スウェーデン生活+その後

2010-2013年スウェーデンに在住し帰国。雑記、鳥・植物の写真
*海外情報はその当時のもの。
*禁無断転載

履歴書の名前を変えてみたら

2013-02-06 23:41:53 | 時事問題
スウェーデンでは移民に対する差別を明確な形で目にする事は稀である。もしあなたに対して公式な場所で人種差別的言動をしてくる人物がいたら、恐らくあなたの同僚や上司のスウェーデン人はかなり明確にその人にNoを突き付ける事は確実である。これは自信を持って断言できるし、間違いなくこの国の良いところ、なのであるが。
やはりそうは言っても完全に何もかも平等とは行かない、という部分もある。スウェーデン英語誌The localより。
http://www.thelocal.se/46022/20130205/
スウェーデン中部ウプサラ(Uppsala)大学に通うルーマニア人の学生が就職を試みたのである。あちこちの企業に履歴書を送るがどうにも返事が芳しくない。合計で200通以上送ったが返事はゼロである。そこでこのルーマニア人学生が一策を案じ、自分の本名で書いた履歴書20通、スウェーデン風の名前に「名前だけ」変えた、すなわち学歴などはそのままの履歴書を20通スウェーデンの企業に送り付けたのである。結果どうなったか。本名の履歴書には返事はゼロであったのに対してスウェーデン風名前の履歴書には13通のオファーが来たのである。
この手の話は彼だけではない。昨年にもソマリア人難民の就職に対する調査が発表されたが、それによるとスウェーデンに来たソマリア人移民の20%しか就職が出来ていないのに対し、北米に行ったソマリア人移民の約半数が就職できている事が問題になったりした。
http://www.thelocal.se/44236/20121105/
もちろん雇う側にも言い分はあるであろう。商売で雇う以上、雇う方も真剣勝負である。自分が見るところ、スウェーデン語能力、男女平等などのスウェーデン社会での一般的な価値観、生活習慣などについて、移民が職場に適応しきれるか雇用側が不安を感じているのではないだろうかと想像する。ただ周囲を見ているとそれらの主張が正面切っての激しい議論とはならず、スウェーデン流の--と言っては失礼かも知れないが--「本音」と「建前」の世界で話し合われている感がするのである。結局問題が一種の「タブー」の様になって議論が中々進んでいない印象がある。
日本でも移民受け入れ是非についてはあれこれ議論がある様である。ただスウェーデンの場合、既に全人口の14%以上が外国生まれという状況なので、既にもう「受け入れを是非」という段階ではない。今後どういう方策を取っていくのか、注目である。
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