『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

屋久島の森に惹かれて

2016-08-30 23:27:25 | 絵本


『水の森』高田裕子作・画 アノニマ・スタジオ


先日とある画家さんの展覧会を知りたくて、サーチしていたときに偶然出会った(ネット上でだけど)画家さん高田裕子さん。彼女のホームページ上に映し出される刻々と移り変わる一本の木の一年に目を奪われました。なんて生命力のある!文字通り息を飲みました。彼女の原画展をやっているShizuku Gallery もこれまた素敵で。わ~、行ってみたい・・・でも、屋久島

屋久島、懐かしいなあ。新婚旅行(16年前!)は屋久島だったんですよねえ。山とかも登ったので、およそロマンチックとは縁のない恰好で回ってましたが。いつか子どもたちとも一緒に行きたいと思っていた場所。いつかといわず、近いうちに行こう!改めてそう思いました。

ということで、珍しく中身を見ずに衝動買い。彼女の絵本です。↓







言葉はとても短く各ページ一行。大人の絵本かもしれません。でも、子どもにこそこの息を飲むような圧倒的な美しさに触れてほしい

森の鼓動、息づかい、そして光

星野道夫さんもおっしゃっていたけれど、例えその場所に行けなくとも、同じ地球上に今そういう場所が存在しているという事実を知ってるだけで、力をもらえるんです。

悠久の流れの中の小っぽけな自分。力強い森は恐ろしくもあり、原点に戻れるかのような安心感もあり・・・。そんな小っぽけな自分も愛おしくなってくる。
森羅万象に神を見る日本人にしか描けない絵かもしれません。

人生に意味なんか求めない。ただただ「生きる」。

絵の中の森に身を置いて、深く深く深呼吸。一日の始まりに身を置きたい森です

大草原ファン必見!

2016-08-29 23:32:36 | アメリカ文学


里子ちゃん(児童養護施設の子を年2回ホームステイで受け入れています)のホームでは、電子ゲームは禁止。ということで、ボードゲームが盛んです。そんなわけで、普段見向きもされない(多分難しすぎて)我が家のボードゲーム、カタンも里子ちゃんとそのホームの子たちが来たときには大活躍。やっと日の目を見たわ~、という感じでした。カタンはドイツ生まれの開拓者ボードゲームで、サイコロふって手に入れた資源で無人島に開拓地を切り開いていくというもの。まあ・・・里子ちゃんたちが去った後は部屋の隅に寂しく忘れられていますがね。来てたときはとても盛り上がりました!航海者バージョンなど拡張版もあって、まだまだ楽しめそう♪お隣さんはアメリカ人なので、アメリカの開拓版もあると聞いて、それを買うそうですよ

開拓!といえば、やっぱり私にとっても思い浮かぶのは、アメリカなんです。小学生のころ夢中になったのは、『赤毛のアン』よりも、断然『大草原の小さな家』シリーズ。大っ好きでした。テレビバージョンは放映された時期に我が家のテレビが壊れて、それをきっかけに1年間テレビなし生活をしたので見てないんです。なので、私にとっての大草原シリーズは、どうしてもガース・ウィリアムズの描くインガルス一家(=マイケル・ランドンなんか違う!父さんは髭面なのよ!)。もうね、メープルシロップのキャンディーはもちろんのこと、豚のシッポにまでいちいちトキめいてましたよ

でね、大人になって読み返してみたら・・・あれ?こんなに文章読みにくかったっけ・・・???とちょっと驚きました。意外と読みにくい翻訳。でも、そんなの気にせず、小学生のころはどんどん読み進めていってましたけどね。

で、私のように中学生からは児童文学と疎遠になってしまった方の中には、もしかしたら知らない方もいるんじゃないか、と思ったわけです。お母さんのキャロラインの少女時代~結婚前までのシリーズがあることを!周りに聞いても意外とみなさんご存知なくて。『クワイナー一家の物語』シリーズ全7巻!↓

 

画像が多くなるので、1巻と最終巻の画像のみ貼りますね。

こちらは翻訳もとても読みやすくて、7巻一気読みです!インガルス一家の物語では、揺るぎない完璧な母かと思われたキャロライン。実は、幼少期はお裁縫は苦手だったりして、お母さんにも幼少期があるのね、とびっくりほっこり。開拓ものは、自然が相手なので、ローラたちも苦労していますが、キャロラインの時代の苦労も相当なもの。特に、キャロラインは幼くして、お父さんを亡くしてしまっているんですね。なので、父親役も担うそのまたお母さんの厳しいこと!

ちょっとネタバレ含みますが、新しくお父さんになる人のエピソードも素朴で心温まります。愛だの恋だの超えた、人間として素朴で大切なものを思い出させられました。さらに、キャロライン、夫のチャーリーと11歳のときに出会っていて、ある意味幼馴染なんですね。え~、1回プロポーズ断ってるの~???後にあんなに移動開拓生活送るのに、定住型希望してたの~!?などなど新鮮な驚きもいっぱい

中でも私が一番驚いたのは、キャロラインは一度文明生活を送っているんですね。いや~、インガルス一家のシリーズを読んだのが小学生低学年だったという言い訳もありますが、私この時代はどこもかしこも開拓時代生活だと勘違いしてたんです。ローラのお母さんのキャロラインの時代にそんな都会があったなんて想像もしてなかったんです!
そして、キャロラインは開拓どころか、当時最先端を行くインテリ女性(当時女子にはまだ珍しかった大学に通います)で、教師というキャリア組。今まで積み上げてきたもの、ぜ~んぶキッパリ別れをつげて、また元の時代に逆戻りのような生活をするのですよ!!!これに、驚きました。とにかく、面白いです。『大草原』シリーズが好きだった方はぜひ

ちなみに、アメリカでは、さらにキャロラインのお母さん(ローラの祖母)の物語も、そしてそのまたお母さんの物語(舞台はもはや渡米以前のスコットランド!)も出版されているそうです。何を隠そう、ワタクシ勢いあまって、スコットランド時代の物語(原書)を購入!そして、表紙だけで満足して月日だけが過ぎて行ってることは内緒です

ネイティブものの嘘&星野道夫写真展

2016-08-28 21:22:45 | アメリカ文学

『森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて』星野道夫著 世界文化社

先日、銀座松坂屋で開催されていた没後20年特別展『星野道夫の旅』写真展に初日行ってきました。おいおいお仕事は?的なさぼってる風のサラリーマン、銀座に似合うおしゃれな方、デパートで浮いてるバックパッカー的な人、色んな装いの人で混んでいて、星野道夫さんは色んな人から愛されていたんだな~、と改めて実感

写真展を見て改めて思いました。私は彼の写真自体が好きというよりも、彼の世界観、文章が好きなんだと。文章だけのエッセイだったら、先日小笠原の帰りの船で再読した『旅する木』が一番好きなのですが、写真入りエッセイで一番好きなのは断然この『森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて』なんです。元々自分が文化人類学をかじっていて、ネイティブな人たちに興味があるというのもあって、大地に根ざしたネイティブの人たちに触れたび鳥肌がたつんです。こういう世界観にたまらなく惹かれるんです

ただネイティブものに関しては、裏切られた気分になったこともあります(星野さんのではありません)。大学時代に好きだったこちらの二冊の本。↓

 

『リトル・トリー』(フォレスト・カーター)と『ミュータントメッセージ』(マルロ・モーガン)

今でこそこの2冊はAmazonのレビューでもその実態が書かれているものの、私が発見したころはまだ広く知られていなくて、何を信じてよいのやら混乱しました。
『リトル・トリー』は素朴ながら山で祖父母と暮らすことになったチェロキーインディアンの男の子の自伝で、じわじわと感動したものでした。ところが、自伝と言っているこの作者がKKKの支部リーダーであり人種差別主義者だという。えーーーっ!?!?本当???当時は情報が少なく、真偽の確かめようがなくてモヤモヤしました。例えそれが真実であろうと、作者と中身は関係なく、この物語自体はいいではないか、完璧な人間なんていなじゃないか、と言い聞かせようとしました。何度も。でも、ダメでした。そして、サヨナラしました

『ミュータントメッセージ』のほうも大学生当時えらく感動して、原書まで買ったくらいです。ただ、当時から一カ所だけ引っかかってるところはありました。それは、アボリジニーの〈真実の人〉族の人々がこの世の中に絶望して自ら命を絶やす選択をすることにしたというくだり。それはありえない、と彼らの世界観を少しかじっていた私は直観で思っていました。また、なぜこの白人の作者である彼女がアボリジニーから選ばれたのかもイマイチ分からなかった。ほんのり香ってくる自慢げな香り。でも、感動していたからそこをあえて気づかないようにしてた。
アボリジニーの人々からこの作者に抗議運動が行われていると知ってからは、この本もサヨナラです。とてもとても残念でした。想像して書いた、彼らの世界観への憧れからフィクションで書いたと最初から言えばよかったのに、白人である自分が選ばれて彼らの秘密を知らされたとした傲慢さ、彼らへの敬意のなさがとにかく残念。


この二冊に共通しているのは、自分の実体験だと謳ってしまったところ。そこに自分が認められたい承認欲求、自分は選ばれた人なんだという優越感があったのかもしれません。本当に素晴らしい文学だと、ほとんど自伝的なものでも作者はあえてそうは主張してないことが多いんですよね・・・。

今日はちょっと残念本の紹介でした

第5回児童文学ピクニック

2016-08-26 21:14:25 | 児童文学cafe&picnic


第5回児童文学ピクニックのテーマは『戦争と平和』
木陰が涼しい緑あふれる懐かしの公園で開催しました~

8月は夏休み中で、みなさん子どもの予定に振り回されるしで、開催は難しいかなあと思ったのだけれど、どうしてもこのテーマは8月にやりたかったので、人集まらなくてもいいやと思って開催しちゃいました

大人4名なのに、子どもは13名(そのうち2名はお友達のお子さん)という(笑)。
炎天下の中、45分も自転車こいできてくれたMMちゃん、1時間半も子どもたち引き連れて歩いて(!)来てくれたCさんの根性にただただ脱帽!!!サンドイッチ交換会も子どもたちがいたのであっという間になくなりました

さて、今回テーマは重かったのですが、悲壮感漂う感じではしたくないよね、と。やはり類友なのか、持ち寄ったBOOKリストも共通するものが多かったです。そして、共通していたのは、「直接的に」戦争の悲惨さの描写があるものや、救いようのない気持ちになるものは、再読したいとは思えない、ということ。一度は読んだほうがいいとは思うんですけどね

目をそむける、というのとはちょっと違う。でも、『原爆の日に思うこと』でも述べましたが、不安感、恐怖感に訴えるものは、やっぱり前に進もうという気が起きてこないんです。「こんな怖い世の中にあなたはしたいんですか?それ知って何も行動しないんですか!?!?」と責められてるような気分になり、たちはだかる巨大な壁の前に無力感とあきらめがきてしまう。やっぱり美しい世界、守りたい楽しい世界が先にあってこその平和かなあ・・・。

うまく言えないのですが、直接的な表現や描写は敬遠したくなる私たちでしたが、でも語り部の存在は絶やされてはいけないよね、というところでも共通していました。実際の体験者のお話を耳で聞くのはこれまた違う。私たちも戦争を知らない世代ですが、でも戦争を体験している世代から直接話を聞く機会がまだあって、それがいまの子どもたちとは感覚が違うよね、という話にもなりました。今の子どもたちにどうやって伝えていったらよいのか・・・。
『はだしのゲン』(漫画)なんかも子どもたちみな読んでいましたが、どういう風に受け取ってたんだろう?ただただ怖いもの見たさというかグロテスクな感覚だけが残ってしまっているのではないか・・・?
今回はとっても真面目な話し合いになりました。

BOOKリストは結構なボリュームなので、また別の機会にアップしようと思いますが、さらりと読める絵本で平和を考えさせられるのが、以前にも紹介したこちら↓



『せかいいちうつくしいぼくの村』小林豊 作・絵 ポプラ社

参加者MMちゃんと私の一押し。最後の一文が強烈です。
『ひろしまのピカ』よりもこちらを読むほうが平和を守りたい!って思えるんです(私の場合は)。友だちを失いたくない、大切なものを再認識させられる。しかし、戦争文学ってやっぱり私自身はエネルギー吸い取られちゃうんですよねえ・・・。どよーん。暑さもあってか、子どもたちとお互いイラっともし、暑い暑い夏の日にいろいろと考えた一日でした

③ 『水晶さがしにいこう』

2016-08-25 21:03:36 | 絵本


『水晶さがしにいこう』関谷敏隆 作・絵 童心社

ぼくんちは、じいちゃん、父ちゃん、ぼくと三代の水晶マニア。岩山で「水晶がま」を発見したり、谷川で大水晶を掘り当てたり、じいちゃん伝授・水晶とりの秘訣と心得七ケ条のとおりにすると、こんなに水晶が見つかるよ。(MARCデータベースよりそのまま転載)

こちらの絵本、舞台はどこなんだろうな~?気になる気になると続いた鉱物採集日記もこれでおしまい。この絵本読んだり、他の鉱物採集マニアの方のブログ読んだりで、今回ついに鉱山の中へ入れるのね!!!と期待でいっぱいでした。ヘルメットいるよね???ロックハンマー買う?トンカチでOK???・・高鳴る胸の鼓動

しか~し!!!案内されたのは、通称“朝飯前”と呼ばれる場所で、鉱山の入り口からそんなに離れていない場所でした。ま、ま、そりゃそうよね。ド素人が自分たちだけで何の知識もなく山奥まで行けるわけないし、3歳児連れだし。



レタス王国のこーんな景色を背に、入った“朝飯前”はこんなところ↓



「平らな石ひっくり返したらあっから!」
と言い残し去っていく社長。ほ、本当にこんな場所(入り口付近)で見つかるんだろうか・・・?鉱物採集マニアの方たちのブログではジャブジャブ川とか渡っていたのだけれど。イメージとちょっと違って、しばし不安になる

しか~し!!!すぐにあちらこちらから沸き起こる「あった!」「見つけた!」コール。まあ、あったといっても小さいんですけどね。でも、川原と違って、どれも六角形の形が残っているので、テンションあがるんです。ただ、こちらは粘土質?の茶色の土がべっとりついていて、それを落としても、まだ茶色が取れない。鉄サビらしいです。そんな中、邪心がなく、探す気もあまりなかった3歳児の三男はこんなのを見つけていましたよ↓。



川原では一粒見つけるのにとっても苦労しましたが、ここではホイホイ。ただ、川原のように水で洗われていないので、土と同化してるという意味では見つけにくい?三男のちっちゃい手と比較して、こんな感じです↓。



な~んだ、ちっちゃい!って思うでしょう?でもね~、これ自分で見つけると実に感激するんですよ。数ミリのチビチビでも愛おしくって取捨選択するのが大変なんですから~
ちなみに次男とお友達のところのboyは宿の前の例の洗い場で、「私たちにとっては」大き目でクリアなのをゲットしてましたよ~。鉱物マニアの人たちにとっては、取るに足らないと多分捨てられたものなのでしょうけれど、私たちにとってはお宝


≪見つけ方(朝飯前編)≫
社長のいうとおり、平らな石をひたすらひっくり返す。
または、私の場合は地面にしゃがみ込むよりも、立って目を凝らさず、全体をぼんやり見るほうが見つかります。川原と違ってキラっとは光らないのですが、それでも鈍い輝きでちらっと違和感がある場所をキャッチするんですね、で、しゃがみこむと見つかる。野生動物の足跡をトラッキングするときと同じ方法です(← 実は過去にそんなワークショップに通ったこともある)。


≪洗浄の仕方≫
泥を落としてもまだ落ちない茶色の鉄サビたちは、サンポールとやら(有名らしい?)という洗剤につけておくといいらしい。
シュウ酸が本当はいいのですが、劇薬で買うのに身分証明書なんかがいるのと、残りを子どもたちが誤って使ったら・・・と思うとやっぱり合成洗剤使うほうがいいのかなあ。合成洗剤は使いたくないという葛藤はあるけれど、やっぱり水晶たちをきれいに洗浄してみたい欲求が上回る
うまくいったら、Before Afterを載せますね


ともかく、一つ言えるのは、自分で見つけるのは楽しい!自分で見つけると愛おしい!
次男のおかげで世界がまた一つ広がりました。次回はぜひベテランの方についていって、鉱脈とかガマとか発見してみたいものです♪とおおっても楽しかったです