※映画『ファンタスティック・プラネット』(1973、仏・チェコスロバキア)、監督ルネ・ラルー、原題La Planète sauvage(野生の惑星)、英題Fantastic Planet、原作ステファン・ウル(仏1922-)『オム族がいっぱい(Oms en Série)』
(1)
惑星イガム。ここでは巨大なドラーグ族が文明社会を発展させていた。小さなオム族(人間)は原始的な生活を強いられ、虫ケラ(害虫)として扱われ、時に飼育された。ドラーグ族の議会は、オム族の知性に脅威を感じオム族絶滅を主張する強硬派と、オム族との共存を図る穏健派が対立した。
(2)
ある日、小さなオム族(人間)の母子が巨大なドラーグ族のいたぶりの対象になり、母親が死ぬ。残されて泣いていた男の赤ん坊は、ドラーグ族の少女ティバに拾われる。ティバの父親シン県知事は穏健派であり、「赤ん坊をペットにしたい」という娘ティバの希望を許す。赤ん坊はテールと名づけられ、やがてドラーグ族の言葉を覚える。
(2)-2
オム族(人間)のテールは操縦される首輪をつけられ、ドラーグ族の少女ティバが首輪を操縦し、テールが逃げないように操作する。
(3)
ドラーグ族の教育は、「学習器」(ヘッドフォンのような道具)を用い、情報を脳に直接送ることで行われた。ドラーグ族のティバは学習の時、いつも手の上にテールを乗せていたので、オム族(人間)のテールも一緒に知識を習得し始めた。
(3)-2
それによって人間テールは、惑星イガムの近くに「野性の惑星」(ファンタスティック・プラネット)があると知る。
(4)
ドラーグ族の大人が生存していくために、「瞑想」が不可欠だった。「瞑想」中、ドラーグ族の体から球体(その中に小さな自分が居る)が分離し、中空を漂う。
(5)
成長し少年となり、また学習の結果、ペットとしての立場に疑問を抱くに至ったオム族(人間)のテールは、「学習器」をかついでシン知事の邸宅から逃げ出す。
(6)
オム族(人間)の女の子と出会ったテールは、大きな木の中にある、彼女たちの隠れ集落へ案内される。集落の族長は「ドラーグ族の知識を持つテールが役に立つ」と思い仲間にしようとするが、「魔術師」が反対する。かくて、闘獣による決闘裁判が行われる。テールは勝利し、集落の一員となる。
(6)-2
テールの知識が、ドラーグ族から食料を奪い、また妖しく凶暴な動物撃退を可能にし、オム族(人間)に役立つ。
(7)
オム族(人間)のテールが、ドラーグ族の知識を盗んだことで脅威を感じたドラーグ族の議会は、「人間狩り」を決定する。毒ガスを使った大規模な「オム族(人間)駆除(害虫駆除)作戦」が行われ、多くのオム族が殺される。
(8)
だがテールたちの集落が反撃に出て、ひとりのドラーグ族を殺害する。同胞を殺されたドラーグ族強硬派の怒りは凄まじく、「オム族絶滅計画」が議会で決定される。ドラーグ族によるオム族(人間)の駆除がより徹底的になされる。
(7)
何とか生き延びたテールたちオム族は、ドラーグ族がロケットを捨てる「墓場」に、新たな隠れ都市を建設する。「墓場」はドラーグ族のロケット、機械、「学習器」の残骸の宝庫だった。オム族は「学習器」を改良しし、全員が一層の知識を獲得できるようにする。
(7)-2
やがてドラーグ族時間で3季1年(オム族時間で15年)を経てオム族は、ドラーグ族に劣らない高い科学技術を有するに至る。オム族はドラーグ族の機械類の残骸を修理・改良し文明的都市を建設した。さらにオム族(人間)はロケットの開発を急いだ。
(8)
オム族(人間)の隠れ都市は、しかし、ドラーグ族の偵察機械に発見され、自動駆除機械の襲撃を受ける。テールたちは、かろうじてロケットでの脱出に成功する。彼らは惑星イガムから、「野性の惑星」(La Planète sauvage、Fantastic Planet)に移住した。
(8)-2
「野性の惑星」は、男女一対の首のない巨大な像が無数に立つ荒野だった。ドラーグ族は「瞑想」すると、体から球体(その中に小さな自分が居る)が分離し、中空を漂う。その球体(瞑想したドラーグ族の「意識」)が「野性の惑星」まで飛んでいき、像の首の上に合体する。すると男女の巨大な像は踊り始める。これがドラーグ族にとっての生命維持活動かつ生殖活動であり、種族の維持・増殖が可能となる。
(8)-3
「野性の惑星」でのドラーグ族の生命維持・生殖活動の秘密を知ったオム族(人間)は、ロケットからビームを発射し巨大な像を破壊していく。すると、惑星イガムにいるドラーグ族本人たちが次々と死ぬ。 かくてドラーグ族は絶滅の危機に瀕する。
(9)
ドラーグ族の議会は紛糾する。シン知事が「このままでは2つの種族はお互いを破壊しつくし、全滅する。和平を結び、ドラーグ族とオム族が共存する方法を見つけよう」と提案し、これが議会で可決され、戦いが終わる。
(10)
こうしてドラーグ族は惑星イガムに住み、オム族(人間)はドラーグ族が用意した新しい人工惑星に移住する。この人工惑星が「テール(Terre)=地球」だ。
《感想1》オム族(人間)のテールが、地球創世の基礎を作った物語!
《感想2》惑星イガムの生物は妖しく変わっている。多くが動物的植物or植物的動物だ。しかもそれらはオム族(人間)から見て巨大だ。
《感想2-2》ドラーグ族(青い皮膚、大きな真っ赤な目)は巨人族だ。ギリシア神話のティターン族を思わせる。
《感想3》ドラーグ族の「瞑想」が、実は、生命維持活動かつ生殖活動であることが、不思議だ。花粉が風に運ばれて受粉するのに似る。つまりドラーグ族は風媒花に似る。
《参考》奇妙な巨大生物の描写は、宮崎駿のアニメ『風の谷のナウシカ』に影響を与えたと指摘されている。
(1)
惑星イガム。ここでは巨大なドラーグ族が文明社会を発展させていた。小さなオム族(人間)は原始的な生活を強いられ、虫ケラ(害虫)として扱われ、時に飼育された。ドラーグ族の議会は、オム族の知性に脅威を感じオム族絶滅を主張する強硬派と、オム族との共存を図る穏健派が対立した。
(2)
ある日、小さなオム族(人間)の母子が巨大なドラーグ族のいたぶりの対象になり、母親が死ぬ。残されて泣いていた男の赤ん坊は、ドラーグ族の少女ティバに拾われる。ティバの父親シン県知事は穏健派であり、「赤ん坊をペットにしたい」という娘ティバの希望を許す。赤ん坊はテールと名づけられ、やがてドラーグ族の言葉を覚える。
(2)-2
オム族(人間)のテールは操縦される首輪をつけられ、ドラーグ族の少女ティバが首輪を操縦し、テールが逃げないように操作する。
(3)
ドラーグ族の教育は、「学習器」(ヘッドフォンのような道具)を用い、情報を脳に直接送ることで行われた。ドラーグ族のティバは学習の時、いつも手の上にテールを乗せていたので、オム族(人間)のテールも一緒に知識を習得し始めた。
(3)-2
それによって人間テールは、惑星イガムの近くに「野性の惑星」(ファンタスティック・プラネット)があると知る。
(4)
ドラーグ族の大人が生存していくために、「瞑想」が不可欠だった。「瞑想」中、ドラーグ族の体から球体(その中に小さな自分が居る)が分離し、中空を漂う。
(5)
成長し少年となり、また学習の結果、ペットとしての立場に疑問を抱くに至ったオム族(人間)のテールは、「学習器」をかついでシン知事の邸宅から逃げ出す。
(6)
オム族(人間)の女の子と出会ったテールは、大きな木の中にある、彼女たちの隠れ集落へ案内される。集落の族長は「ドラーグ族の知識を持つテールが役に立つ」と思い仲間にしようとするが、「魔術師」が反対する。かくて、闘獣による決闘裁判が行われる。テールは勝利し、集落の一員となる。
(6)-2
テールの知識が、ドラーグ族から食料を奪い、また妖しく凶暴な動物撃退を可能にし、オム族(人間)に役立つ。
(7)
オム族(人間)のテールが、ドラーグ族の知識を盗んだことで脅威を感じたドラーグ族の議会は、「人間狩り」を決定する。毒ガスを使った大規模な「オム族(人間)駆除(害虫駆除)作戦」が行われ、多くのオム族が殺される。
(8)
だがテールたちの集落が反撃に出て、ひとりのドラーグ族を殺害する。同胞を殺されたドラーグ族強硬派の怒りは凄まじく、「オム族絶滅計画」が議会で決定される。ドラーグ族によるオム族(人間)の駆除がより徹底的になされる。
(7)
何とか生き延びたテールたちオム族は、ドラーグ族がロケットを捨てる「墓場」に、新たな隠れ都市を建設する。「墓場」はドラーグ族のロケット、機械、「学習器」の残骸の宝庫だった。オム族は「学習器」を改良しし、全員が一層の知識を獲得できるようにする。
(7)-2
やがてドラーグ族時間で3季1年(オム族時間で15年)を経てオム族は、ドラーグ族に劣らない高い科学技術を有するに至る。オム族はドラーグ族の機械類の残骸を修理・改良し文明的都市を建設した。さらにオム族(人間)はロケットの開発を急いだ。
(8)
オム族(人間)の隠れ都市は、しかし、ドラーグ族の偵察機械に発見され、自動駆除機械の襲撃を受ける。テールたちは、かろうじてロケットでの脱出に成功する。彼らは惑星イガムから、「野性の惑星」(La Planète sauvage、Fantastic Planet)に移住した。
(8)-2
「野性の惑星」は、男女一対の首のない巨大な像が無数に立つ荒野だった。ドラーグ族は「瞑想」すると、体から球体(その中に小さな自分が居る)が分離し、中空を漂う。その球体(瞑想したドラーグ族の「意識」)が「野性の惑星」まで飛んでいき、像の首の上に合体する。すると男女の巨大な像は踊り始める。これがドラーグ族にとっての生命維持活動かつ生殖活動であり、種族の維持・増殖が可能となる。
(8)-3
「野性の惑星」でのドラーグ族の生命維持・生殖活動の秘密を知ったオム族(人間)は、ロケットからビームを発射し巨大な像を破壊していく。すると、惑星イガムにいるドラーグ族本人たちが次々と死ぬ。 かくてドラーグ族は絶滅の危機に瀕する。
(9)
ドラーグ族の議会は紛糾する。シン知事が「このままでは2つの種族はお互いを破壊しつくし、全滅する。和平を結び、ドラーグ族とオム族が共存する方法を見つけよう」と提案し、これが議会で可決され、戦いが終わる。
(10)
こうしてドラーグ族は惑星イガムに住み、オム族(人間)はドラーグ族が用意した新しい人工惑星に移住する。この人工惑星が「テール(Terre)=地球」だ。
《感想1》オム族(人間)のテールが、地球創世の基礎を作った物語!
《感想2》惑星イガムの生物は妖しく変わっている。多くが動物的植物or植物的動物だ。しかもそれらはオム族(人間)から見て巨大だ。
《感想2-2》ドラーグ族(青い皮膚、大きな真っ赤な目)は巨人族だ。ギリシア神話のティターン族を思わせる。
《感想3》ドラーグ族の「瞑想」が、実は、生命維持活動かつ生殖活動であることが、不思議だ。花粉が風に運ばれて受粉するのに似る。つまりドラーグ族は風媒花に似る。
《参考》奇妙な巨大生物の描写は、宮崎駿のアニメ『風の谷のナウシカ』に影響を与えたと指摘されている。
