『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

価値観がガラガラと崩れていく

2017-12-19 19:01:44 | イスラム世界


『となりのイスラム 世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代』(2016年)内藤正典著 ミシマ出版

今日の一冊はコチラ。物語ではなく、中学生以上向けのイスラム解説本です。JPIC読書アドバイザーの宿題の一つに “書評”があるのですが、こちらの本を選びました。

これ、すごくイイです!!!イスラムの歴史から、なぜ今西欧社会でこれほどまでに衝突が起こっているのかが、とても分かりやすい言葉で書かれています
しかも、机上の空論ではなく、著者の内藤氏が実際にイスラムの世界に足を何度も運び、彼らの声を直接聞くという、徹底したフィールドワークに基づいているんですね。だから、他のイスラム解説本とは一線を画し、説得力が違うんです。

とはいえ、日本人にとってイスラムと言っても馴染みがない人がほとんどですよね。2020年の東京オリンピックに向けて、イスラム教徒の人たちが食べられるハラルフード対応に追われているらしいとか、なんだかテロが続いて怖いぞ、くらいの認識の人が多いのが現実じゃないでしょうか?

多くの日本人にとっては、まだまだ身近ではない。(一部の視野の狭い人たちは、ここぞとばかりにモスクに脅迫状を送ってりもしたようですが
自分に関係ない、差し迫った問題じゃないと思ったら、こういう本手に取らないだろうなあ。ほかに読む本いっぱいあるし。

それでも!!!
強くおすすめする理由は、自分がいかに偏見に満ちたフィルターを通じて物事を見ているかに気付かされるから。自分が当たり前だと思ってた価値観や常識がガラガラと音を立てて崩れているから(これ、相当ショックです)。
そして、何よりも、相容れない価値観の人との共存の道が描かれているからなんです。相容れない価値観の人との共存・・・実は家庭や職場、学校などすべての人間関係にも通ずるものなんじゃないかな、って。だから、読んでほしいんです。

先日、トランプ大統領がエルサレムを首都認定しましたね。
まっっっっっっっっったく、このアホーーーー!!!!!って憤りましたが、それをほとんど報道しない日本のマスコミも終わってるな、って。第三次世界大戦につながる可能性もあるのに。

もう西欧の価値観が世界を支配し、啓蒙できるという考え方は幻想なんだ、ということがこの本を読むとよく分かる。
この本読んだら、キリスト教とイスラム教に対する印象が逆転する人も出るかもしれません(私はそう)。

なぜ、平和なはずのイスラムから、『イスラム国』という“病”が生まれてしまったのか。こちらから、歩み寄り理解しなければ平和への道はない。
まず、価値観の違いをきちんと認識し、相手をリスペクトして受け入れる。
神から離れることで「自由」を獲得していった西欧社会、神の下にあることで「自由」を得るイスラム世界。

平行線のように見えるけれど、共存って可能なんです。だって、昔のイスラムはユダヤ教ともキリスト教とも兄弟関係にあって、友好関係にあったんですもん。以前もおすすめした、こちらもあわせておススメ↓



読了後は、なんとなく怖いと思っていたイスラム世界が、身近に感じられることでしょう。
自分の物の見方をもう一度考え直すきっかけになる良書です。


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