
つい先日、ニホンカモシカの親子に会いました。
カモシカの出産は5月頃で、次の春先までの約1年間子供と一緒にいます。
その後、親離れして単独で行動しますが、性成熟する2~3歳頃までは、母親の縄張りを中心に生活するようです。
この子は昨年春の生まれでしょう。
死亡率の高い厳しい冬をなんとか乗り越えられそうです。
もうすぐ1歳、親離れまでお母さんからいろいろ学んでね。
カモシカの縄張りは、かなりしっかりしていて、同性間ではほとんど重複しないようです。

お母さんが、眼の下にある眼下腺を細い木にこすりつけています。
匂いのする分泌物を枝葉にこすりつけるマーキング行動です。
縄張りの防衛や、性的情報伝達といわれています。

ネットで「眼下腺こすり」関係の論文等を調べました。
青森県下北半島での「眼下腺こすり」調査から、
・メスよりオスの方が頻度が高い
・交尾期の秋に頻度が高まる
・冬は最も頻度が低い、特に2月
・1・2歳の若齢個体は、ほとんど行わない
・典型的な眼下腺こすりは、
①対象物に鼻を近づけ匂いを嗅ぐ
②額を2,3回軽くこする
③片側ないし両側の眼下腺を2-6回ほど軽くこすりつける
このことを踏まえ写真見ると不思議です。
・上記調査で、ほとんど観察されなかった2月の出来事である
(2月が最低なのは、生理的活動低下との関連が推察されている)
・行わないとされる1歳未満子が、額こすり、眼下腺こすりをしている
(下の写真)


なぜでしょうか。
論文を読み進めると次の記述もありました。
「また、眼下腺こすりを頻繁に引き起こす動機として興奮・緊張といったカモシカの内的状況が指摘されている」
つまり、秋に多いのは、先述の縄張りの防衛や性的情報伝達の他に、興奮・緊張を伴う他個体と出会う頻度が上がるためとも考えられるようです。
最初の写真を見直しました。
お母さんが、下から睨みつけるような迫力のある顔をしています。
もしかして・・・私、興奮・緊張の素だった?私、カモシカ他個体?挙動不審者?
ちびちゃんは、今後の練習に、かわいらしくお母さんの真似をしているように見えました。
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