墨汁日記

墨汁Aイッテキ!公式ブログ

平成マシンガンズを読んで 28

2006-09-07 19:18:03 | 

 質問されちゃったよ。
 めんどくさいな。「わかりません」ですましちゃおうか。
 でも、この質問の答えは考えれば解りそうだ。
 まず、死神は『死の前では生命は平等である』と言っているだけで、『平等に生命は尊い』なんて事は一言も言っていない。
 むしろ、死神の言いたい事は逆だ。『どの命も虫けらと同価値である』というのが死神の言う『死の前では生命は平等である』という言葉の本意だ。

「ようするに、『死』の前ではミジンコも子猫も同等な命であるということですよね?」

「そうだ!」

 それならば、猫を可愛いという思いは単なるえこひいきって事になる。
 ミジンコを可愛いと思って飼う人はあまりいないだろう。そもそも理科の実験でもなけりゃミジンコなんて飼わない。

「猫を可愛いと思うのは人間のエゴで、可愛くないミジンコだって生きていることに変わりない?」

「うん」

 そうすると、虫を平気で殺せる人が、その一方で猫殺しを非難するのは単なるえこひいきって事になる。それが、死神の言う『生命のランクづけ』ってことだろう。そういうふうに考えるなら、須藤さんが良く語っていた『仏教』の教えが応用できる。

「猫を殺すのも、蚊取り線香をたくのも罪の重さに変わりないって事ですよね?」

「そうだ、そのとおりだ」

 解けた。

「なら、結果が同じになる事の、罪の重さは同じです」

「そうだな」

 死神は言う。

「お前はおそろしく頭がいいな」

 いやいやそんなそれほどでも。

「その腹黒さに、その悪知恵が加わりゃ、怖い者なしで天下一の犯罪者になれる!」

 いやいや犯罪者になるつもりはないから。