外国語学習の意味、そして母国語について考えましょう

社内公用語の英語化、小学校での英語の義務化など最近「英語」に振り回され気味ですが、何故、どの程度英語を学ぶか考えます。

続続の(3/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

2018年09月17日 | 英語学習、教授法 新...

続続の(3/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

■二つ目、日英の語順の問題 

英語困難先生:そう。そこで、二つ目の「日本語と英語の順序が逆」という問題が浮かび上がります。前回述べたように、関係詞の理解の困難は、穴埋めなどではなく、日本語頭を英語に切り替えなければならないという点です。 

生徒:a flower which is redを赤い花と訳すのは自然ですが、which以下が長い場合、だいたい訳せない場合が多いです。 

先生:そのため「訳して分かる」では日が暮れます。英語の語順に頭を切り替えるということにエネルギーが必要です。 

生徒:続の2/3にでてきた、the flowers (which) the girl decorated her room withも訳すとちょっと不自然な日本語になりがち。

The girl decroated her room with the flowers.をthe flowersを限定している形に変えたものだ、と理解する練習が必要だということは分かりした。

先生:続の3/3ではもっと長い文も挙げましたね。こういう文は文法書の関係詞の説明の部分にはでないのですが、関係詞で躓くのは、じっさい、こういう文字列でしょう。下の文は続の3/3の例文と少し違いますヨ。

 --- the flowers the girl says her room was filled with the flavor of ---

 ■主語と動詞が離れていて切れ目が分からない

生徒:今の文字列で思い出しましたが、新聞などに出てくる、名詞+長~い関係詞節の場合だと、どこが切れているか分からないことにも悩まされます。前の例文では、The flowers the girl says her room was filled with the flavor of are called lavendars.になっていました。下線が主語と動詞ですが、高校2年、3年ぐらいにだいぶ英文に慣れていないと途中で忘れてしまいます。(意味がパッと分からない人は続続の3/3を参照)

先生:重要な点を指摘してれてありがとう。名詞のあとに長~い限定修飾があると、ofとareの間で切れていることが分かりにくいです。ここでは前置詞のofで切れているのでまだ分かりやすいですが、名詞だとそれを主語と思ってしまうかもしれません(The flower the girl found in the garden was beautiful.のthe gardenとwas)。

しかし、英語の書き言葉では、いくら長いからといって、センテンスの中心になる動詞の前にコンマを置きません。関係詞節(形容詞節)をコンマで挟む場合、意味が少し変わります。この点は、「もう一つの関係詞の習得法」で触れます。

これは日本語から英語に移る場合、宿命ですね。しかし、英語の語順の方が便利だということも言えそうです。それも「もう一つの関係詞の習得法」で。

■三つめ、語順の移動

先生:*This is the area which Ryoma lived in his childhood.の間違いが分かりますか。

生徒:?

先生:which以下の関係詞節(形容詞節)の元となった形は?。

竜馬生徒:Ryoma lived in the area in his childhood. あ、the area which Ryoma lived in in his childhood. または、the area in which Ryoma lived in his childhoodですね。

先生:そうです。前置詞を後ろに残したり、in whichの形で前に出したり。in whichの場合、繋ぎのために前へ移動しただけなので、inは直前のthe areaとは何の関係もありません。(live in:~に住む) 

生徒:ここから形容詞節が始まるよと示すためにin whichを前に出しただけということでしょうかね。 

先生:復習のため、続3/3で出てきた例も下にコピーします。

the flowers the girl decoated her room with (口語的)

the flowers with which the girl decoated her room (少々硬い)

生徒: 語順の移動ということが顕著に見られますね。 

先生:このように「前に移動する」、言い換えれば「あらかじめ言ってしまう」のも関係詞を分かりにくくする点です。でも、「前方移動」って中学一年で出てくるのですよ。

生徒:!? 

先生:疑問文です。「どの地方に竜馬は住んでいましたか」を英語にすると?。

生徒:What area did Ryoma live in?(口語的) または、In what area did Ryoma live?(硬い文体)

先生:でしょう?。前方移動というのは基本的な疑問文で学習するのです。関係詞節の前方移動は、疑問文の応用です。

生徒:ここでも「理論」が登場しました!。関係詞の習得には、疑問文の習得が条件だ、right?。

先生:That's it! だいぶ「理論の必要」ということを繰り返し述べてきましたが、刷り込みというとではなく、関係詞という一つの文法項目から、「理論が可能だ、必要だ」ということを理解していだけたらこの項目の役目は果たし終えたことになります。

生徒:関係詞というと、whichかwhereかというような穴埋め問題だということが刷り込まれがちですが、じっさい、私たちが関係詞の習得で苦労するのは、⓵限定か、前へ進むかの区別、⓶英語と日本語では語順が逆、⓷語順の移動、の3つの点ですネ。

先生:一人一人の学習だけでなく、教科書レベル、教室レベルの指導法でもそこを間違えると、学習能率の低下、英語がいつまでも読めない、また、それ以上に生徒の学習意欲の減退を招く可能性があるのではないでしょうか。

最終回の次回は、最初に戻って、なぜ「理論」が必要かということを、文法にとどまらず、それを支える、英語学習の意義について触れながら述べます。続続の1/2に、英語と日本語の違い知ること、と書きましたが、その理由です。関係詞のダイアローグの方は、いままでとは違うアプローチです。どちらの学習法がいいか考えてください。

To be continued

練習問題:次の文字列をなんとか日本語にせよ。

(1)  --- the book which I learned the history of classical music in ---

(2)  --- the book the author of which I have known for long ---

(3)  --- the book they say is the best book to learn the history of jazz ---

 

 


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