かつて、幕内上位にいたからといって、徹底して、内心は、別として・・・・あくまで、おごらず、三段目力士を舐めず。
その日、その日の、相手力士を、研究してんなあ・・・・・宇良。
当たって、砕けろ根性は、微塵(みじん)も無い。うかがえない、漂わない。
本日、勝ち越し後の5戦目の相手は、「Abema TV」の表記通り、倉橋。
人物については、「第34弾」で書いたので、省略。
すでに、勝ち越し峠を、越えたからと判断したからか、本日、取り組み直前に土俵下に陣取ったカメラマンは、たったの独り。
あくまで、画面を見る限り・・・・ですが。
宇良の取り組み時の、福岡国際センターの客席は、こんなカンジの、ガ~ラガラ。
でも、幕内後半になると、このブルー席が、ほぼギッシリと埋まる。
右側が、宇良。左の倉橋が、すでに、両手両コブシを降ろしているにもかかわらず。宇良。
意図してか、じっくり、相手が、どう出て来るのか。文字通り、見定めている。
そのため、耐えきれなくなって、倉橋。思わず、ダッシュ! 突っかけた。「待った!」の、声。
なのに、宇良。またも、スローモー。ゆ~っくり、ゆっくりと、腰を降ろしてゆく。じらす、ように。
軍配、かえった!
ボクシングで言えば、距離を取りながら、ジャブの応酬というところ、か。
そこから、宇良の真骨頂。
相手の倉橋が、深い前のめりの、前傾姿勢のままを見てとって、直感、判断。 サッと、体をかわして、はたき込み!
倉橋、バッタリ、土俵に、うつ伏せに。
勝ち名乗りを、受ける、宇良。これにて、5勝目。明日は、間違いなく、休み。
この姿勢を、評価する相撲ファンは、ひそかにいる。
一時期、大ケガする前の、昨年の夏場所前後。サインを求めて、相撲ファンの差し出すマジックペンの握る箇所が、黒く滲んで汚れていたのを気にして、指が汚れるのが嫌で、サインをするのを躊躇(ちゅうちょ)した、幕内上位時代の宇良。
気持ちは、分からないでもないが・・・・・
相撲ファンは、サインしてくれる有名力士、人気力士を見つけたら、誰にでも、その場で、求めるもの。
ソレは、いつでも、サインをもらえる立場にいないから。
本場所には、そうそう、来れない。来れた時に、もらえるだけ、もらいたい。この時とばかりに、群がる。
宇良にも、出来たら、もらいたい。その程度の意識。
が、その場で、すげなく、冷たく、断ったものなら・・・・・
評判は、墜ちる。ちょっと、思い上がってんじゃねえの?と。
それでも、いいんだと想う、のなら、それでも、いいが・・・・。
わずか、数分。マジックの汚れなんぞ、手や髪、足に、こびりつく、土俵の砂に較べりゃあ・・・・・。
長年、取材していて、そう想う。
宇良は・・・・・さてさて、ケガの時期、1年間は、反面、良薬にもなったんではないだろうか・・・・
取り組み後・・・・
「相手も、4連勝、負けなしで来ているんで、強いはずですし、立ち合いの時に、勝ちたいという、気迫を感じました」
仕切りの時に、考えていたことは?と、いうと
「相手は、思い切ってくるな、と」
突っかけられて
「気持ち的に、冷静に、いこう、いこうと」
取ってみて
「あぶないところも、あったんですけど・・・・」
「自分の理想としては、相手を前へ前へと、持っていく相撲なんですけど、相手があることですから」
これで、5勝、負けなし。
取りこぼし、無ければ
「ここまで来たら、全部、勝ちたいです」
全勝し、優勝決定戦に持ち込んで、勝てれば、来たる初場所、幕下の下位に滑り込める可能性があるが、そこで負ければ、三段目の上位、ヒトケタにとどまって、来年の正月を迎えることになる。
明後日以降、慎重に、且つ、勝つ、ために、戦術を練って、土俵に上がり、その場で、さらに、相手の心と、カラダの動きを見定めて読んで、ここぞという時に・・・・・
かつて、ライバル視されていた、佐藤、改め、貴景勝は、ヘタすると、存在不要な引退さぼり野郎3クズ横綱を尻目に、優勝の可能性潜む好調さ。
負けても、意識して、切り換えて明日を見る佐藤を、はるか遠くに見やりながら、宇良は、三段目の階段を、下位段にならないように、日々、歩み続ける・・・・・