墨汁日記

墨汁Aイッテキ!公式ブログ

平成マシンガンズを読んで 17

2006-09-01 20:28:09 | 

 ふと思い出す。
 西川  聖美って子がいたんだ。

 私の小学校では、4年生から「合唱コンクール」に参加する。

 ピアノが得意な西川さんは、4年生の時に合唱の伴奏をした。みんなで練習して西川さんは常にリーダー格だった。合唱コンクールで自信をつけたんだろう。5年生でクラス替えがあった時に、西川さんは「クラス委員長」に立候補した。
 そのクラスの男子のボスは柴田君だった。柴田君は4年生の時に西川さんとおんなじクラスで、私と同じに西川さんにはなんの恨みも抱いていなかったはずだ。
 その時にクラスの女子を統合しかかっていたのは、南さんだった。南さんは女子のクラス委員に立候補したがわずかな差で西川さんに破れた。

 男子の学級委員は、いつもヘラヘラしてなんだか解らない平野君で、女子の学級委員はクラス委員長でもある西川さん。

 ある朝に学校に行ったら、西川さんが叫びながら逃げまわっている。
 クラスの男子全員が「西川ーっ」と追いかけ回し、クラスの女子は「聖美ーっ」と行く手をはばむ。
 なんだろう、新しい鬼ごっこなのかなと思ってぼんやり見てたら、柴田君は自分の席に座って外を眺めている。西川さんを追い回す男子の主格は平野君。西川さんをさえぎる女子の主格は南さん。

 あ。これはイジメなのかもと理解する。

 ちなみに、南さんは洋子という名前で、6年の時には些細な事でクラスのボスから転落し私以外に友達もいなくなった。西川さんはさっさと「私立」に転校した。


平成マシンガンズを読んで 16

2006-09-01 19:35:14 | 

「でも、人殺しよりもっと向いてんのは呪術師だな。そのくらいあんたの憎悪の力は強くて、暗黒女王と形容しても言いすぎじゃない」

 死神は私を「暗黒女王」とまで言い切った。そんなに私ってハラ黒なんだろうか?

 そうかもしれない。

 それは認めたくない事なんだけど、私もうっすらと自覚はしていた。「暗黒女王」とまではいかないにしても、自分はひどい人間であると。
 私は今でも自分を産んでくれた母を死んじまえと恨んでいる。

「自分では分からないだろうけど、君はとんでもない『邪眼』の持ち主だ」

 わぁ、穴ぼこみたいな目をした死神にとうとう『邪眼』の持ち主とまで言われた。私の暗黒レベルは幾らなんだ!

「クラスのいじめっ子に馬鹿にされる事はあっても、本格的にいじめられた事は1度もなかっただろ?」

「え、はい」

 確かに、そういえば不思議と本格的にいじめられた事はなかった。
 自分で言うのもなんだが、私はどちらかと言えばいじめられる側の人間だ。運動が苦手でトロいしクラスメイトの会話にもなじんでない。「普通」の範疇より劣っていて、いついじめのターゲットにされてもおかしくない人間だ。
 当然に、たまにいじめの前兆みたいのはあったのだけど、なのに、いじめはエスカレートせずに必ずある程度で止んでしまう。
 何故だろう。
 私は運が良かったからだと思っていたけど。

「あんたの目にいじめっ子が恐怖を抱いたからだよ。あんたが『やめてよ!』と怒って睨みつけるだけで、いじめっ子はビビってしまう。とくに男子はそういうのに敏感だ。ビビりながらイジメはできない」

 そうか、私がいじめられないですんだのは暗黒なせいだったのか。私ってやっぱり『邪眼』なんだ。なんだぁ邪眼ってけっこういいじゃん。

「女子があんたをいじめないのは、劣っている者をいじめる習性が女子にはないからだ。むしろ、劣っている者を守ることを美徳とする。クラスの女子のボスにあんたはいつも容認されていた。だから女子は手を出さない。弱者を狩るのが男子のイジメで出るクイを打つのが女子のイジメだ」

 ふーんそうなんだ。

「統合するなら、あんたはあまりにとろくって暗黒な為に、女子も男子も手を出せなかった。いじめられのにはちゃんと理由があるように、いじめられないのにもキチンと理由がある」

 とろくて暗黒!
 こんな評価は聞いた事がない!
 いや、私にだって少しや素早い部分や、善良な心もあるはずだ!

「なんだか、不服そうな顔だね」

 カチンときた。
 トロいとか暗黒だとか言われるのより「不服そうな顔だね」って言われたのに怒りがわいてきた。
 どんな顔しようと私の勝手だ。
 表情で私の心を決めつけるな!

 思わずキッと睨んだら、死神は明らかにビビった。
 どうしようっていう顔だ。
 はじめて死神の顔から表情が読み取れた。

 えぇっ、私って死神すらビビるほどの邪眼なの?