『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

温かい心の連鎖 『雪の日のたんじょう日』

2017-01-30 22:46:36 | アメリカ文学
 


『雪の日のたんじょう日』ヘレン・ケイ作 バーバラ・クーニー絵 あんどうのりこ訳 長崎出版 46頁 1955年(原書初版) 2008年(日本初版)


今日はかわいいかわいい(←孫目線)三男の4歳のお誕生日。出がけにド派手に自転車で横転し、大号泣、というとんだバースデイ朝でしたが
我が家は、長男の次男への嫉妬がとにかくすごくて、壮絶な兄弟関係に悩まされていたんです。そんなとき、誰に向かってか“救世主送ってください!!!!”と懇願したら、やってきてくれたのが三男でした。そしたら、我が家の場合は3人というバランスがホーントよくて。今ではすっかり仲良し三兄弟♪三男は、まさに我が家の救世主なのです!

そんな、三男と今日読んでいたのが、上記の本。三男の年齢には早すぎると思ったのですが、読んで読んでとせがまれたので、試しに読んでみたらちゃーんと最後まで聞いてました。これ何歳くらいが対象なんでしょう?小学校低学年でも読めるけれど、それにしては字がちょい小さいような
日本で出版されたのは2008年ですが、原書初版は1955年!古き良き時代のお話です。地味です。淡々としています。でも、心温まる。バーバラ・クーニーの素朴な絵もたまらなくいい!



主人公のスティーブンは自分のお誕生日会当日が雪になるよう切に願うんですね。だって、今まで雪の誕生日を過ごしたことないし、楽しそうだから。で、流れ星を見たとき家族全員でお願いするんです。そしたら、あーら、叶っちゃった。ところが、ところが、お雪で誰もお祝いに来れない事態に。泣くまい泣くまいと必死になってるスティーブン。そして、家にやってきたのは招いていないお客さま。車が溝に落ちて立ち往生してしまった見知らぬ親子。この親子がいい人たちなんですけど、どうしてもスティーブンは笑えないんですね。ああ、切ない。けれど、最後はこの助けた親子が幸せを運んできてくれます

ここに出てくる両親のさりげない優しさが、もうね~、いいんですよ。かくありたい。雪合戦で、スティーブンの玉が妹に当たってしまうと「まいったまいった」とスティーブンに声をかけつつ、泣きださないように妹のデボラを抱きしめたり。大雪でみんなが来れないんじゃないかと、スティーブンが心配そうな顔をすると気を紛らわせるために、お母さんは“雪の天使”(スノーエンジェル)作ったり、切り紙で雪の結晶作ることを提案したり。彼らの温かさは人間に対してにとどまりません。見て下さい↓



写真だとちょっと絵分かりづらいでしょうか?これ何しているところかというとですね、雪が深くて食べ物を探せない動物たちのために、食べ物を用意しているところなんです!牛脂とパンのかけらをヒモで木につるし、茂みの下に種や砂利をこんもりと盛る。砂利!?・・・小鳥は食べ物を消化するために砂利がいるんだそうです。へえー

寒い寒い雪の中だからこそ、余計に温かい心がしみいり、連鎖していく、そんな素朴な物語です

第8回児童文学Cafe

2017-01-28 21:32:17 | 児童文学cafe&picnic


水曜日は第8回児童文学cafe@我が家でした。参加者のみなさんが家を出た後に、三男の発熱が発覚したり、とハプニングはあったものの今回も楽しかった♪

今回のテーマは、酉年にちなんで『とり』

正直・・・あんまり興味ないわ~、と思ってた今回のテーマでしたが、ところがドッコイ!期待していなかった分、その面白さに開眼
生態系としての鳥も非常に興味深かったですし、導き手、新しい世界への扉を開く象徴としての鳥も面白かったです!

毎回あらすじと感想を掲載した、上記写真のようなブックリストを作成しているのですが、図書館のような公共機関では書けないような辛口私的コメントも載せています(つまらない、とかね!)。このブックリストが意外と喜ばれることが分かりましたので、ほしい方の受け付け窓口(メールアカウント)を作成してみました。ご希望の方は以下までメールください↓↓↓

ブックリスト請求先:kid.lit.navi@gmail.com 】

または、Facebook『大人のための児童文学』ページまで。

児童文学に興味のある方でしたら、通りすがりの面識のない方でも歓迎です。もしくは、自分は興味ないから子どもに何をすすめていいか分からないという方も

また、こんなテーマのブックリストがほしいなあ、なんてご要望もあればどうぞ♪過去開催時のブックリストもあります。テーマ一覧はコチラ↓

◆第1回:暖炉のある風景・雪・煮込み料理
◆第2回:表紙が残念な本特集
◆第3回:絵本・児童文学に見る素敵な母親像
◆第4回:地図のある本
◆第5回:戦争と平和
◆第6回:先住民族
◆第7回:老人と子ども

第1回のはリストまだ作成していなかったので、あるのは第2回から。お役に立てたら嬉しいです

センダック最後の絵本 『バンブルアーディ』

2017-01-27 08:42:32 | 絵本


『バンブルアーディ』モーリス・センダック作・絵 さくまゆみこ訳 偕成社 2016年

昨日は次男の8歳の誕生日。子ども3人とも全員1月生まれだから今月はお祝い続き
が、三男が寝込んでいたので、お祝いは週末に持ち越しです~。

誕生日関連の絵本はいっぱいあるけれど、「おお、これは次男にぴったり!」と思ったのが、『かいじゅうたちのいるところ』『まよなかのだいどころ』のセンダックが最後に手掛けた上記の本。30年ぶりに自ら手掛けたんですって。ハチャメチャな次男は、とにかくセンダックが好き

始まり方はなかなかシュールです。子豚のバンブルアーディの両親はお祝いごとが好きではないので、いままで誕生日を祝ってもらったことがなかったバンブルアーディ。ところが、9歳を迎える前に運命の日がやってきます。両親がとうとうブタ肉にされてしまって、おばさんに引き取られることになったんです。ブタ肉って

おばさんは優しくて、バンブルアーディの誕生日にカウボーイの衣装をプレゼントしてくれます。それで、テンションが上がっちゃったバンブルアーディ、おばさんに内緒で友だちに次々と勝手に招待状を送っちゃいます。おばさんが出かけたそのすきに行われた仮装パーティーは、こ~んな感じでもうハチャメチャ!↓



帰宅したおばさんは。いろんなものが壊されてるのを見て、もうかんかん、雷落とす。このおばさんの発狂具合がもうすごくてですね

「あたしが9つかぞえるあいだに、きえろ、うせろ、たちされ、でていけー!ぐずぐずしてると、ハムにしちまうよー」

と、もう鬼の形相。ハム・・・。怒り狂うおばさんが怖すぎてドアの影に隠れながらあやまるバンブルアーディ、その言葉がもうかわいいんです。

「ごめんなさい!もうぜったい10さいにはならないから!」


って(笑)。子どもの発想だなあ。おばさんに捨てられそうな勢いでしたが、最後はほっこり。おばさんは、許してあげて、9の9倍キスしてあげるんです



「ほんとうにしょうがないカウボーイちゃん!だけど、あいしてるよ。あんたなはどうなの?」

ってね。同じく雷を落とされてばかりの次男は、非常に共感するものがあったんじゃないかしら

ところで、センダック、2008年のThe New York Times誌のインタビューで80歳にして、はじめて自分がゲイであったことをカミングアウトしています。ナルホド~、ってなんか納得。狭間にいる人にしか見えない、描けない独特の感性ってありますよね。ムーミンのトーベ・ヤンソンしかり。うちの夫は仕事でLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの略)の人たちの雇用促進を担当していたことがあったのですが、彼ら彼女らの優秀さと、洞察力の深さに驚ていました。LGBTは個性であり才能だなあって思う今日この頃です。

これはイマイチかな・・・

2017-01-23 21:12:47 | オセアニア文学


『鳥と話したふしぎな夜』K・スコウルズ作 平賀悦子訳 福永紀子絵 文研出版

表紙絵が和風に感じるのは私だけ?文研社さん、原題LANDINGのところをLANDINLGと間違えるのはよろしくない・・・

嵐の日に傷つき、飛ばされてきた大量のマトンバードを祖父と孫娘で作業場小屋に一晩保護するお話。鳥たちの様子が気になり、真夜中過ぎに起き出してきて様子を見に行く孫娘のアニー。すると、なんと鳥たちの言葉(会話)が分かるではないですか!ところが、この話が一向に印象に残らない(私はね)。うーん、うーん、うーん、なんでしょう?作者は学校の先生とのことで、ナルホド、学校の先生から先生が創作したお話を聞いているような感覚です。なんていうか・・・イマイチ物語に入りこめなかったなあ。原書で読めばまたイメージが違ったかしら?↓



鳥たちと会話ができるというのではニルスもありますね。ちょうど子どもたちがニルスのDVDを見ていたのですが、実はまだ本は読んでいなくて。長年読み継がれてきたものにはやっぱり魅力があるんだろうなあ。物語ではなく、本当に動物たちと話せるといえば、ティッピちゃんなんて子いましたね↓



もうすっかり大きくなって、大学では映像を学んだんだとか。ちなみに、小学生女子に人気の動物と話せる少女リリアーネのシリーズはアニメ調の表紙でどうしても読む気になれません・・・

とにかく読んでみてほしい 『ナゲキバト』

2017-01-22 22:40:38 | アメリカ文学


『ナゲキバト』ラリー・バークダル著 片岡しのぶ訳 あすなろ書房 1996年(原書初版)1997年(翻訳初版)127頁

これは!!!
心打たれ、すぐに感想が言えない・・・そういう類の物語。ホームページに書かれている『この感動は10年に一度!』と言う謳い文句は、かえって軽く聞こえて好きではないのですが、大げさでなく、魂に響く物語でした。ただ、静かに響く。さらっと読めちゃう、でも、じわじわっと心にしみこんでくる・・・そういう物語でした。

≪『ナゲキバト』あらすじ≫
私は9歳のとき、両親を事故で亡くし、アイダホ州ボイジに住む祖父にひきとられた。やさしく、ときにはきびしく、「生きる」ということを教えてくれた祖父。ふたりで暮らした日々の思い出のなかで、ひときわ鮮烈によみがえるのは、あの日の情景。それは、あの夏の日、ナゲキバトを撃ってしまった日のこと…。深く、静かに、あなたの胸を撃ちぬく物語。人はいかに生きるべきか?小さなぼくに教えてくれたのは祖父だった。(BOOKデータベースよりそのまま転載)


先日紹介した『絵本・児童文学における老人像』の中で紹介されていて、読んでみたいと思ったのですが、鎌倉の図書館では児童コーナーではなく一般コーナーにありました。うん!!!これは、ぜひ両方のコーナーに置いてもらいたい物語。著者の自叙伝的この物語は元々は自費出版から、あっという間に広まったそうです。訳者の片岡しのぶさんが“珠玉のような作品”と述べられていますが、本当に大事に大事にしたい宝石のような物語。内容的にはどちらかというと暗いし、重い。けれど、変にドラマチック仕立てでなく、淡々と進行していくところがいい。主人公の祖父ポップの言葉ひとつひとつがもう書き留めておきたいくらい深くて心に響いて。どうして、祖父がそのような魂に響くことを言えるのかは最後に分かるのだけれど、人に対する希望を失いそうになっている人がいたら、この物語を差し出したい。

嘘をついてしまったり、何か罪を犯しても、失敗しても、肝心なのはそこからどう生きて行くかということ。

この物語の前半で、狩猟をしてみたくてたまらなかった主人公ハニバルは、ある日ポップの目を盗んでナゲキバトを撃ってしまいます。命中したとき体中に広がる勝利感。ところが、ぐんにゃりした鳥の死骸を実際に見ると、得意そうに笑って見せようとしても吐き気がしてくるんですね。とてもリアル。祖父は、目を盗んで撃ったことを責めたりしません。ただ、その鳥の巣を探す。そうして、腹をすかせたヒナを二羽見つけるのですが、父親鳥では一羽しか育てられないことを祖父は告げます。そして、一羽を自分の手で始末しなければいけなくなる主人公・・・祖父は何も言わない。無言の教え。命を奪うっていうことは、ゲーム感覚じゃない、どういうことなのかということをこの物語は教えてくれます。

そして、後半では隣家に引っ越してきた親友のチャーリーが、貧しく酒乱の父親の影響で、寂しいことにどんどん悪い方向にいってしまいます。仲がよかったので、それに引きずられそうになる主人公。最後はとても重く悲しい事件が起こってしまうのですが・・・もう言葉になりません。一度読んでみてください、としか言えないなあ。ぜひ。