『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

遠くからでも人が来る理由は

2018-01-09 19:47:41 | 講演会・勉強


遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
今日から学校が始まり、やっと母も時間が少しできるかな。

・・・って、、あれ?こちらのgooブログは卒業して、新ブログに移行するんじゃなかったの???

ハイ、すみません、使いこなせなくて放置のままだったので、使いこなせるまで、やっぱりコチラでもう少々(笑)。

新年あけて、はじめての学びは絵本読み聞かせ講師のとんちゃんの鉄板講座@川崎へ。

とんちゃんってスゴイんです。とんちゃんに会いに遠くから人が来る。
講座の内容にももちろん興味はあったけれど、それプラス、なぜわざわざみんなが遠くから来るのかも興味津々だったんです。
今回も千葉や埼玉、当日病気でキャンセルだったけれど群馬の方も!

とんちゃんが魅力的だから、遠くからでもくる。でもね、絵本講師も絵本セラピストの方も全国にいーっぱいいる。それなのに、地域の近くの人ではなく、わざわざとんちゃんに会いに来る。なぜか。
一つには、他の人よりも発信力があることも大きい。発信しなければ、その人の魅力って伝わりませんからね。

もう一つ、とんちゃんは、知識ではなくて、体験を語る。だから、素直にすーっと受け入れられるんだなあ。かといって、ふんわりほわほわの優しいだけじゃない、私の好きな毒舌も持ち合わせている。あ、少々です(笑)。だから、痛快!

さらに大事なこと、とんちゃんは、講師陣にありがちな、べきべき星人じゃないんです。
こうあるべき、そうあるべき、のべきべき星人じゃない。

一番深く頷いてしまったところは、
「別に絵本がエライわけじゃない。絵本じゃなくてもいいんです」
っていうところ。子どもと一緒に畑仕事する人はそれでもいいし、スポーツの人だっているでしょう。

私も同じこと思ってる。別に児童文学じゃなくてもいい。その人の分野でいい。
けれど、私自身はココに魅力を感じてるから、その魅力を伝えるお手伝いができたらいいなあ、って。

新年早々、刺激をもらいました。
とんちゃん、ありがとう!



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涙腺抑えるの必死でした

2017-12-14 15:59:36 | 講演会・勉強


昨日は、絵本読み聞かせ講師とんちゃん主催の、瑞雲社代表井上みほ子氏の講演会に行ってきました~。
瑞雲社は、あの『ちびくろさんぼ』を復刊させたところ。井上みほ子さんいわく、復刊が得意だそうで、消えてしまうには惜しすぎる絵本をたくさん救ってくれている、素敵な出版社さんなんです

もうねーーーーーーーー。

どうして、絵本や児童文学関連の人たちのお話って、こんなにもこんなにも胸に響くんでしょう?いわゆる泣ける話をしているわけではないのに、胸がいっぱいになってしまって、ウルウル
普通に仕事をしていたときにはなかった感動が、この世界にはあるなあ、って毎回思います。
“生きるって素晴らしい”って思っちゃう。生を実感させてくれるんだな。この年齢になっても、まだまだ世界が広がる。心が感じて動く。本を通じて。

余談かもしれないけれど、と話されたエピソード、それは子ども時代に読んでもらった絵本の世界観が、大きくなっても、確かに子どもたちの中に残り、息づいているというものでした。これ、涙腺抑えるのに必死でした

驚いたのは、みほ子さんが編集者になったのは、50歳になってからというお話。元々は、サンリオの出版部門で編集者をされていたご主人が、ご自分の出版社を立ち上げ、そのヘルプに入る形で始まったそうなんです。まったくの異業種から入ったみほ子さんは、絵本、児童文学関連の講演会にたっくさん顔を出して勉強されたそうなのですが、その中に83歳の講演者がいたそうなんですね。そのとき、「私これから33年も働ける!」って思ったんですって。

わ、これは励まされる。私も児童文学にハマり始めたのが30代後半で、もっと早くにこの世界の奥深さに気づいていれば、と何度思ったことか。でも、まだまだこれから!色々やれる!って励まされました。

私は大人に児童文学の素晴らしさを伝えてますが、大人だけに伝えたいわけじゃなくて、やっぱりその先に見えているのは子どもなんです。
みほ子さんもおっしゃってましたが、絵本や児童書って特殊なんです。子どもが自分で買えない、手に入れることができない。大人が手に取る環境を整え、買ってあげなければ読むことができないんですね。

でも、その大人がその素晴らしさを知らなかったら・・・?
誰が手渡せる・・・?

だからこそ、私自身は、まずは大人に伝えていく役割をしたいな、って改めて思いました。

そのほかにも、良い本悪い本とは何なのか、など盛りだくさんで、絵本もたくさん読んでいただいたんですよ~。贅沢
そして、最後の質疑応答では、『ちびくろさんぼ』がなぜ人種差別になるのか、と質問された方がいたのですが、それに答えるにはそれだけで講演会ができちゃうと、みほ子さん。ぜひぜひそちらも聞きたい!

個人的な思い出ですが、『ちびくろさんぼ』の人種差別問題って、私の大学推薦入試小論文の設問だったんです。文学部でもないのに、絵本を取り上げた大学も、今思うとすごいな。『ちびくろさんぼ』の人種差別問題に見られるステレオタイプについて述べよ、という設問だったのですが、当時の私ステレオタイプの意味がいまいち分からなくて。いや~、焦りました。まったく違う意味に捉えて書いてしまって、後に意味調べてこりゃ落ちたな、と確信。それでも、なぜか受かってたので、世の中にはよく分からない出来事がいっぱいあります(笑)。

興味深くて、胸いっぱいで、あっという間の2時間でした。熱い思い、受け取りました!絵本や児童文学の深い魅力、もっともっと広まるといいなあ。広めていきたいなあ。私のつたない言葉では、とても話していただいた内容の半分も魅力を伝えられませんが・・・
井上みほ子さん、とんちゃん、ありがとうございました!


読み聞かせサポーター実践講座

2017-11-23 06:47:16 | 講演会・勉強


インプット続きの今日この頃。先日は、JPIC読み聞かせサポーター実践講座@桜木町に行ってきました~。

今回は、読み聞かせの世界では、とても有名な「おはなしおばさん」こと藤田浩子さん(80歳!)のお話があるということで、申し込み殺到!
増員して、240名が集ったそうです。年齢層としては、わずかに若い方(幼稚園・保育園の先生など)もいましたが、圧倒的に子育て終わったお姉さま方が多かったです。ボランティアで読み聞かせ活動まわってくださってるんだろうな。ホント、ありがたいことです。子育て世代って余裕ないこと多いですもんね。

しかし、驚いたのは、みなさまの熱意!9:30会場の10:00開演で、私は9:32に会場についたのですけれどね、なーんと長蛇の列!私の前に100名はいたんじゃないかな。その熱気にびっくりしました。熱い!読み聞かせ業界ってこんなに熱かったの~!?!?席は半分以上埋まっていたけれど、前から4列目の奥のほうは空いてるのを発見。そこに陣取りました。プログラムは、こんな感じ↓

① 特別講演会(藤田浩子さん)
② 絵本サロン&模擬おはなし会(読書アドバイザー)
③ 紙芝居講座(童心社副編集長)
④ グループワーク



藤田さんのお話で印象的だったのは、日本の子どもの文化を支えているには、中間層っていうお話。お金持ちの人は総じて読み聞かせや語りに興味がない、お金に余裕のない家庭もやっぱり余裕がないから興味ない。熱心なのは、そんなにお金持ちでもないけれど、余裕がないわけでもない中間層だ、って。確かに。で、日本はそういうボランティアの人たちの善意によりかかりすぎてる、って。

うんうん。藤田さんが現首相をう~んと思うのは、そういう活動をしている人たちを評価しないから。
一方、そういう方たちをすごく評価してくださっているのが、美智子さま!JPICのスタッフの方からのおすすめの4冊のうちの一冊が『橋をかける~子供時代の読書の思い出』(美智子著)でした。↓



この本ホントに素晴らしい言葉が散りばめられています。美智子さまは、ごくごく小さな絵本や児童文学のイベントにもお忍びで顔を出されるそうで、本当に大切なものが何か分かっていらっしゃる。誰かさんと、全然違う~!!!

藤田さんは、ハンカチ、あやとりなどを使ったとても簡単な手遊びも教えてくださって、とても実践的でした。簡単なのに、思わず‟わ~”って声が出ちゃう。こういうのを覚えておくと、電車の中で子どもが退屈することがない。すぐスマホを渡しちゃう親が多いそうなのだけれど、もうね、なんていうんでしょう。お声を聞いたいるだけで、ほっこりして、自然とみんな笑顔になっちゃうんです。手作りの小道具は、なんだろ昭和レトロ感が素敵(笑)。販売もされていたけれど、あれ藤田さんもしくは、あの年齢の方がやるからこそいいんじゃないか、って気もしました。小道具に関しては。

こういう文化、なくしたくないです。


反戦文学としての『星の王子さま』

2017-11-20 14:00:43 | 講演会・勉強


先日(ってこれまた既に1週間以上たってますが)、子どもの本専門店・BOOK HOUSE CAFEでの文学うさぎの研究所に参加してみました~。

第一回目の登壇者は、千葉大学大学院人文科学研究院教授の土田知則氏『現代思想のなかのプルースト』(法政大学出版局)刊行記念講演会として、~児童文学は可能か~というテーマでした。プルーストとかちんぷんかんぷんだけれど、児童文学とどうかかわってくるのか、興味津々だったのです。

何に驚いたって、私以外は、みなさん教授仲間か生徒さんだったってこと。超絶アウェイ感・・・チーン。文学系のイベントって、大体いつも内輪なんだな~。だから、敷居が高くなっちゃうんじゃないかな、広まらないんじゃないかな、と感じます。

さて、土田先生ご自身は、お話も面白く、気さくでとっても魅力的な方でした!
児童文学とはなんぞや、ということを『ピーターパン』『ピノキオ』『星の王子さま』などを取り上げながら、また、プルーストの話も入れながらお話しされました。

中でも興味深かったのは、『星の王子さま』



‟これ、子どもの頃読んで面白かったという人いる?(いないよねえ)”


お一人いらっしゃいましたが、実は、私もそれほどは・・・と思ってた一人。読んだのは小3だったかな。岩波書店の内藤濯訳のもの。カラーの挿絵が嬉しくて、面白くないわけじゃないけれど・・・、周りが騒ぐほど自分には刺さらなかった、という感じだったかな。で、土田先生はいうわけです。

‟これ、大人が読んでも非常に難しい。これは児童文学なのだろうか”

って。そもそも、フランスには児童文学という表現はないそうです。確かに、フランスの児童文学って『みどりのゆび』『家なき子』『タラ・ダンカン』くらいしか思いつかない。↓



でね、『星の王子さま』に関しては、プルーストより難しいって土田先生はおっしゃいます。児童文学という概念はいまだに先生自身ワカラナイそうですが、子ども向けのものには必ず家族が出てくるということが切り離せないと。しかし、『星の王子さま』には家族が出てこない。これは、子ども向けなのか?さらに、なぜフランスではなく、アメリカで出版されたのか?

それは、ナチス批判を書いたものだということが、分かってしまうから。
戦争の話が色濃くまとわりついている寓話と明らかだから。


頼れるWikipedia(笑)によると、通説と異説が書かれていて(リンクはコチラ)、私は異説派かな。献辞にあるサン・テグジュペリの親友レオン・ヴェルトはユダヤ人で、彼に捧げられた物語。バオバブのような大きいものが小さいモノを飲み込むのは、非常に暴力的で、ナチュズムを象徴している、と。

そして、サン・テグジュペリはパイロットだったけれど、本当は飛行機なんて壊れてしまえばいいと思っていたのでは?とも。なぜなら、戦争に使われてしまうから。だから、物語の舞台に砂漠を選んだ。砂漠は、戦争が起こらない場の象徴。飛行機が飛べないときに、平和が訪れる。ならば、飛行機は壊れたほうがいいとしたのでは?と。

そんな風に、これが反戦文学という前提のうえで読むと、それぞれが何を象徴しているのかが見えてくる。しかし、一つワカラナイところがあるそうです。それは、キツネの言葉。王子さまとキツネが出会う場面でキツネはこう言います。

・「なんなら……おれと仲よくしておくれよ」(岩波少年文庫 内藤濯訳)

・「お願いだ……おれを飼い慣らしてくれ!」(集英社文庫 池澤夏樹訳)

・「おねがい……なつかせて!」(新潮文庫 河野万里子訳)


原文に一番忠実なのはどれでしょう?


私はフランス語は全然ワカラナイのですが、仲良くの部分、原文ではアプリボワゼ(apprivoiser)というそうです。一番忠実なのは池澤夏樹訳で‟飼いならしてよ”という意味。ほとんどが‟友だちになってよ”に意訳されているけれど、なぜわざわざこんな表現を使ったのか。そこが、土田先生はひっかかるそうです。
また、フランスではキツネのイメージは悪で、りんごの木の下にいたってことは、聖書的にはヘビの役割を半分以上キツネが担っているということ。
なぜ、アプリボワゼという言葉を使ったのか、そこをついている論文はフランスのものでもまだ見かけてないそう。フランス文学関連で卒論書こうとしてる方、これいかがでしょう(笑)?

そのほか、児童文学というジャンルを作ることで、現状の研究の形が狭い範囲に閉じ込められている、などジャンル論について述べられていました。
これには、賛成!児童文学って読めば読むほど、カテゴリーが分からないなあと日々実感しているし、このジャンルさえなければもっと大人にも読んでもらえるのでは?と思うのです。
これからは、横断的な、壁を作らないで分析することが面白い。例えば、ミッシェル・フーコーの中に、思春期(児童文学)を読み解く、こういう人が出てくると面白い、そんな話で幕を閉じました。




売れる本=いい翻訳!に物申す~

2017-11-17 21:24:47 | 講演会・勉強


金曜日の夜はちょっとデトックス(毒吐き)ブログ

先日の、金原瑞人氏講演会@教文館ナルニア国で、ちょっとそれは違うのでは?と思ったことについて。

普段はレジュメを用意しないという金原氏、この日は珍しく用意してくださったそう。さまざまな翻訳比較の抜粋は、本当に貴重で面白い資料でした。名訳といわれている石井桃子さんの訳と金原氏ご自身の訳を比較したり。すごいな~、よっぽど自信があるんだな
で、その読み比べの中に『星の王子さま』があったわけです。

あ、まとめサイトでも抜粋が見れます。コチラをクリック。
読み比べてるうちにクラクラしてきます(笑)。出版社だけでも、岩波少年文庫、集英社文庫、宝島社文庫、みすず書房、中公文庫、新潮文庫、平凡社ライブラリー、光文社古典新訳文庫、ちくま文庫、角川文庫。ふう~

金原氏のレジュメで比較されていたのは

・岩波少年文庫 内藤濯訳
・集英社文庫 池澤夏樹訳
・新潮文庫 河野万里子訳

 



で、金原氏のイチオシの新訳は河野万里子さん訳で、「これが一番売れてるんですよ!」って、まるでいい訳だから売れてるかのように力説。

ちょっと待って待って
私含めた一般ピーポー、そんなに翻訳おたくじゃない。読み比べた上で買ってるわけじゃないから~。

冷静に考えて、大人が買うとして、児童書コーナーに行くでしょうか?岩波少年文庫はごく限られた人の手にしか渡らないよなあ。

集英社は?・・・う~ん、なんだか漫画が強いイメージ?池澤夏樹訳には惹かれるけど。

で、新潮文庫だったら、なんだか大人が手に取っても恥ずかしくないって感じがしませんか?そんな感じで手に取る人も多いんじゃないかなあ?

売れる=いい翻訳

ってなんか違う。アニメ画表紙の新訳も売れ行きがいいから、やっぱり訳が分かりやすいみたいなこともおっしゃっていたけれど・・・訳うんぬんで選ぶ人ってそんなにいない気が。表紙の手に取りやすさで買ってみたら、‟結果”読みやすかった、だけでイコールいい訳ではないよなあ。
売れるには、プロモーションが上手とか、ほかにも色んな要素があると思うのです。

売れる=いい訳=良書、だったら、児童文学は全滅しそう

『星の王子さま』については、先日ブックハウスカフェで面白いお話を聞けたので、別途書きまーす。