外国語学習の意味、そして母国語について考えましょう

社内公用語の英語化、小学校での英語の義務化など最近「英語」に振り回され気味ですが、何故、どの程度英語を学ぶか考えます。

続続続の(1/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

2018年09月17日 | 英語学習、教授法 新...

続続続の(1/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

豆乳パック原材料「続続続」は、まず、対話。そのあと、総まとめで英語教育理論の必要を問いかけます。

先生:右は豆乳の紙パックの表示です。三行目の表現に注目してください。

生徒:「豆乳」のあとに、マル括弧で示してある、(カナダ産)、(遺伝子組み換えでない)の部分ですか。

先生:この語列あまり日本語的とは言えませんね。

生徒:あ、英語だ。

先生:同様に反応した初級の生徒さんがおられました。英語では関係詞が使えますが、日本語の文法に従ってこの情報を伝えようとするとどうなりますか。

生徒:「遺伝子組み換えでないカナダ産の大豆」です。

紅茶豆乳先生:これだと主要な情報である豆乳が一番あとに来て分かりにくくなりませんか。英語では、たとえば、the soybeans which are harvested in Canada and are not genetically modifiedなどと表わすことも可能ですが、同じ語順で日本語で表わす場合、上の表示のように括弧を使うしかありません。

生徒:ということは逆に言うと、英語の関係詞節(形容詞節)は、括弧と考えればいいのではないですか。

先生:そのとおり。外来語の氾濫は日本語の宿命ですが、豆乳会社の広告には英文法の日本語文法への侵入が始まったかと思わせる現象です。

■関係詞節は括弧

それはそうと、閉じる括弧がないのが欠点といえば言えますが、関係詞節をたんなる括弧だと考えれば学習は楽です。

(1) The red flower which is called poppy is sometimes poisonous.

なら、

1´ The red flower ( it is called poppy) is sometimes poisonous.

です。=「その赤い花(それはケシと呼ばれる)はときどき毒性をもつ。」

(2) The red flower which we picked yesterday is called amapola

は、

2´ The red flower (we picked it yesterday) is called amapola.=「その赤い花(我々は昨日それを摘んだ)はアマポーラと呼ばれる。

最期の文では、itをwhichに変えて、括弧の冒頭に移動します。関係詞の難しい点の3つ目、「語順の移動」です。あと二つ、三つ試みましょう。

今度は括弧で表わした部分を関係詞節にしてください。意味はどうでしょう。訳さなくても意味が分かればいいのですが。

3´ The red carpet (you are now walking on it) is magic. =「赤い絨毯(君が今その上を歩いている)は魔法の絨毯だ。

4´ The red house (the owner of it is unkown) is called a haunted house. =「赤い家(それの持ち主は知られていない)はお化け屋敷と呼ばれている。」

poppies生徒:はい、意味は了解です。「~な絨毯」というように訳しあげなくてもどういう絨毯か明快です。a haunted houseはお化け屋敷ですよね。

先生:だとしたら話は早い。

生徒:規則は、

⓵括弧内の代名詞をwhichとかthatに変えて、

⓶つなぎの部分、つまり括弧の始まりの位置に移動。

③後ろの括弧閉じは取る、というわけですね。

先生:itかtheyは、whichかthatに変えます。whichやthatは名詞の後に置くと、名詞にくっつく感じで、その名詞に「以下に示す種類の~」という指示を出します。そのため、こうした文中の名詞のあとでもどこでも、名詞の後で限定修飾をおこなう場合使います。そういう性質はitやtheyにはないです。

生徒:規則をあてはめましょう。

3´ The red carpet (you are now walking on it) is magic.

(3) The red carpet which you are now walking on is magic.

なんだ、こういうことだったのか、という印象です。でも、日本人の目には括弧の方がすこし分かりやすいです。

先生:でも、話すときどうするのです。

■関係詞の省略

生徒:そうか。でも、名詞の後にSVですから、The red carpet  you are now walking on is magic.とふつうに言うではないですか。

先生:名詞のあとにSVときたら、限定だなと感覚的に予想できるのも重要な英語力です。しかし、名詞+SVのとき以外はさすがに省略できない。関係詞の省略(接触節とも言う)はフランス語をやった身には抵抗がありますね。ところで、最初の括弧の文はthere(指示副詞:そこで)でも表わせます。

■関係副詞:where / when

3´´ The red carpet (you are now walking there) is magic.

生徒:この場合、

(3)の2 The red carpet where you are now walking is magic.でしょう。

先生:thereのthのかわりにwhを置くとやはり直前の名詞を限定するよ、という信号を送れるわけです。there=on itという感覚を身に着いていることが前提。言い換えると、--- walking on thereがおかしいという感覚が身についているということ。on itは、セットで「そこで」という意味。walkingという動詞を限定修飾する、いわゆる副詞の役割。

生徒:なら、thenは、whenになりますか。

先生:できます。だんだん速くなったでしょう。声に出してね。例文はできますか。

生徒:The week (I was on the magic carpet in it) is unforgettable.=The week (I was on the magic carpet then) is unforgettable.=「その週(私はその期間魔法の絨毯に乗っていた)は忘れがたい思い出だ。

The week (which) I was on the magic carpet in is unforgettable.

The week when I was on the magic carpet is unforgettable.

先生:たんなる穴埋めではなく、状況に応じて会話でも使えることを目指します。

■所有格の関係詞

生徒:では次へ。

3´The red house (the owner of it is unkown) is called a haunted house.

(3)の1 The red house (the owner of which is unkown) is called a haunted house.

ん?。これはこの後どう前方移動したらいいのでしょう。

お化け屋敷先生:これでOKです。文章体ですが、りっぱな英語。しかし、ふつうの学習書では関係詞の項目ではあまり出てこない。フランス語だと、of whichを繋ぎの部分に移動したりしますが、英語ではちょっとclumsy。前方移動より意味の「かたまり」を優先します。下にある前回の練習問題の(2)を参照。括弧がないので切れ目が分かりにくいですね。

ところで、The owner of it is unknownは、Its owner is unknownでもいいですね。

生徒:そうか。これなら切れ目が分かりやすい。

(3)の2 The red house whose owner is unkown is called a haunted house.

先生:名詞+’で表わす所有格と言う形は人間以外にはあまり使いませんが関係代名詞の所有格、whoseはものでもなんでも自由自在。あんまり応用範囲が広くて、日本語の連体形(~な名詞の形)で訳そうとするとすると無理な文はたくさんでてきます。ここでも訳さないで理解しようということが言えます。(下の練習問題の答えの2を参照)

The red house whose owner my wife said she met yesterday is said to have been torn down ten years ago.

生徒:whose owner my wife said she met yesterday=(My wife said she met its owner yesterday)ですね。上のようなwhoseを使った文は訳しづらいことが多いです。ところで、今回は分量は多いようですがあまり頭は使わなかったような気がします。

先生:そうです。むつかしい点はすでに扱い済みで、今回は、ま、機械的訓練に近いです。次回、もう少し長い文で、括弧という概念で関係詞節を理解すると読みやすくなるという実例の練習をします。

To be continued

前回の練習問題の答え:次の文字列をなんとか日本語にせよ。

(1)  --- the book which I learned the history of classical music in ---

「私がクラッシック音楽の歴史を学んだ本...」

(2)  --- the book the author of which I have known for long ---

「長年著者を知っている本...」(...、これは日本語では表しがたい)

= the book whose author I have known for long

(3)  --- the book they say is the best book to learn the history of jazz ---

「ジャズの歴史を学ぶのに最良と言われている本...」


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