絵本読み聞かせ講師のとんちゃんプレゼンツ、Zoom出絵本朝活にやっとやっと初参加!
はじめまして~、のみなさまも絵本という共通の趣味があると、お話しする前から親近感。
40分という短い時間で、「あ~、もっと聞きたかったな。もっとしゃべりたかったな」と思う、このくらいの感覚がいい。素敵な朝の時間を、とんちゃん、ありがとうございました!
さて、今日とんちゃんが読んでくれた絵本がコチラ↓
『くんちゃんのはじめてのがっこう』ドロシー・マリノ作 まさきるりこ訳 ペンギン社
新しい世界の入るとき、誰しもドキドキするもの。あんなにワクワクしたのに・・・逃げ出したくもなる。
で、くんちゃん実際逃げ出しちゃうんですね。でも、追いかけるでもなく(←コレなかなかできない)、自然とくんちゃんも参加したくなるように、さりげなく仕向ける先生。
ああ、いいなあ。
‟待つ”
これ今の私たちに欠けている姿勢だと思いました。
そして、自分が知ってる単語が黒板に書かれるたび嬉しくなり、自分の名前が書かれると思わず教室に飛び込んでいくくんちゃん。
この物語を思い出しました↓
『おじいちゃんは荷車にのって』(1994年)グードルン・パウゼパンク作 インゲ・シュタイネケ絵 遠山明子訳 徳間書店
大きめの文字でたったの78ページの本。ドイツの作家さんですが、挿絵を見るとアンデスが舞台なのかな。
95年の小学校高学年の部の課題図書にもなったようですが・・・例のごとく、絶版です。ぜひ図書館で。
「もうたくさんじゃよ」
こんな言葉から始まるこの物語。人生やりつくして、身体は動かないし、もう楽しみなど何もないという、気難しいおじいちゃんが出てきます。まあ、言ってみれば、かまってちゃんなやさぐれ老人(笑)。でも、誰しも、そういう投げやりな気持ちになるときってありますよね~。
で、孫に自分が乗っかった荷車を押させるんですね。頂上についたらもう戻らないつもりで・・・。
そんな死にたい病にかかっていたおじいちゃんですが、道中で出会う村人たちのあたたかい声かけで、少しずつ心をほぐしていきます。
その村人たちが、またさりげなくて(←ここポイント!)いいんです。「おじいちゃん死なないで~!」と変に騒ぎ立てるでもなく、おじいちゃんがまだ必要とされてることを、ごく自然な形で思い出させてくれるんですね。人生まだ捨てたもんじゃないってことを。
さらに、おじいちゃんをムリにこちら側に引っ張るのではなく、おじいちゃんが自ら心を開くまで待つ姿勢。くんちゃんの先生と同じです。
これね、相手を信頼してるから待てるんです。心配して騒ぎ立てるのって、実は相手の力を信じてないんですよね。
短いお話ですが、とても考えさせられます。
そして、もう一つ、おじいちゃんの気を変えさせたのが、文字を知ること。おじいちゃんは文字が読めないのですが、誰かに出会うたびに、孫のペピートは、砂に文字を一つずつ書いておじいちゃんに教えていきます。そう、それはおじいちゃんの名前の綴り!くんちゃんを読んでもらったとき、このおじいちゃんを思い出したんです。最後に「ヤッホー!」と、いたずらっ子のように叫ぶおじいちゃんの表情といったら!もはや少年。
以前『老人と子ども』テーマの児童文学ピクニック(そのときの様子はコチラ)もやりましたが、老人と子どもって不思議な絆があり、親近性があるんです。どちらもあの世に近いという点で。
くんちゃんと合わせて、ぜひ『おじいちゃんは荷車にのって』も手に取ってみてくださいね。