悔しいやりきれない思い

　俺は三十代でもう中年のおじさんなんだが、いつまでたってもバイトくんなので年下から「内山クン」とか「うっちー」とか呼ばれる事が多い。

　まぁ、どうでもいいことだ。

うっちー

　ガジュマルが二鉢になったんで、区別のために名前でもつけてやろう。

　俺はあざとくはげしくひいきするので、日曜日にホームセンターで買ってきたはじめてのガジュマルにはマトモな名前をつけてあげよう。
　そして、ふた鉢目のガジュマルには屈辱的とも言えるひどい名前をつけてやろう。

　では、命名。

　ひと鉢目は、「農林１３号」

　ふた鉢目は、「内山憲久」

　なんか、人参っぽいからね。「農」を使いたかった。
　「内山憲久」はもはや、俺の中では史上最強に屈辱的なひどい名前だ。

　通称は。

　ひと鉢目は「１３号」
　ふた鉢目は「うっちー」で。

　まぁ。それで。

盗ってきた

　ガジュマルの根っこを買った。
　葉が茂り、根っこはうねうねしていて可愛らしい。

　ただ。

　俺が一番、怖れているのは、このガジュマルがどっかの東南アジアの国に自生している野生のガジュマルの樹の根っこを盗って来たもんなんじゃないかということだ。
　俺が量販店で買った樹の根っこは相場より安すぎる。
　まともなお店やネット販売ではガジュマルの根っこの相場は９００円から１５００円。

　俺が買った根っこの値段は、３９９円。
　もちろん鉢は適当だし、葉っぱのつきも悪い。それにしても相場より安すぎる気がする。
　ちなみに、昨日買って来たふた鉢目のガジュマルは４９０円だった。
　その鉢にさしてあったメーカーのただし書きには日本語とともにインド語っぽいローマ字でなんか書いてある。あるいはこのローマ字はラテン語なのだろうか？ぜんぜん解読不可能だが、どこか東南アジアっぽい風情の文字だ。

　国内で栽培されているガジュマルが９００円以上。
　東南アジアからダイレクトに盗って来たガジュマルが５００円以下。
　俺が買ったガジュマルは野生のガジュマルを盗って来たものだとすると、すごく嫌だ。

外におく

　今朝はくもり。
　昨夜はさほど蒸し暑くなかった。少しだけ空気が乾燥しているような気がする。おもてに出るとやや肌寒く、風はない。
　今にも雨がふりだしそうな天気だが、最近の天気は良くわからないから午後には晴れるかもしれない。

　昨日の夕方に植え替えしたガジュマルと、日曜日に買って来たガジュマルを、二鉢とも玄関わきの外に置いて来た。
　風でたおれたりガキにいたずらされたりはしないかと気にかかる。