『クルミわりとネズミの王さま』ホフマン作 上田真而子約 岩波少年文庫
今日の一冊は、コチラ。実は、まだ読んでないんです。クリスマスが近いし、これから読みたいなあと思っていたところ、昨日17日、こちらの本の翻訳者である、上田真而子さんが亡くなられた、と知りました。たくさんの素晴らしいドイツの児童文学を日本に紹介してくれた上田さん。87歳だったそうです。
もっとも有名なのは、共訳の『はてしない物語』(ミヒャエル・エンデ作)かな。
前回ご紹介した『ひとりだけのコンサート』も上田さんの訳で、たくさんヘルトリングの作品も訳されています。このブログで、ほかにも過去にとりあげたものでは、
『ヨーンじいちゃん』
『おばあちゃん』
『だれが君を殺したのか』
などなど。骨太ものが多く、出会えてよかったと思うものばかり。
もう、上田さんの訳のものが読めないと思うと、とっても残念なのですが、ふとお友だちが
「絵本や児童文学に携わる人は、長生きが多い」
って言ってたこと思い出しました。
確かに!みなさん、おじいちゃん、おばあちゃんになっても元気な現役の方が多い。
子どもの視点、子どもの心を失わないと人は長生きするのかもしれません。
希望を失わない
心が枯れない
からなのかな?
ところで、日本は翻訳大国なんだそう。日本ほど、翻訳文学が入ってくる国はないそうなんですね。児童文学が盛んなイギリスでは、周辺諸国の翻訳ものはとっても少なくて、なぜ?って聞くと、‟We have our own”って答えが返ってくるそうです。自国に優れた物語がたくさんあるから、わざわざ翻訳ものは必要ない、と。
う~ん、確かに私も日本のもので素晴らしい物語に出会えると、とっても嬉しい。でも、異国の香りを感じたり、異国なのに考えてることや思いには共感できることに驚かされたり。翻訳文学も宝物だなあ、って。
たくさんの宝物をくれた、上田真而子さん、ありがとうございました。