『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

長男と『弟の戦争』

2016-05-31 21:02:03 | イギリス文学

『弟の戦争』ロバート・ウェストール著 原田勝訳 徳間書店

なぜかアクセス数があがる人気シリーズ、我が家の長男(笑)。
ほーんと話題提供にこと欠かないというか、いろんな学びをさせてくださる長男さま
昨日は学校側からすすめられて、教育センターの相談員の方と2時間近くしゃべりまくってきました♪
「先生の悪口言いやすいように先生抜きで女子会しましょ」って茶目っ気たっぷりの相談員の方は、自分の親と同じくらいの年齢。とても包容力のある方たちだったので、私も思わず涙腺崩壊泣きっぱなしでございましたよ。ここ数日の長男の荒れっぷりがはんぱなくてホーント疲れていたので・・・(立ち直りも早いんですけどね)。周りにこうやって力になりたいと思ってくれる人たちがいるって本当にありがたいことです。先生たちも学年超えて、み~ないい人ばかり

さて、そんな長男。新学期が始まって、他の子もみんな不安を抱えているのですが、どうやら自分以外の子たちの不安も、まるで自分の感情かのように全部背負ってしまっているようです。自分の感情と他人の感情の区別がつかず、混乱。共感力が強すぎるというか・・・。暴れている姿からは想像できない優しさが実は根底にあるんですね。そんな長男を見ていていつもかぶるのが『弟の戦争』です。

≪『弟の戦争』あらすじ≫
他人の感情をそのまま感じてしまう心優しいフィギスは、ある日自分はイラクのラティーフという少年兵だと言い始める。湾岸戦争が始まった年のことだった。その弟の秘密に一人気づく兄。どうすれば弟は助かるのか。やがてこの世には科学では説明のつかないものもあると理解してくれる精神科医のラシード先生に出会い、少しずつフィギスはラティーフから解放されていく。



各種の賞を受賞しているこの作品、とっても考えさせられるし、読んだときは長男と重なったこともあり、背筋が凍りそうになりました。
直接戦争の現場の悲惨さを描くのではなく、舞台は平和なイギリスです。フィギスにラティーフという少年兵を憑依させることによって、一気に戦争を自分の問題として考えられるようにしてくれる物語。

まるでゲームのようにテレビ中継される湾岸戦争、私もその小ぎれいさ違和感を覚えたこと、思い出しました。フィギスの父は尊敬できる善良な市民なのに、テレビを見ながらまるで観客のように多国籍軍を応援する・・・ああ、マインドコントロールってこうやってされていくんだな、と。とても現実的で自分もともするとそちら側になるんじゃないかとぞっとします。

そして、希望も何もないラティーフの世界をフィギスを通して見ると、とたんに見え方が変わってくる。
こんな世界に誰がした?本当にフセインが悪くてアメリカが英雄なのか?
戦争に限らず、立場が違えば違った現実が見えてくる、それをこの物語は教えてくれます。

戦争は良くない!戦争反対!・・・なんて書いていない。ただ淡々と向こう側の人を見せてくれる。無意識下にせよ、自分もアメリカ人の命のほうがイラクの人々の命よりも尊い、とどこか感じていた部分がないと本当に言えるのだろうか?と考えさせられます。

後味はあまりよくないけれど、これは大人こそ一度は読んでおきたい名作です。
ウェストールはテンポよくぐいぐい読ませてくれるので本が苦手な子にも。小学校中学年から。

『雨ふる本屋』

2016-05-30 23:36:55 | ファンタジー・日本
 

『雨ふる本屋』 『雨ふる本屋の雨ふらし』日向理恵子著 吉田尚令絵 童心社

今日は雨でしたね。雨音聞きながら読書をするのがたまらなく好きです
そんな雨のとき、雨音聞きながら読みたいのが『雨降る本屋』。今の子たちでも手に取りやすそうなかわいらしい表紙
本屋さんに行くとたいてい平積みになっているので、気になって借りてみました。売るぞ~感がビンビンに出ていると素直に受け入れられないひねくれた性格なので(笑)、この物語も全然期待していませんでした。期待していなかっただけに、思ったよりも「おっ」という感じ(←何様!?)。

ただ・・・私は大人だからか物足りなさも正直感じてしまいました。どこがいけないのかと問われるとうまく答えられないんですけどね。設定・ストーリーや発想も好きなのに・・・盛りだくさんすぎるのかなあ?作者が読者に披露したい発想が前に出過ぎてるというか・・・。児童文学というより童話といった感じ?小学生のころに出会っていたら大好きになっていたかもしれません。やさしいファンタジーです

さて、この物語のワクワクする設定とは、図書館の奥にふいに雨降る本屋というのが現れるんです。〈読みあさりブンブン〉俗に言う本の虫、本屋の主人であるフルホン氏、シオリにセビョーシと言う名の妖精などなど、ネーミングも面白い

そして、最後まで読まれなくてほっぽっておかれた物語たちが集まる場所が、ほっぽり森。雨を利用して物語を完成させるんですね

人間の身体だけでなく、心もほとんど水からできている。だからひどく悲しかったり、嬉しかったりすると涙が出てくる。
人間だけじゃなく、世界中のもの ー 生きものや、花や木や石や風 ー の心や記憶は、水とつながりやすい。
雨つぶにいろいろなものの記憶がふくまれている。涙は少しずつ空気に溶けて、空にのぼり、雲になり、そうして雨になってめぐる ー 雨には、この星の物語がつまっている。


この発想がとっても素敵だなあって思いました。ただ・・・それが全て舞々子さんという助手によって「言葉で」語られているんですね。説明になってしまっている。私はこれを物語で描いてほしかったんだなあ、と気づきました。

雨降る本屋の雨ふらし』は続編ですが、こちらのほうが好きかも。今度は妹と一緒に雨降る本屋に向かい、本屋や図書館を壊してまわる、“ミスター・ヨンダクレ”によって重大な危機が迫っていることを知ります。姉妹が力を合わせてその状況を救おうとするのですが、ミスター・ヨンダクレがなぜそんなことをしているのか、その理由がホロリときます。誰にだってどんな行動にだってそうする背景があるんだ、ってことを教えられます。

これから梅雨の季節。憂鬱になりがちな雨も、ああ今ほっぽり森で物語が完成していってるんだなあ、と思うとちょっと嬉しい。小学校中学年からおすすめです


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『クリシュナのつるぎ』

2016-05-29 21:19:51 | 絵本


『クリシュナのつるぎ』秋野癸巨矢(きくし)分 秋野不矩(ふち)絵 岩城書店


ここ数日次男と三男がお気に入りの絵本がこれ、インドの説話。つるぎとか出てくると男子はもうそれだけで興奮するようです

カンサという悪い王様に苦しめられていた人々はビシュヌ神に毎日毎日祈ります。そうして、のちにカンサ王を倒すクリシュナが生まれるのですが、なんだか誕生の仕方から他のエピソードまで内なんだかキリスト教にそっくり!その内容に母は興味深いな~、と思っていたのですが、子どもたちは絵が気に入ったと。

 

確かに、とても力強い絵。インドの人が描いたのかと思いきや画家は日本人。興味を持ったので調べてみました。

クリシュナの青がとても印象的だったのですが、これは岩絵の具の青だったのですね!大地の色です、なんだか納得
この絵を描いたのは、インドに魅せられ、大地、大河、神々を描き続けた異色の日本画家秋野不矩さん。とっても有名な方なんですね!日本画は詳しくないので調べてみてびっくり。静岡県天竜市にあるという秋野不矩美術館は建物も自然と融合していてとっても素敵です。靴を脱いで入るんですって。思わず行ってみたくなりました!

この秋野不矩さん、明治41年生まれで5男1女を育て、50歳で離婚!日本画家ながら日本画の花鳥風月では物足りず、インドに魅せられ、54歳でインドのシャンチニケタンにあるビスバ・バーラティ大学(現タゴール国際大学)の客員教授として赴任したそうです。明治生まれの女性で50代でインドに赴任ってスゴイなあ、と

アジア人で初めてノーベル文学賞を取った詩人タゴール。個人的にはタゴールでおおおおっ!!!ですよ。そのタゴール会というところでうちの両親は出会っていて、タゴールがいなかったら私は生まれていなかったので。他の人にとってはどーでもいいことですが

こうやって、本物の力強い絵は子どもにもちゃんと伝わるんだなあと感心しました

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不登校を受け入れる

2016-05-27 21:14:20 | 徒然
 

昨日は学校行かなくても素敵だった長男、BlackなときとWhiteのときの落差激しすぎて、ハイ、今朝は正直、正直ね、悪魔かと思いましたよー

朝からバトルに疲れすぎて、珍しく2日連続でカエルカードを引いてみました。そしたら出てきたカードが写真の通りです。

うわ~。まず“流れ”の解説に、「押し寄せてくることに抵抗せず、今はそのまま受け入れてみて」、とありました。ここでは、流れを早めようと焦ったり変えようともがいたりしないことが大切、と。

実はですね、昨日は長男の不登校をすんなり受け入れた私ですが、今日はちょこっと流れに逆らっちゃったんです。ランドセルにレインカバーしてカッパまで着て準備していたので行ってくれるんだと期待してしまったんですね。状況を改善しようと焦ったのかも。ウダウダくだらない言い訳してるので、つい「行ったら」口にしたら豹変!どっか~ん

だけど、2枚目のいうとおり、子どもが不登校だからといって私自身がハッピーになっちゃいけないというわけじゃない。「どんな状況に置かれても」が身に沁みます
そして、3枚目、心の痛み~。「痛みを心の奥に閉じ込めないように、ありのままのあなたをうけとめることで解放していきます。もう、あなた自身をごまかすことも裁くこともしなくていい」と。

で、長男は私といると切り替えができなくて余計に荒れるので、母は心置きなく外出。自主保育仲間が私にとってはディズニーランドよりも楽しい湘南T-SITEへ連れて行ってくれました。わ~い
でね、児童書コーナーで児童文学見に行ったはずが、そのコーナーでまず目に飛び込んできた本が『親と子どものためのマインドフルネス』。Google社員の間で実践されているマインドフルネス、これ自体がどうこうというよりも、そこに書かれていた一文が目に入ったのです。

善悪で判断せず、あるがままの状況を受け入れる。いまここにしっかりと心を向ける

今朝のカエルカードと本屋で偶然目に飛び込んできた本に書かれていたこと、偶然の一致とは思えない。前日引いたカードには“シンクロニシティ・共時性”があって、「“意味ある偶然”を見逃さないようにしてください。それによって、あなたは自分が向かおうとしている方向をよりはっきり確認できるでしょう。」とあったのよね。あはっ。もう自分のやるべきことはハッキリしてるではないですか
腹をくくるしかない。行きたくない気持ちを受け止めて、励まして行かそうとしない。これできない限り今の状況を卒業できないんだろうな。受け入れて、もう卒業しようっと。

本来の自分のカエルカード

2016-05-26 22:32:39 | 徒然


昨日はお友だちの慰労会@我が家で、美味しくて幸せな時間でした~

ちょっと悩めるお友だちにふとカエルカードのことを思い出して、久々に戸棚の中から引っ張り出してきましたよ。

本来の素敵なあなたにカエルカード。み~んな元々素敵な存在だし、答えは全部自分の中にあるんです。ただ、ちょっと忘れているだけ。

アファメーションカード???(よく分からん)
タロットカードやマナカード、スピリチュアル系のカードはたくさんありますが、実は私これらが苦手というかなんか抵抗があるんです。それらはやったことがないのでどんなだか分かりませんが、このカエルカードはとても励ましてくれるというか背中を後押ししてくれるんです。
だからかな?普段はこのカードの存在を忘れているのですが(←)、自分の中で転換期にあるときや新しい段階に突入してるのに認めたくない、勇気がないなんて時にふと思い出して数年に1回やってみたりします。(毎日引いてる方もいるみたいですが)
カードについている解説も具体的で分かりやすい

『もしも世界が100人の村ならば』をインターネットで訳して発信した中野裕弓さんという方がマチュピチュを一緒に旅した仲間4人と企画・製作したものだそうで、以前職場を退職するときに同僚がプレゼントしてくれました。
不思議な魅力を持った同僚でね、特にそういう話をしたわけでもないのに、私がスピリチュアル系が苦手だと見抜いていて、私の前ではそういう話を一切しなかったんです。退職した後に実は旦那さまがヒーラーで彼女自身もオーラが見えたりする話を聞いて驚いたのですが、既に彼女のことをとても尊敬していたので引きませんでした。その彼女が職場で、色んな人にこのカードをやってくれて、それぞれにびっくりするくらいぴったりのカードが出て・・・ピッタリすぎてゾクゾクするほどでした!

当時の私はスピリチュアル系にアレルギー的なものがあった(今も少しあるけど)ので、もしこの中野裕弓さんがスピリチュアル系な経歴(?)だったら、引いていたかも。でも、経歴は外資系銀行で人事コンサルタントをしていたり、日本人で初の世界銀行の人事マネージャーに抜擢されてたりする方で。レベルは違えど、私自身も外資系の人材関係をやっていた時期もあったので、なんだか素直にこのカードは受け入れられたんです。

そして、昨日私が引いたカードは・・・ふっふっふ
   自由
でした!人生は私次第。うすうす感じてはいたけれど、やっぱりそっか!
我が家のさんねんねたろう長男、本日も学校休んだけど、それがなにさ。学校行かなくても素敵な子だし、私もハッピーだし、自由です