『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

金曜日のマイナー本『おかしな金曜日』

2017-04-28 23:56:29 | 日本文学


『おかしな金曜日』(1985年) 国松俊英作 偕成社

ほとんどの人がブログなんて見ないであろう、しかも一日の終わりかけの金曜日には、こんなマイナー本(もちろん)をご紹介

いや、マイナーと言ってもですね、日本の児童文学史上では、とても意味のある作品なんだそうです。国際子ども図書館の児童書ギャラリーにも目立つように展示されてるんですよ~。

育児放棄
という現代の問題に初めて真正面から取り組んだ物語。

題名と表紙の絵とのギャップ
軽くて面白そうな内容かと思いきや、父親、次に母親に蒸発されてしまう兄弟の物語です。
お母さんも消えたこと、兄弟二人で何週間かは、周囲に隠しながら暮らしていくんですね。その中で、新たな友情があったりもするのですが・・・。

なんだろ?
深刻な状況のハズなのい、今の時代よりも、まだのんびりした雰囲気が漂っているというか・・・なんとなく明るさがあるんですよね。
主人公の心がすさんでないの。確かに先生から見たら、やんちゃで問題児で、怒られてばかりなのだけれど

今の時代のように、まだ残忍なマンガやメディアが氾濫していなかったことも影響している気がするなあ。今の子たちが同じ状況に陥ったら、もっと自暴自棄になっている印象。周りや自分に暴力ふるったり、傷つけたりしてね
今のほうが、息苦しい。それは、今の子たちのほうが、圧倒的に自己固定感が低いからなのかなあ、と。そして、何か起きたとき、自分以外の周りのせいにして、周りを責める傾向にあるよう気がするんです

この物語の救いは、置いていかれたのが兄弟だったこと。主人公の兄洋一は、弟の健二を守るぞ、二人でも家族、っていう思いがあったからやってこれた。
また、児童養護施設のスタッフで、野鳥観察家の人に偶然出会えたことも希望の光です

最後に洋一たちが下した決断とは?
決して前途洋々ではなさそうだけれど、でも、自分たちで決断した道に、“がんばれー!”とエールを送りたくなる物語でした。

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2 コメント

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いろいろ考えさせられます。 (みやのこ)
2018-10-14 23:14:50
はじめまして。
この本の初版は今からちょうど40年まえの1978年に出ましたけど、主人公の伊達洋一の家庭環境をみてみると、父親が蒸発したさい、母親の春子は夫の勤務してた会社や警察には、夫が失踪した事を届けてた様だったものの、夫の実家とかには届けたエピソードがない事から、いろいろ考えさせられたし、3か月後には父親の愛車・ブルーバード(1969年型と出てるから510型だけど、イラストを見る限り実際のブルーバード510型とは異なってた)をリサイクル業者に引き取ってもらうなど、正直いって成る程だなと感じた次第です。

そして、イザ母親の春子が失踪するや、いちおう勤務先を訪ねたものの、洋一は覚悟してたのか、これ以上聞くのをさっさと諦めてるし、探せば見つかったかも知れなかったろうが、後で厄介になるのを父親の蒸発を通し承知のうえ、洋一は早晩母親も居なくなる事を知ってたモノと推測します。

実際、自分がリアル子どもの頃に読んだ時と、大人になって改めて読んでみるや、色々な視点で感じさせられました。

以上をもちまして、失礼します。
》みやのこさま (Shino(管理人))
2018-10-15 07:50:31
コメントありがとうございます。
私自身は、こちらの本は子どもの頃は読んだことがなかったので、大人になってからでの視点しか分からないのですが、どの本も、子どもの頃と大人になったからでは、感じ入るところが変わりますよね。

コチラの本は、育児放棄について日本では、初めて書かれた本だそうなのですが、現在は育児放棄ものもたくさん出てますよね。その多くが、親を恨んでいたり、もしくは無気力になっていたりするのに対し、こちらの物語はよくこの兄弟が健全さを保っていられるなあ、と。時代的なものもあるのでしょうか。色々と考えさせらえます。

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