ら製作総指揮を務めて
韓国版にリメイクしたクライム・アクション。
脱北の際に生き別れとなりヤクザと刑事という対照的な人生を歩む兄弟を軸に、
数奇な運命に翻弄される男たちの熱い友情と兄弟愛をスタイリッシュに描く。
監督は「力道山」のソン・ヘソン。
一緒に北朝鮮からの脱出を志しながらも、生き別れとなった兄ヒョクと弟チョル。
韓国で裏社会の一員となったヒョクは、固い絆で結ばれた同胞のヨンチュンと武器密輸組織の大物として暗躍。
しかし、部下テミンの裏切りに遭いタイで収監されてしまう。
一方のチョルは家族を裏切った兄への憎しみを抱えたまま、やがて韓国で刑事となり、組織の壊滅に執念を燃やしていく。
(TSUTAYA DISCASより)
★感想など
まあまずは、良くリメイク出来たなあと思ったのが率直な感想。
但しこれは観る前の感想。
確かリメイクに関しては権利関係が複雑で、中々出来ないとか言っていた気がする。
マカオのマフィアが持っている権利関係が解決出来ないとかで。
ちなみにジョン・ウー版も、実は1967年の映画のリメイクだったりする。
オリジナル版よりマークの役を大幅にボリュームアップしたと語っていたから
きっと67年版のは、兄弟の関係がメインなんだろうと推測される。
出来ればいつか観たいとは思っている。
さて、本作についてである。
一言で言ってしまえば
これは「男たちの挽歌」ではない!
まずは各役柄について。
ちなみに名前は全てジョン・ウー版で書きます。
韓国人の名前って、どうにも頭に入ってこない名前ばっかり。
まずはホーについて。
常にめそめそしているだけの駄目男って感じ。
だがようく思い出してみると、ティ・ロンが演じていたホーもそうだったかも知れない。
しかし香港版の時は、男の渋みや苦悩が良く出て格好いいと思っていた。
これはつまり、演じていたティ・ロンの実力と言うことだろうか。
そう考えると、中々ティ・ロンの代わりなんて務まるはずないいだから、これはしょうがないかも。
ただし本作のホー役も、以外とイイ男ではあったよ。
続いてマーク。これが問題。
香港版はユンファが一躍スターになったように、「男たちの挽歌」を象徴する役にまでなっていた。
マークは色んな要素を持っている役柄であり、それをユンファが渾身の演技で表現していた素晴らしい役。
しかし本作のこれはなんだ!
ただ粗暴で下品で自分のことしか考えていないじゃないか!
香港版にあった、男の友情がどこにも存在しないぞ!
本作のホー役のインタビューには、韓国人は親兄弟を大事にするとか語っていた。
確かに本作では兄弟間がメインだが、ホーとマークの友情は全然描かれていないじゃないか。
韓国人には友情とか解らないってことですか?
香港・韓国、両方のマークを見比べると、それぞれの国の人柄ってやつが良く解る気がする。
とにかくこれは駄目。
キットは、もう完全に別物。
でも本作の設定変更っぷりは、評価出来る。
おかげで別物の傑作になる可能性は残っていたのに。
ラストバトルで、ただ泣いて何も出来なかったのはアホ過ぎるだろうよ。
そう言えば、お国柄の違いで感じたのがもう一つ。
香港は残酷。韓国は残虐。
これは伸し上がった後のシンとマークの関係から。
飼い殺しにしていた香港版の方が残酷だと思わないかい。
韓国版では基本的に放置で、ただ殴るだけ。
つまり精神的には何もしない。
そういう点でね。
香港のしんは幹部。韓国のシンはただのチンピラって感じ。
そういった所も踏まえて、総評としては別の映画なのに
所々で香港版「男たちの挽歌」のシーンを演じているチンピラ映画。
しかも香港版のシーンが、全然話に噛み合っていない。
むしろやらない方が良かったくらいのレベル。
まあ香港版は名優揃いなのと、尺が短いのに色々なシーンがちゃんと描かれている。
それに比べて本作は30分近く長いくせに、香港版の半分も描けていない。
キャラ描写とか非常にあいまいなまま。
音楽に関しては、オリジナルが最高過ぎるが、同じ物が使えないからこれはしょうがない。
但し「男たちの挽歌II」のレスリーの主題歌を、インストにして二回使用していたのは嬉しかったねえ。
それと本作の衝撃のラストは、ある意味凄い。
ちなみに本作を観て面白いと思った人は、絶対に香港版を観ろと言いたい。
面白さのレベルが本作と香港版では
完全にレベチだから!