『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

アウェイでのお話会『物語で育む平和力』

2017-07-27 14:37:53 | 読書会


昨日は、生活クラブコモンズ主催の親子料理イベントに乱入(?)させていただいて(笑)、『物語で育む平和力』をテーマにお話させていただきました~。内輪グループの中に、一人アウエイ状態なので、ちょっとドキドキだったのですが・・・伝えたい気持ちが勝った

かさこ塾同期でLOHASなイベントプランナーの美香さんがアレンジしてくれました!ありがとう

一応自分なりの流れを考えていきましたが、雰囲気によって変わるかなと思ったので、臨機応変にしようとは思ってました。
それでも!!!食後エネルギーチャージして元気倍増の子どもたちを前に、正直ひるみました。大人向けの話だったので

そこで、当初内容だけ紹介して朗読するつもりはなかった絵本を2冊、急きょ読み聞かせ。
そしたらね、魔法みたいに子どもたちがじーっと集中して聞いてくれたんです。調理室というあの雰囲気の中でよくぞ。素晴らしい子どもたち。そして、絵本の力もまた実感したのでした。
読んだ2冊は、このブログでも紹介したコチラ↓





どちらも舞台はアフガニスタン。
『せかいいちうつくしいぼくの村』(以前の紹介記事はコチラをクリック)でなくなってしまった村、その村人たちがたどりつく先は、おそらく難民キャンプでしょう。『ともだちのしるしだよ』(以前の紹介記事はコチラをクリック)につながります。

平和を伝えることに熱心だからこそ、注意したいこと。

正しさで迫らないこと

これがご縁で、また別の場でもお話する機会をもらえそうです♪

絵本や児童文学じゃなくてもいい。
それぞれが、自分の得意な分野で平和への種まきができたらな、と改めて思いました


松岡享子さんの読書会

2016-08-01 22:40:17 | 読書会


小笠原から戻った翌日でしたが、行ってきましたよ、はるばる東京子ども図書館まで!第4回松岡享子さんと読む『子どもと本』。今回のテーマは『選書の大切さと難しさ』でした。

鎌倉ごとき(でも、2時間かかる)ではるばると言ったら怒られそう・・・今回も熊本、宮崎、静岡、愛知、茨城・・・とざっと聞いただけでも色んなところからみなさまいらっしゃっていました。

今回もワタクシ、かなり場違いな感じ~。図書館員のベテラン陣はもちろんのこと、大学で児童文学を教えている教授数名、まさに『子どもと本』の編集に携わった編集者の方、文庫のエキスパートの方、お話ボランティア歴数十年の方、多くの図書館の選書に影響を及ぼしているTRCの選書委委員の方、などなどそうそうたる顔ぶれ。

でもね、不思議なのですが、前回もそうだったのですが、私が一人肩身狭く感じているだけで(感じているわりには開き直って発言しまくりでしたが)、子どもの本のことを真剣に考えているという上では、みなさん対等な目で扱ってくださるんですね。どの現場にいても悩みも共通していて。子どもの本を手渡すことを真剣に考えている方って、どうしてみなさんこう温かいのだろう、と感激してしまいます

今回はグループディスカッションのあと、調布市立図書館で長年児童コーナーを担当されていた司書の方の貴重なお話もお聞きできました。残念ながら調布市立図書館のように真剣に児童コーナーに取り組んでいるところは全国でもほとんどないのだそうですが、調布市立図書館の方たちの努力と真剣さに胸打たれました。すんごいんです。何がどうすごいかってことは割愛しますが、これ全国の図書館で実施したら、ゲームに取って変わられてた本が子どもたちの元へ戻るんじゃないかと思いました。

そのお話の中で、興味深かったのが、図書館員が自分の仕事を見直す上で参考になるのがベストリーダーの検索というお話。
ホームページ蔵書検索のところから、「貸出の多い資料」という表示でたいてい出ているのがベストリーダー。図書館員が働きかけをしていて、その効果が出ている図書館とそれができてない図書館の差が一目瞭然です、と。働きかけていない図書館はみーんなゾロッちゃう、って(笑)。ゾロッちゃう、って『怪傑ゾロリ』シリーズで上位を埋め尽くされるってことです(笑)。あ~、我が家もコレ悩みだわ

と、色々と参考になるお話もあったのですが、肝心のみんなの悩みどころの選書の難しさに対する答えは全然出ていなくて、私モヤモヤしてきちゃったんですね。私はいいけれど、みなさん、その答えを求めてはるばる遠方からやってきているのに!みんなで悩み出し合って終わり~!?って

そしたら、松岡享子さんが最後の15分でシメて下さいました。

「選ぶのにラクになる道はないのよ」と。「一冊一冊が大変なの」って。

方法論や答えのマニュアルのようなものなんて存在しないんです。ちょっとでも存在するとどこかで思ってた自分が恥ずかしい・・・。
以下は正確ではありませんが、自分のための覚書。

本を選ぶのは、つきつめていくとその人のTaste。どんなに自信がなくても、人は自分がいいと思うものを選んでいくしかない。自分のTasteにしか足を置けない。ここを土台として、よりよい土台にするためにはどうしたよいか。子どもの反応、他の人の意見、ロングセラーが教えてくれることに耳を傾けることでその土台がよりよいものになっていく。そして、自分の判断基準となる自分だけのポイントを持つことが大事。

ちなみに、松岡享子さんのこの自分だけの選択基準のポイントとしているのは、

1)最初の1ページを必ず声に出して読み、耳に心地良い文体か、日本語がどんな風に聞こえるか

2)この本は子どもたちが持つ人間に対するイメージをプラスにするか


の二つだそうです。とても素敵な基準
うん、私も希望を伝えていきたいんです、児童文学を通して。今回の読書会を通じて、改めて素晴らしい世界に今足を踏み入れつつあるんだなあ、って実感しました。

で、都内に出るだけで疲れちゃう私なのですが、帰宅したらAirbnb始めた方がBBQにご招待くださっていて、夕飯作らずにすんでラッキー。50年前(!)の古いJazzっぽいハワイアンが流れていて、なんだかまだ旅行が続いているような気分。仲良くなった台湾ファミリーと子どもたちは夜のスイカ割りをしたり花火をしたり。そんな幸せな一日でした

緊張→大満足の読書会

2016-05-01 22:08:01 | 読書会
 

昨日はいよいよあの読書会でした

・・・と、その前に、せっかく上京するのだから、と都内に住む学生時代の友人と久々にランチ
マンガの聖地椎名町の駅目の前にある金剛院というお寺のカフェ赤門テラスなゆたに行ってきました。身体に優しいランチでした♪

椎名町って、手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫などが住んでいた伝説のトキワ荘がある町なんだそうです。昭和のマンガ好きの長男のおかげで、私ですら「おお、トキワ荘!」とちょっと感慨深くなりました。そんなわけで、金剛院にはなんと漫画地蔵なるものまで。昨年の3月に建立されたものだそうで、手にはペンを持ち、光背もペン先をかたどったもの。ちんまりとかわいらしいお地蔵さんでした

さて、慣れない都会用靴(笑)はいたせいで、足をジンジンさせながら向かうは → → → 東京子ども図書館!憧・れ・の
予想通りベテラン勢ぞろいの中、一人場違いなただの主婦であるワタクシ。しかしね、そんな劣等感、あっという間に吹き飛んでしまいました。だって、みなさんのお話がもう面白くて面白くて、そして素敵な方ばかりで、本当に児童図書にかかわっている方たちってあたたかい方ばかりだなあ、と感激してしまいました
参加者は全国から集まり、遠くは茨城、福井、宮崎、そして熊本から来た方も。熊本の方の震災のお話はニュースで読むのと実際に話を聞くのとでは心への迫り方が大違いです。避難所も老朽化してて避難所になりえなかったそう。本当に大変な思いをして、読書会に来るような状況ではなかったそうなのですが、「でも、楽しみがないとやっていけないんです」と。そして、その方の願い通り、今回の読書会は本当に楽しいものとなりました。

今回のテーマは『昔話の持っている魔法の力』だったので、一人2分以内で「私の昔話体験」というタイトルでスピーチを用意するという課題があったんです。みなさん、昔話に対する小難しい考察ではなく、本当に個人的な「私の」昔話体験をしてくださったんですね。それがもう感動的で、時にうるっとし、時に心底感心し、もう私の感情大忙し。結局はね、個人的な体験なんだなあ、人の心を動かすのは。とても個人的なのになぜかそれが普遍的。

手作りのクッキーとお茶をいただいた後は、松岡さんのご提案でグループ分けをし、ロールプレイング。これがみなさん芸達者すぎて爆笑の連続!あ~、笑った笑った。

・『かしこいモリー』を道徳的にどうかと思ってる 校長  読み聞かせボランティア
・ホフマン画の『ねむりひめ』をめぐって 学校の先生  3,4年生の生徒たち
・『かちかちやま』のばば汁は残忍すぎないかと 夫  読み聞かせボランティアをしている妻
・『桃太郎』(寝太郎編)の教育上の教訓をめぐって 保育士  図書館員

というシチュエーションでロールプレイ。どれも実際にあった例だそうで、いやあ、白熱しました。

昔話ってね、大人が読むとこれって教育上どうなの?道徳的にどうなの?残忍すぎやしない?とか色々疑問がでてくるわけですよ。努力もなにもしないものぐさな主人公が成功しちゃったりね、大人としてはちょっと困る展開なわけです

心理学的、文学的になぜ昔話が素晴らしいのかも分析されているので、そういった面から上記のことを論破することもできるのですが、松岡さんは
解釈のおもしろさにとらわれて、物語そのもののおもしろさから離れてしまうことのないよう自戒する必要がある
とおっしゃっていて、ハッとさせられます。私、解釈大好きなもので(笑)。

松岡さんは最後にこうおっしゃいました。
みなさん、昔話って何千年単位で語り継がれてきたものなんです。何千年ですよ?なぜ残ってきたのか、そのこと考えてみてください
って。残忍な話も多い、道徳的にどうかと思う話も多い。けど、どの時代の人も人を殺したり、盗みを良しとした時代はないハズ。それなのにそういう内容オンパレードな昔話が生き残ってきたのはなぜなのか、と。そこにヒントがあるのではないでしょうか。昔話はシンボリックな文学です。そこには真理があるんだな~。

まだまだ書きたいけど、長すぎるので本日はこれにて
期待以上に楽しくて幸せな時間でした。この読書会のことを教えてくれたWさんに感謝