いやいやあ、NHKの実況アナは、宇良の心情的応援団かいな?
ベテランの、刈屋富士雄アナ。
宇良 対 天風(あまかぜ・十両13枚目)が始まる5番くらい前から、盛り上げる!あおる、あおるう~! ま、良く、取材してます。
「今日の、宇良の一番、楽しみですねえ!」
「相手の天風(あまかぜ)とは、体重倍近く、違いますもんねえ!」
「さあ!宇良の取り組み、間もなくです!」
花道を歩いて、宇良が姿を現しただけで、歓声と拍手が大きく湧いた。
「やはり、大相撲ファンは、よく知ってます!」
取材した藤井アナが、巨漢・天風のコメントをクチにする。コレが、笑える。
「今日(の宇良)は苦手なタイプです。完全、アウエー状態でしょうし、ヒール役に徹するしかありません」
宇良とは、初対戦。
「(カラダの小さな)石浦関とかをイメージしながら、どっしりと取ること」
「出過ぎずに、チカラを出す。もしも、もぐられた場合には、ソコから前に出てゆく。いずれにしても、(宇良関を)正面に置いて、勝負をしなければいけない」
「思いっきり、行きたい」
なるほど、なるほど。
この天風。以前から、土俵上での2本指が、気になっていた。この巨漢で、このポーズ。ねっ? どことなく愛嬌漂うポーズでしょ?
制限時間、一杯だ。
ん?宇良。今日も、仕切り線より、後ろに大きく下がって、右拳を先に下ろした。
こんにゃろめ、何か、たくらんでるな?
その狙いを、瞬時、読み取ろうとする巨漢。
おおっ! 天風の目の前に、右の手のひら開いて出した宇良。と想ったら、も、も、もぐった!!
天風目線からすると、め、目、目の前から消えた!いなくなっちゃった!
と想ったら、宇良。パッとカラダをクルリと、大きく左へ半回転させて、素早く片足取り、カラダ全体を使って、半身になって足元不安定な体勢の天風をグイグイ、あららあ・・・押し出し。送り出しちゃった!!
バッタリ!四つん這いの天風。そのまま、勢いで転げ落ちていった。
いつもの様に、しっかり見届ける宇良。
いかにも、悔しそうに唇を噛んで、勝った宇良と土俵上で交錯する天風。
「送り倒し~~~~い!!」「宇良、勝ち越し!」
刈屋富士雄アナの声が、はずむように一段と大きくなる。
宇良、どんな一番でも、勝ってガッツポーズなんてしない。笑顔も、あえてしない。相手に常に、敬意を表している言動、態度が良い。
まして、ダヴァジャルガルのように、ダメ押しなんぞ、決してしない。その代わり、しっかりその両目で、勝ちを見届ける。
花道から下がる時も、土俵に向けて、必ずしっかり、深く一礼。追う、番記者たち。
あと一番勝てば、幕下2枚目という番付けから推して、十両入り確実だ。目下、幕下で4連勝無敗は、宇良ただ独りだし。
「天風は、まさに空気と相撲を取ってしまったような」と、刈屋アナ。
苦笑いして、花道を大股で去る天風。
この宇良の勝負は、必ず、リテイクあり。それも、別のカメラで撮影した映像が流れる大サービスぶり。
この宇良。
今日の解説担当の不知火(しらぬい)親方も言っていたが、「基本がしっかりしているから、出来るワザなんですよ」と。
本当に、その通り。キワモノ力士では、決して無い!
宇良は、囲み取材で言った。
「嬉しいです」
「作戦は・・・・ちょっと言えませんけど、想った通りの相撲が出来ました」
「日頃の鍛錬(たんれん)と稽古の積み重ねの結果が出ました」
よっしゃあ! 控え目、控えめ。慢心は、おのれの最大の敵なのだから。
明日は、休み・・・・だよなあ。
作戦は、また相手が決まった明日の夕方から練るはず。
なんだかさあ、独自のデータブック、作成し続けているらしい。
あと一年後、石浦との幕内名勝負、期待して見たいなあ・・・・・