色々な組織と交渉することが増えてきた。なんとなく思ったことがこちら。
1978年に開始されたソ連・アフガニスタン戦争で、ソ連は大兵力を投入した。中央アジアの交通の要衝であるアフガニスタンを確保するため、当時の最新兵器を投入して攻撃したのである。首尾よくソ連の傀儡政権を建てたまでは良かったが、現地人のゲリラ攻撃に苦しむことになった。もともとアフガニスタンは山がちで険しい地形が多く、重装甲の軍用車両を簡単には投入できないことが少なくなかったのである。徒歩で小火器だけで戦闘するとなれば、火力においては条件は互角、こうなれば地の利を知り尽くしたゲリラに当然分がある。
Wikipedia「アフガニスタン紛争(1978年-1989年)」
ここで戦局を打開すべくソ連軍が投入したのがMi-24「ハインド」攻撃ヘリコプターである。重装甲のヘリコプターで、ゲリラが携帯している小火器程度では命中してもびくともしなかった。撃墜したければ対空砲を準備しなくてはならないが、こちらは一番軽くても重量数百kgを下らないもので、こんなものを持って徒歩で山岳地帯を移動できるわけはない。一方ハインドの側は機関銃とロケット弾がある。空中からゲリラを発見すれば、戦いは一方的なものになった。「シャンタラム」にもこのころの戦いの描写が出てくる。当時のアフガニスタンの戦況にマッチした兵器であったことは間違いなく、ゲリラ相手に猛威を振るった。
Wikipedia「Mi-24(航空機)」
シャンタラム
これに対抗してアメリカがCIAを通じて現地のゲリラに供給したのがスティンガー・ミサイルである。携帯式の対空ミサイルで、ハインドに命中すれば十分撃墜できる能力があった。赤外線誘導方式で、照準を合わせて発射さえすれば、高確率で命中が期待できた。重量も一つ15㎏程度、ゲリラが背負って山岳地帯を走破することは十分可能であった。結局これが同戦争の戦局を変えた兵器となった。多数のヘリコプターを撃墜されたソ連は損害に耐えられなくなり、1989年にソ連の撤退で戦争は終わる。
Wikipedia「スティンガーミサイル」
このスティンガー・ミサイルは決して万能な兵器であったわけではなく、1)バッテリーの持続時間が短い。スイッチを入れたら45秒以内に発射しなくてはならない、2)有効射程距離は4000m前後、高空を飛ぶ目標は打てない、3)発射後はミサイルが煙を吐きながら飛ぶので、発射地点が敵に分かってしまう。敵の航空機に命中しない、あるいは2機以上敵機がいた場合は射手は反撃される、4)目標そのものは目視で発見しなくてはならない--などの欠点を抱えていた。ただそれでも戦局を変えるのに至ったのは「ゲリラでも携帯でき、当たりさえすればハインドを撃墜できる」という一点をクリアしていたからである。
で、思ったのは「相手方に対して、たとえ一点だけでも優越する点を持っていれば、他の部分が劣っていても、少なくとも『全く交渉にならない』という事態にはならない」のではないかということ。自分の持つ強み、すなわち相手方から見た場合、自分の何に相手が着目しているか、とうことは時々考えて見なくてはならないと思う。
新人たちを見て