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藤田正勝『西田幾多郎』(その12):自己は単に「見るもの」つまり《認識主体》でなく、《働き行為する自己》だ!「行為的直観」を支える「表現作用的身体」は、「歴史的身体」だ!

2021-08-28 11:57:24 | 日記
※藤田正勝(1949-)『西田幾多郎――生きることと哲学』(2007年)

(6)西田は単に「見るもの」つまり《認識主体としての自己》でなく、現実世界のなかで《働き行為する自己》に注目する:「行為的直観」の立場!(129-132頁)
F 西田は『哲学の根本問題 続編』(1934)の最初の論文「現実の世界の論理的構造」で、「現実の世界」は「行動の世界」だと言い、単に「見るもの」つまり《認識主体としての自己》でなく、現実世界のなかで《働き行為する自己》に注目した。人間を《認識主観》としてのみ捉え、世界をそれに対して立つ《対象界》としてのみ捉える「主知主義」を、後期西田は批判する。(129頁)(Cf. 116-117頁)
F-2  西田はこの自分の立場を、「行為的直観の立場」と述べる。論文「行為的直観の立場」(1935)で、「我々は行為によって物を見、物が我を限定すると共に、我が物を限定する。それが行為的直観である」と述べる。(130頁)
F-2-2  西田はメーヌ・ドゥ・ビランを高く評価する。メーヌ・ドゥ・ビラン『人間学新論』(1823-24)は、デカルトの「コギト・エルゴ・スム」を「私は行動する、私は意志する、あるいは私は私において行動を思惟する。故に私は自分が原因であることを知る。故に私は原因または力として、現実にある、あるいは現存する」と読みかえる。(129-130頁)

《参考1》西田の「純粋経験」はベルグソンの「直観」に相当する。「分析」は対象を「言語」に「翻訳」して理解するが、「直観」は対象と「共感」する。ベルグソンの「直観」は「物自身になって見る」ことであり、これは西田の「純粋経験」に等しい。(57-60頁)
《参考2》「純粋経験」(「実在」)における「自覚」は「自己の中に自己を写(映)す」こと(反省)でありながら、それ自体一つの《直観》だ。(Cf. 西田が「自覚」と呼ぶのは、普通に日常で「意識する」と言う場合の「意識」に相当する。)(95-96頁)

(6)-2 「行為的直観」(「行為によって物を見る」)とはどういうことか?:①物が我々に対して「表現」的に立ち現れてくる!②行為の惹起!③制作(=表現)!④自ら作ったものを見る!(132-135頁)
F-3  「身体」は単に「生物的身体」でなく①「表現作用的身体」である。物は《単なる物》でなく、《身体的欲求の満足(or不満足)をもたらす「表情」・「表現」を持つ物》として出現する。「身体」は「表現」を引き起こす身体、すなわち「表現作用的身体」である。「行為的直観」の定義として言われた「行為によって物を見る」とは、物が我々に対して「表現」的に立ち現れてくることを意味する。(133-134頁)
F-3-2  物はさまざまな「表情」(「表現」)で満たされているだけでない。②物は《欲求の主体であるわれわれを突き動かす》。「行為的直観」(「行為によって物を見る」こと)の第二の意味は《行為の惹起》だ。(134頁)
F-3-3 ③「行為」は《単なる身体的動作》でなく《物を作ること》、つまり「ポイエシス(制作)」だ。西田は「制作を離れて実践(※行為)というものはない。実践は労働であり創造である」と言う。「行為的直観」の第三の意味は《制作》だ。ここでわれわれは、身体を通して自己を「表現」する。(134-135頁)
F-3-4 ④そしてさらに「行為的直観」(「行為によって物を見る」)は、「自ら作ったものを見る」という意味でもある。(135頁)
F-3-5 こうした連関全体(①②③④)が「行為的直観」である。すなわち「我々は行為によって物を見、物が我を限定すると共に我が物を限定する」。この連関を支える身体が「表現作用的身体」である。(135頁)

(6)-3 「行為的直観」を支える「表現作用的身体」は、「歴史的身体」である!(136-137頁)
F-4 「表現作用的身体」に支えられた「行為的直観」における「制作」は「歴史」をその背景に持つ。どう行為すべきか、何を製作すべきかという課題が「歴史」から与えられる。「行為的直観」を支える「表現作用的身体」は「歴史的身体」である。(136-137頁)
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