DIARY yuutu

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『雑兵物語』かもよしひさ訳・画:戦国時代、雑兵は半奴隷であり、軍隊の外見は乞食の集団だった!陣中は飢饉と同じだ!陣中の手本は乞食の生き方だ!

2019-11-10 14:10:47 | 日記
※『雑兵物語』(1657-72頃成立)、かもよしひさ(1932-1994)

『雑兵物語』上
(1)鉄砲足軽小頭(コガシラ):①鉄砲は馬を狙う。②至近戦で刀を使う時は、敵の手・足を狙う。③のどが乾いたら死んだ奴の血、あるいは泥水も飲む。
(2)鉄砲足軽:①マムシに噛まれたら、火薬1匁を傷口にのせて火をつければ、毒を吹っ飛ばして早くなおる。
(3)弓足軽(ユミアシガル)小頭:無駄に矢を捨てるような射方をしてはならない。
(4)弓足軽:弦(ツル)にちょっとでも折り目をつけると、すぐ切れてしまう。
(5)槍担(ヤリカツギ)小頭:槍はただ突くものでなく、みんなで穂先をそろえ、敵の槍を上からたたく。
(6)持槍担(モチヤリカツギ):①おさむらいのお持槍をかつぐ。②「敵の首をとったおかげで、俺の首は胴についていられる」と思えばうれしい。
(7)数(カズ)槍担:槍の鞘はなんの飾りもないのがよい。はずした鞘が大きいと運ぶのが大変だ。
(8)旗差馬印持(ハタサシウマジルシモチ):敵ともみあったら、長い柄で突きはらう。
(9)馬印持旗差(ウマジルシモチハタザシ):長い柄を武器にして働く。
(10)持筒(モチヅツ)(担):主人が使う鉄砲を持つ。
(11)持筒(モチヅツ)(担):大きい鉄砲だと腰にさせないので、接近戦で戦う時、不便だ。
(12)持弓(モチユミ)(担):①ご主人が使う弓を持つ。②弓を立てる台は背中にひっかけて、腰の刀で働く。
(13)持弓(モチユミ)(担):ご主人以外のおさむらい衆に、主人に伺った上で、取り替え用の弓矢を使っていただくこともある。
(14)草履取(ゾウリトリ):刀は普通なかなか抜けない。抜くのが難しい。
挟箱持(ハサミバコモチ):①着替えなどが入っているが、つづら行李を背負った方が、つっかえたりせず危なくない。②これまで案外死にもしなかった。
(15)馬取(ウマトリ):馬に逃げ出されないようにしろ。味方の馬で陣中が滅茶苦茶になる。
(16)馬取(ウマトリ):①馬を逃がすと大騒ぎになり負けたと同じ事になってしまう。②「一人でもいいから敵を殺せ。」さもないとこれまでもらった給料や食物が無駄になる。
(17)沓持(クツモチ):馬の沓(ワラジ)を持つ。

『雑兵物語』下
(1)矢箱持(ヤバコモチ):①矢を100本入れた矢箱を持つ。②「一人でも敵を殺せ」という命令あり。③おさむらい衆から、犬ころ扱いのおれたち。
(2)玉箱持(タマバコモチ):①弾薬箱を持つ。②今頃はさなだ虫の病気が流行し腹痛が多い。③当たりもしない無駄弾丸を撃ってはいけない。
(3)荷宰料(ニザイリョウ):①馬に荷物をつけた馬隊!②味方でも、よその部隊から食料を奪うので、油断ならない。③縄は里芋の茎なので食べられる。④俵のわらふたは馬のエサになる。
(4)夫丸(ブマル):①陣幕張り、柵作り、死体処理など行う。②いくさの陣中は飢饉と同じだ。③乞食の生き方が陣中では手本だ。④水は1日1.8リットル/人いる。(城にたてこもった時。)⑤米をまとめて何日分も渡すと、酒飲みは酒を造って飲んでしまう。
(5)又 若党:俺はちょっとばかり外科の手当てを知っている。
(6)又 草履取:①鉄砲で頭をぶったたいたら敵はすぐくたばった。②「敵の首のお弔いでもしてやるべい」と思った。
(7)夫丸(ブマル):けが人は眠ってしまうと、そのまま死んでしまうことがあるので、紙のこよりで鼻をくすぐって目を覚まさせる。
(8)夫丸:陣笠で飯を炊く!
(9)又 槍担(ヤリカツギ):味方の印をいくつも(7つ、8つ)つけていけないと、敵と思われて味方に首と斬り落とされる。
(10)並中間(ナミチュウゲン):関東のさむらいは舟の戦いを知らない。
(11)又 馬取(ウマトリ):今日はきっと川を渡る。昨日の大雨で川の水かさが増えているだろう。
(12)又 馬取:渡河の時は、主人が馬に乗り、5人の雑兵がその1匹の馬に取り付いて、川を渡る。

《感想1》ひとりの侍、あるいはひとつの部隊には、多くの雑兵が半奴隷状態で従う。軍隊と言っても、見た目は乞食の集団だ。食い物はない。作戦中は物品・食糧は自弁か略奪で、ご主人や部隊からの支給はあてにならない。不足すれば、味方でも他部隊から盗み取る。
《感想2》『雑兵物語』は、年寄りの戦争経験者からの話に基づくので、法螺(ホラ)話・自慢話も多い。
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