人の、物を問ひたるに、知らずしもあらじ、ありのままに言はんはをこがましとにや、心惑はすやうに返事したる、よからぬ事なり。知りたる事も、なほさだかにと思ひてや問ふらん。また、まことに知らぬ人も、などかなからん。うららかに言ひ聞かせたらんは、おとなしく聞えなまし。
人は未だ聞き及ばぬ事を、我が知りたるままに、「さても、その人の事のあさましさ」などばかり言ひ遣りたれば、「如何なる事のあるにか」と、押し返し問ひに遣るこそ、心づきなけれ。世に古りぬる事をも、おのづから聞き洩すあたりもあれば、おぼつかなからぬやうに告げ遣りたらん、悪しかるべきことかは。
かようの事は、物馴れぬ人のある事なり。
<口語訳>
人が、物を問うに、知らなくもあるまい、ありのままに言うのはおこがましいかな、心まよわすように返事する、よからぬ事である。知った事でも、なお定かにと思って問わないか。また、まことに知らない人などもあろう。うららかに言い聞かせるは、おとなしく聞こえるよ。
人はいまだ聞き及ばない事を、我が知ったままに、「さても、その人の事のあさましさ」などばかり言いやれば、「いかなる事のあるにか」と、押し返し問いにあうこそ、心づかなかろう。世に古びた事をも、おのずから聞きもらすあたりもあれば、おぼつかなからぬように告げてやろう、悪いことか。
この事は、物馴れない人がやる事である。
<意訳>
人に質問されて、こんな事を知らないはずもないな、ありのままに言うのつまんないなと、あやふやに返答する事がある。これは良くない事だ。
他人は、自分が知っている事でも、なお定かにしたいと思って質問しないだろうか? また、マジになんにも知らないって人もいよう。
知っている事を簡単に言い聞かせるなら、素直に耳に届く。
人がまだ聞き及ばないことを知っていると、つい、
「さて、あの事件のあさましさと言ったら」
などと語ってしまう。
「その事件のどこがあさましいのですか?」
と、人から聞き返されると、マジで驚く。
人は、様々で、誰もが知っているような古い情報でも聞きもらす事だってあるのだ。誰にでもわかるように語り聞かせる事は悪いことであろうか?
世間を知らない人こそ、ワケわかんない難しい事を言う。
☆愛の感想☆
チッス!
またマダムです。
そんなこんなあんなで、灯油販売巡回車はアコギです。
マダムは灯油は買いませんの。今年の冬もオコタと厚着と皮下脂肪でみごとに乗り切りました。
ま。しょせん東京の冬ですから。気力でたえられます。
それで、仕事の帰り道。
傘さしながらボンヤリ歩いていたら、灯油の巡回販売車とすれちがいました。
「こちら、灯油の巡回販売車です。御用の方は容器を出してお待ちください。18リッターで、1380円です」
ついこないだまで。
冬本番の寒さの頃は1500円くらいの値段で売ってた灯油が、あったかくなって灯油が売れなくなりだしたとたんに「1380円」。ガソリンは値上がりしたのに灯油は値下がりかよ。
アコギだ。
きっと、灯油の値段は「アコギ星」から来た「アコギ星人」が設定しているのだろう。
原作 兼好法師
意訳 マダムprotozoa