先日も書いたスウェーデンの子育て支援について。スウェーデンは出生率の回復に成功しているが、その隣のドイツは子育て支援にも関わらず中々出生率が回復しない事で知られる。2010年現在、出生率1.39となっている。しかしドイツと言えば何事にも丁寧に政策に取り組みそうなイメージ(あくまでイメージだが。。。)があるが、果たして実際のところどうなのだろう?何故ドイツの出生率は回復しないのだろうか?
と言う事を思っていたら先日、ドイツ人の同僚の女性とFIKAの時にその話になった。彼女の話の要点を整理すると大体以下の通り。
「確かにドイツの出生率は低いと思う。ドイツ政府も色々手は尽くしている様ではあるけれど、今一つ有効に機能していないと言うのが私の印象だ。例えば幼稚園も原則3歳から預ける形になっていて、それ以下の年齢の幼児を預けるのは容易でない。中々託児所を見つけられないのだ。結局仕事のキャリアがストップしてしまい、その後の再就職を困難にしてしまう。特に問題なのが、年配の人達を中心に「子供のいる母親は家庭にいるべき」という価値観が強い事で、これが一番困る。周囲から『何しているの?』と言う様な眼で見られてしまう訳だから。
別に幼児を抱えている時に仕事をしなくて済むのなら、私としてはそれはそれで構わないと思っている。でも社会情勢は今どんどん変化している。まず男性だけの稼ぎで家族が食べて行けるとは限らないし、また解雇されたり転職したりで同じ会社に一生勤められる確率も減った。どこでどうなるか先が読めないのだ。全体として、女性も仕事を継続した方が良い社会情勢なのだと思う。
これまで幼児を抱えながら仕事を継続する女性は両親の助けを借りるのが一般的であった。ただ、こちらも最近の仕事では、遠隔地に転勤を命じられるケースが増えて来ている様に思う。また両親の方も定年が延長されて60歳代でも働くのが当然になってきて、こうなると両親に助けを求める事も叶わない。結局、社会制度として保育設備を充実させてくれないと、子供を持つという選択それ自体が出来ないのだと思う」
。。。そのまま日本にも適用出来そうな意見である。特に「仕事の状況が変わって来ている」点については日本もほぼ同様ではないだろうか?これもまたモルトケの時代の鉄道技術・電信技術と同様、「時代の変化に合わせて」組織を変化させていかなくてはならない状況と思う。
新技術とモルトケと
ちなみにスウェーデンの保育園は1歳から預け入れ可能(申請はその前から可能)、保育料は一人目の子供が月収の3%、二人目の子供は月収の2%などと月収に応じて定められている(ただし上限があり、高収入でも無制限に上がったりはしない)。申請から3カ月以内に保育所が確保されるのが原則である。
子ども手当のこと