墨汁日記

墨汁Aイッテキ!公式ブログ

平成マシンガンズを読んで 33

2006-09-11 19:43:02 | 

「他人を非難するなんて簡単な行為だ。口をパクパク動かして肺から息を吹き出せば、罵倒なんかいくらでも湧き出てくる。
 それに比べ、2人の勇者は考えこそ足りないかもしれないが、自分の金を使い、自分の足で移動し、自分の手で行動をおこしている。
 多数決によっかかって、口だけの人間に勇者を責めることはできないはずなんだが、つい動いちまう口は本人には止められない。言いたい事を言うのだって当然な権利だ。
 おばさんは、野良猫に餌をやると猫が増えるから困ると周りから責められる。男は、猫ちゃんを殺すなんて可哀想と周りから罵倒される。
 周囲でワイワイ言う連中こそ勝手だよな。
 オイオイ、どっちなんだよと思わないか。猫に減ってもらいたいのか、増えてもらいたいのか。
 単なるそれぞれの個人的見解による罵倒じゃねぇかとすら思える。
 だが、じつはソレが正論であったりするのが、世間の怖い所だ。
 ようするに、世間の野良猫への評価を総合しちまえば、『野良猫にはいっさい関わるな』って事で、ソレが結局正しいのかもしれない。
 誰も、野良猫に餌をやらないと徹底するなら、野良猫はわざわざ殺すまでもなく自然の摂理で適正な数になるだろう。
 誰もカラスになんか餌をやんないのに、カラスが勝手に生きてることからも、それは推測できる」

 死神は言葉を切った。私は続きなんか聞きたくもないけど、つい言ってしまう。

「うん」

「勇者も、勇者を非難する者も、個人としては間違っている。
 ただ好き勝手な事をして、好き勝手な事を言っているだけだ。
 だが、総論として見るなら、非難する者の意見が、じつは正論だったりする。だが、それとて人間がつくった共同体の中でのはなしで、じゃあ、野良猫達にとって何がどうなのかと言えば、どうなんだろう?
 野良猫に明確な意志表示はないが為に、人間が勝手に判断して好き勝手にやっているだけで、野良猫からしちゃ人間さえそもそもいないければ、こんな辺境の島国にまで分布する事もなかっただろう。
 猫にとっちゃ人間に飼われる事が不幸の始まりだったのかもしれない。
 全ては人間の身勝手さが生んだ猫の不幸だ」


平成マシンガンズを読んで 32

2006-09-11 18:54:13 | 

「野良猫の暴挙に悩むご近所の方々、町内はすでに引き裂かれ散乱したゴミ袋と猫の糞が累々と横たわるのみ。
 そこへ、2人の勇者が現れた。
 1人は餌の入ったコンビニぶくろをぶら下げたおばさん。
 もう1人は毒入りの餌をコートに忍ばせた男」

「勇者か、かっこいいね」

 でも、待てよ。なんだか怪しい勇者だな。

「互いに勇者であるが、2人は相反する者である。両者が議論してもけして双方の合意は得られないであろう!」

 ふーん。

「勇者のおばさんは考えた。
 野良猫は可哀想である。とにかくいつだってお腹をすかしている。だから、野良猫はゴミ袋を破くのだ。
 せめて野良猫達の空腹だけでも満たしてやれば、ゴミ袋を破かなくなるはずだ。糞は生きてんだから仕方がない。
 そう考えた勇者おばさんは私財をなげうち足を棒にして野良猫に餌を与え続けた」

 オォ、おばさんスゴい!

「もう1人の勇者である男は考えた。
 野良猫は可哀想だ。生きる為には食わねばならないのに、食えばゴミを散らかすと嫌われ、食ったもんを排泄すればさらに嫌われる。
 野良猫は生きているかぎりご近所に目の敵にされる。そして人間におびえ飢えや寒さに耐えねばならない。いっそ、死んでしまえばお腹もすかないし、寒さに震える事もない。
 そう考えた男はコートのポケットに毒入りの餌を入れて、野良猫の毒殺を続ける」

 あぁ、男の行動は死神風な考え方だ。死神は男の味方をするんだろう。

「どちらの勇者も自分の信念に基づいて、正義だと信じ込んで、本気で野良猫の為を思っての行為だが、どっちも問題の根本的解決にはなってないし他人から見たらどちらも非難される行為だ」

「うん」

「おばさんが良かれと考えて野良猫に餌をやれば、野良猫は栄養を貯えて繁殖し、さらに可哀想な野良猫が増えるだけだ。
 男が死んじまえば楽になれるんだよと考え野良猫を殺してまわっても、一日に車にひき殺される野良猫より多い野良猫は殺せないだろう。確実に根絶やしにしないかぎり哀れな生命は増え続ける。
 そして、どちらも他人から見るなら非難すべき行為だ」


月曜の朝

2006-09-11 05:50:35 | 携帯から
早朝3時すぎに、ゴロゴロという雷の音で目を覚ました。雨音も激しく、ひどい雷雨のようだ。うるさいので窓を閉めて寝直す。

5時前に起きても雷は止んでいない。しかし外に出ると西の空に晴れ間があり、雨のふりもたいした事はない。じきに止むだろう。