
「縮みゆく人間」
原題:THE INCREDIBLE SHRINKING MAN
1957年 アメリカ 81分
■監督:
ジャック・アーノルド
■出演:
グラント・ウィリアムズ
ランディ・スチュアート
エイプリル・ケント
ポール・ラングトン
●あらすじ
核実験によるスコールと、街中で噴霧された殺虫剤を浴びたスコット・ケアリーは、
それらの相乗効果により、肉体が縮んでいくという恐るべき事態に直面する。
あらゆる治療の甲斐なく1日に1/8インチずつ縮んでいくスコットは世間の好奇の目にさらされ、
その肉体以上に精神的にダメージを受け、献身的に尽くす妻との仲も崩壊していく。
(Wikipediaより)
★感想など
このタイトルも子供の頃に持っていた書籍で紹介されていた作品で
長い間観たいと思っていた映画なんだよねえ。
私が小学生になる前は功夫映画には出会ってなかった事もあり、
その頃の興味は恐竜・怪獣と昆虫であった。
小さな虫たちの世界も、怪獣を見るような目で見ていた私の興味は
もっぱら昆虫たちの戦いにあったと言っても過言ではない。
そしてその頃良く見た夢があって、自分が昆虫サイズに小さくなって、地面から葉っぱ越しに
真っ青な遠い空を見上げて、世界の広さに畏怖するような夢。
あの夢は何度も見たけど、一体何でだったのかはさっぱり不明。
でも今でもあの時の体験は強烈に覚えている。
そんな事もあって、人間がどんどん小さくなっていく本作には興味があった。
人間が小さくなる映画と言えば「ミクロの決死圏」や「インナー・スペース」
それに「ミクロ・キッズ」などが有名だが、どれも娯楽色満載で楽しめた。
一方本作は実に重たい超どシリアスな作風で、80分の上映時間がその倍くらいに感じられるくらいヘビーだ。
主人公の運の無さは致命的なくらいで、やることなすこと次々に裏目になり、どんどん不幸になっていく。
そして、あの救いのないラストは本当に驚愕する。
言っていることが、まるで禅をやりすぎて悟りを開いた人のようであったが、
ある意味魔境に落ちた人かも知れない。
その辺の解釈は、是非ご自身の目で確認して頂きたい。
どんどん小さくなっていく人間を表現するために、周りの家具であったり道具を大きく作って
縮んでいく人間を表現した特撮は、本当に技術が高くて見物なので。