私は疑問に思ったので質問してみた。
「死神さん(で、いいのかな)。もしかして数学が苦手ですか?」
「素晴らしく得意ってほどは、まぁ得意ではないかも。
でもアレだ。
俺にはなんでもお見通しの死神アイがあるから、細かい計算なんてどうでもいいんだよ。死神アイはモノゴトの本質をズバリと見抜くのだ!
ただ、近眼なんで細かいところは良く見えないけど」
死神は右手の親指でメガネをずりあげた。
「めんどうなんで、おおざっぱに世界の子供の3分の1が飢えた子供だとする」
死神は話を続ける。
「そして、その飢えた子供達をなんとかしようと、『世界の偉い人達』が集まって会議を開いたとしよう。
そこで、日本の子供は好き嫌いばかり多くて給食を残すぐらいなんだから、1日2食で十分ですと偉い人達が決めて、とりあえず日本の子供の給食を無くす事にしてみた。
その給食の分の食料は世界の飢えた子供達に分け与えられ、多くの飢えた子供の命が助かった。
だが、どうだ。日本のあんたら子供達は、給食がなくなって昼休みはただの長い休憩時間になってしまった。
1日2食と決められちゃったから、オヤツも買い食いも禁止。
昼休みが終わったら、何も食べないで授業。
しかも体育だっ!
さー、どうする!?」
「お腹すくと思います」
「そうだな。
でも、その程度の空腹で、飢え死に寸前の子供達の命を救えるなら安くはないか?
人間1人の命は、だって地球より重いんだろ?
だったら1食ぐらい平気で抜けるよなぁ。
ただし、そういう世の中になったら、もう一生おひる禁止だ。
死ぬまで、おやつも買い食いも禁止で、朝飯も夕飯も決められた量以上は食べられない。
それでもいいかい?」
「私はいい。私はそれでいい。それで、たくさんの命が助かるなら給食ぐらい我慢する!」
「あんたはそれでいいとして、他のみんなはそれで納得するかな?」