墨汁日記

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平成マシンガンズを読んで 52

2006-09-24 19:49:13 | 

「愛はある」

 死神は言った。

「だが、愛をほとんどの人間が勘違いしている。人の愛は永遠でも清らな物でもない。ただの人を求める気持ちだ」

 死神は言う。

「愛はただの他人への執着だ。
 愛にとらわれないないですむなら、他人への関わり方にだけ気を配れば良い。だが、他人に期待し他人を求め、執着するから愛が生まれる。
 大好きって気持ちが『愛』なのではない。大好きにこだわる事が『愛』という執着を生むのだ。
 人を縛り、自分の思うようにしてほしいと望む心が『愛』なのだ」

 死神はさらに言う。

「あんたのお父さんは、家族を愛している。手に入れた家族を無くしたくないから必死に働いている。そのため、不安定なお母さんとも、なんとか共存しようと頑張った。手に入れた家族を失う事が怖いからだ。お父さんが家族を無くしたくないと執着したからこそ、あんたは半分おかしいお母さんと向き合わねばならなくなった。
 同時に、あんたもお父さんを愛している。
 心のどこかで、お父さんがいなけりゃ自分なんか生きていけないと思っているからだ。お父さんへの執着がいつの間にか、お父さんから見て私とお母さんのどちらが大切かという話に変わって、お母さんと自分との重要性の差という考えになり、やがてお母さんを排除した優越感にすり替わった。
 あんたとお父さんは、間違いなく互いに愛し合っている。
 思いきりすれ違いで自分勝手だけどね。
 互いに相手を無くしたくない。
 お父さんにとっては、最後の残された家族。
 あんたにとってお父さんは、いてもらわないと自分の生存すら危うくなる相手。
 身勝手に求める心、それが愛だ!」


平成マシンガンズを読んで 51

2006-09-24 19:15:41 | 

 家族は血でつながっている。
 だけど、私の意思とは関係なく親と私は断絶されている。
 私という子が存在するという事は、その私を生んだ親が存在するわけで、私を生んだ両親の子を生もうという意志と、いま存在する私とは何の関係もない。
 だから私が生まれたくて生まれたという事など絶対にないはず。親とは違う生き物という点で、すでに親と私との断絶は生まれた瞬間に決定される。

 生命が排泄物で、生きる事や、私そのものがウンコであるという考え方は面白い考え方だが、死を絶対視する死神の言う事だから、あまり真剣に聞かないほうが良い。

 死は死神の言うように救いであり安息であり得るか?
 そんな事は、死んでみなきゃ解らない。

 とにかく、死神がなんと言おうと私に復讐する気はない。
 それだけは確かだと思いたい。

 怖いのは、死神が「愛」を口にする時だ。
 私が誰にも愛されてなく、また私が誰も愛していない事を死神に証明された時に、私は正気でいられる自信がない。
 それをされたら私は私をも含めた全ての人間に対して「復讐」するしか手はなくなるかもしれない。