『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

太郎三部作と小澤昔ばなし研究所

2016-09-30 08:16:58 | 日本文学


鎌倉市の図書館では、11月にファンタスティック・ライブラリーという週間があるのですが、そこで図書館とともだち・鎌倉では11月11日(金)、12日(土)に松谷みよ子展をすることになりました。微力ながら私も少しお手伝いをさせていただくことになり、担当は“太郎三部作”のコーナー。一緒にやっているMMちゃんが素晴らしいアイディアを出してくれているので、私は先輩についていくのみです~

でね、太郎三部作とはなんぞや!?
お恥ずかしながら初めて知りましたよ~。松谷みよ子さんの『龍の子太郎』(←これしか知らなかった)・『まえがみ太郎』(←テレビアニメにもなってたのですね)・『ちびっこ太郎』の三部作↓

  

三部作といっても、特にこの三冊に関連性があるわけではなく、ただ名前に太郎がつくのが共通というだけですが。どれも昔話をベースにした長編。長編なのだけれど、語り口が昔話なので、耳に聞いて心地よく、これはもうぜひ読み聞かせで!テンポよし!内容よし!で大人も子どもも夢中になれます。実際に取材して集めてきた民話を色々組み合わせてあるのですが、これが面白いの。平易な文章であそこまでグイグイ引き込む力はさすがです

まあ、昔話(民話)って、大人からすると「こんな簡単にラクして成功しちゃっていいの!?」と思う場面多々で、すぐ助けが来て特に主人公の努力もいらないわけですが、要は「勇気とやる気」これが重要!村人たちは不安が先に立って、実際のところを確かめたり向かい合ってく勇気がないんですね。そこにお気楽極楽の主人公がちょちょいとやっちゃう(笑)。『まえがみ太郎』のほうは、妖怪もさまざま出てくるので子どもたちは喜ぶかも♪

昔話ってホーントに奥が深いんですよねえ。今朝初めて、小澤昔ばなし研究所の小澤俊夫さん(筑波大学名誉教授、弟はあの世界的指揮者の小澤征爾、息子は我らがラブリー小沢健二)の『昔話へのご招待』(FM FUKUOKA)を聞きました。ネットから過去のもぜーんぶ聞けちゃいます。いい時代になったものだ・・・。このラジオの感じ、昔親戚の家で朝流れていた感じを思い出す。懐かしいなあ。オザケンパパ(どうしてもその印象のほうが強い)の語り口はとおっても優しくて、いいおじいちゃんなんだろうな、なんて。そして、楽しそうに分かりやすく昔話の解説をしてくれます

今日聞いたのは、『まえがみ太郎』にも出てくる『大晦日に訪ねてくるおじいさん』のお話。とっても興味深いです。これからは朝食を作りながらこの番組聞くの、日課にしようかな♪おすすめです!


りんごの季節がやってきた♪

2016-09-28 23:42:21 | 絵本


『エレンのりんごの木』カタリーナ・クルースヴァル作・絵 ひだにれいこ訳 評論社


なんだか蒸し暑さがカムバックの日々ですが、それでもりんごの季節がやってまいりました~。我が家子どもと私が紅玉に目がないのですが、宅配で今年初の紅玉を箱買いしました♪ 紅玉のあの酸っぱさと小ぶりの可愛さがたまらないんですよね~。アップルパイ焼きたいなあ、と思うそばからどんどん子どもたちが丸ごとそのままのりんごに手を出していき、ものすごいスピードでなくなっていきます

さて、そんな我が家に新しく加わった絵本が「エレンのりんごの木」。誕生日にMMちゃんからいただきました、ありがとう
私はいわゆるスタンダードと呼ばれる、3世代読み継がれる古典的な絵本が好きなので、2000年以降に出版されたものはあまり知らなかったりする。なので、新しい絵本と出会えるのはとても新鮮でワクワク

もうね、木がテーマの絵本はどれもこれも大好きなんです。自分の中にも居場所の木ができるというか、妄想の中でかなり遊べる(笑)。子どもたちも木の絵本を読めば「いいなー、いいなー!」を連呼。・・・いや、君たちかなり木登り実際にしているほうだと思うけれど・・・!?でも、“自分の木”っていうのに憧れるんだろうなあ、って思います

この絵本のエレンと近所のオッレはいつも庭にあるりんごの木に登るのが大好き。ほかに砂場もおもちゃがいっぱいの遊び小屋も大きな石もあるけれど、それより断然りんごの木!春は真っ白く咲いた花の中に、夏はまるで緑の洞穴のようで、秘密の隠れ家となるりんごの木。当然収穫の時期はワクワク楽しくて。スウェーデンハウスの絵も楽しい♪



そんな“居場所”であるりんごの木がある日雪で倒れてしまうんですね。木が出てくる絵本はたいていプロット(物語の筋)は同じで、死と再生のテーマが隠されてます。だから、木が折れちゃう。最初は認めたくない。でも、受け入れるしかないんですね。そして、そこに新たな命を紡いでいく・・・。

MMちゃんに昨年誕生日にあげた本も同じテーマでした。同じスウェーデンの絵本で訳者さんも同じ(笑)↓



オーサ・メンデル=ハートヴィッグ作 アネ・グスタフソン絵 ひだにれいこ訳 光村図書

こちらは2015年出版。在庫分売れたらそのまま絶版になりそうだな

木って不思議です。どっしりそこに根をおろしていて、動かないので家のようでもあるのに、花子とアン風に言うならば“想像の翼”を広げてくれる。木に登れば木が色んなところに連れて行ってくれるんです。実際に木登りできなくても、絵本を通じて心の中に自分の木を持っていたいなあ、と思うのです


日本にもあった理想郷?『アヴェマリアのバイオリン』

2016-09-27 21:43:31 | 日本文学


『アヴェマリアのヴァイオリン』香川宣子著 角川書店


昨日『アラスカの小さな家族 バラードクリークのボー』で、多文化共生の理想があったと書いたのですが、日本にもあったんですよねえ。それが『アヴェマリアのヴァイオリン』に出てくる徳島県にある板東俘虜収容所。ええ、驚くことに収容所!日本で初めて『第九』が演奏された奇跡のような場所です。とその前にこの本のあらすじを・・・↓

≪『アヴェマリアのヴァイオリン』あらすじ≫
14歳のあすかのヴァイオリンには数奇な物語が隠されていた…。アウシュヴィッツで強制収容所に入れられながらも囚人音楽隊員として生き抜いた天才ヴァイオリンニストの少女・ハンナ。平和とは・・・。数奇な運命に翻弄された一丁のヴァイオリンが生み出す感動の物語。2014年度第60回青少年読書感想文全国コンクール課題図書(高校の部)


これまたシンクロと言いますが、必然といいますか。“戦争と平和”をテーマにした第5回児童文学ピクニックは夏休み中だったこともあって、実家近くの公園でやったんですね。なので前日から実家に泊まってました。そしたら、そんなテーマで集まるなんて全く知らないじいじから「これ、読んでみたら」と手渡されたのがこの本だったのです。タイミングよすぎ!!!

作者のホームページに書かれていることも面白い。まあ・・・自分で四国のジャンヌダルクと名乗っちゃうようなところはちょっと引いてはしまいますが。個人的に興味深かったのは、この作者の方、この本は直接的には書いてないのですが、『ユダヤアークの秘密の蓋を開いて 日本から《あわストーリー》が始まります』という本も書いていて、日本とユダヤの秘密についても書かれているんです。小笠原の宿に置いてあったので読んだ『日月神事 ユダヤとの結び/石屋との和合』が引っかかっていたので、するすると謎が解けていくような、全てがつながっていくかのような不思議な感覚。約束の地カナンが日本だなんて、あり得ない!と思ってたけれど、読めば読むほど・・・まあ、真偽のほどは置いておいて。この話は長くなるので別途にするとして、板東俘虜収容所!!!この物語の中に出てくるアウシュヴィッツでの様子はひたすら苦しくて、重くて重くて、目をそむけたくなるようなむごたらしい現実でしたが、そこで以前板東俘虜収容所にいたというクラウスの体験話が出てくるのですが、これがんも~素晴らしいのです

この収容所の所長だった松江豊寿氏、この方がとにかくすんばらしい。武士道精神を持っていると言いますか。
「武士の情け、これを根幹として俘虜を取り扱いたい」
と部下に伝え、捕虜を犯罪者のように扱うことを禁じ、敬意を持って接するんですね。そこからさまざまな文化交流が生まれていく。無愛想なパン職人に笑顔が生まれる。音楽の交流が始まる。戦時中ですよ?収容所ですよ?こんなことって実現できるんだ!奇跡のような本当のお話。希望が湧いてきます。板東俘虜収容所に関しては、ココにもまとめられています。でも、やっぱり記事で読むより、物語で読むほうが心にぐっと来る、残ります

物語自体については、現代のあすかの方がどうしても薄っぺらく感じてしまって、文学としてはいま一歩なのかも。それでも!アウシュヴィッツで仲間を死に送るために演奏する苦しみ、それでも音楽の生み出す可能性、究極の状態で気高く生きるとは、などなど考えさせられるところがたくさんあります。有名な『あのころはフリードリヒがいた』は苦しくて苦しくて、個人的には人には勧められません・・・。でも、この『アヴェマリアのヴァイオリン』のほうは人間の美しさ、気高さが描かれているので同じような極限状態でも、それでも人類に失望せず、希望が残る気がします。それにしても、板東俘虜収容所のようなところがあっただなんて。日本人として誇らしいです!

理想の社会がここに『アラスカの小さな家族』

2016-09-26 05:58:42 | アメリカ文学


『アラスカの小さな家族 バラードクリークのボー』
カークパトリック・ヒル著 レウィン・ファム絵 田中奈津子訳 講談社(文学の扉)


週末は長男(小5)とデート。ううっ、こんな日が来るとは(感涙)。問題だらけ(と私が思っていた、否、思いたかった)でホーント悪夢のようだった日々を抜け出しました!神ノ木クリニックで言われた「気にしない」を実践したらスゴイです。天真爛漫だった本来の長男に戻りました♪いや、激情型は残っているので爆発はしますよ、でもそのあとすぐに「お母さん、ゴメン。ちょっとひどく言い過ぎた。僕今変わろうとしてるんだよ!」と言ってくるんです。健気~

今までも自分としては「気にしてないつもり」ではいたんです。でも、覚悟が足りなかった。どこかに未練があった。「これ問題視しなかったら、放任じゃないか?母親として失格なんじゃないか?」っていう思い。だから、問題視した。子どもを信じ切れていなかったんですね。子どもは勝手に育つ、それを阻んでいるのはむしろ親。心配するなんて子どもに失礼。親の役割って・・・!?核家族で親の目が子どもに届き過ぎるのは、むしろ子どもにとって迷惑なんだなあ、と痛感する日々に上記の本を読みました。

≪『アラスカの小さな家族 バラードクリークのボー』あらすじ≫
舞台は1920年代後半、アラスカの小さな町。ゴールドラッシュで押しよせていたさまざまな国の鉱夫たちは消えつつあったが、残った人々はアラスカの大自然の中、人種や言葉、文化、年齢をこえてなかよく暮らしていた。5歳のボーは、血のつながらない「父さんたち」に、自分がもらわれてバラードクリークへやってきた話をしてもらうのが大好き…。美しい自然と、心でつながるやさしき人々の姿。2014年スコット・オデール賞受賞!(BOOKデータベースより)


子どもは実の母親に育てられるのが一番幸せだなんて、思い込み!みんなで育てる。地域で育てる

大柄なスウェーデン人と南部出身の黒人の二人の父さん(ゲイカップルではない)に天真爛漫に育てられたボー(この子がかっわいいの)。母親はそりゃあヒドイ人で、赤ちゃんだったボーを二人に押し付けてどこかへ行ってしまうんですね(行ってくれてよかったけど)。アラスカなので、親友はエスキモーの少年で、ボーは先住民族や世界の色んな国からやってきた色んな人たちに囲まれて育つのですが、これがもう温かいんです。町全体が一つの大きな家族みたい。子どもたちは疎ましい存在ではなくて、愛おしい存在で、みなが可愛がってる様子にこちらまで幸せな気持ちになってくる。船がアメリカ本土から生鮮食品を運んでくると、ロードハウスと呼ばれる雑貨店にわっと住民が押しかけてすぐ売り切れてしまう(小笠原みたい!)のですが、主人のミロは町の子どもたちに15人全員分のオレンジをいつもきっちり取っておいてくれて、渡しそびれのないようオレンジの皮に一人ひとりの名前を書いていたりするんです。こんなところも好き

さて、アラスカといえば、星野道夫さんを思い出すわけなのですが、やはりアラスカの厳しい自然が人と人とのつながりを温かくさせるんじゃないかと思いました。多分ね、あの大自然の中では人間同士のいざこざなんてちーっぽけなものに思えるし、協力しあっていかないと生きていけない。この素敵な人間関係が果たして都会でもできるかと問われると・・・疑問です

そうそう、星野道夫さんの写真展で何が衝撃的だったかっていうとですね、NHKか何かの放送が流れていたのですが、星野さんの顔の周りを飛び回る、とてつもない数の蚊(笑)。え?そこ!?って感じですが、今まで雄大なアラスカの自然を見てもそこにぶんぶん飛び回る蚊は見えてなかったんですね、だから衝撃的だった。で、この本にも蚊が当然出てくるわけです。夏は粉末殺虫剤をたいていて、煙で死んだ蚊がパイ皮にぽたぽた落ちてくるので、それを取り除くのがボーの仕事とか。蚊もやっかいですが、熊も出てきます。走っちゃいけないのに、走ってしまってあわや命を落とすところだったボー。お宅訪問をするのに相当の距離を歩かなくてはいけないので、銃を撃つのが得意なビッグ・アニーに同伴してもらわなければいけなかったり、物語全体に流れる空気はのほほんですが、やはり厳しい自然の中にいることを思い出させられます。

原書では続編も出ているようですね。翻訳されないかなー。


≪こんなときにおすすめ≫

・心がすさんでいて、心洗われたいときに
・人っていいなと思いたい、人を信じたいときに
・多文化共生の理想の社会を見てみたいときに
・とにかく美味しい食べ物がいっぱい出てくるものを読みたいときに(笑)
・金の採掘方法も述べられてるので男の子にも♪

黒姫山童話館&戸隠地質化石博物館

2016-09-23 19:52:11 | Shop & Caf


雨&雨のキャンプの日中はやはり屋内施設へいざ避難~(笑)。
まずは黒姫山童話館。ここは、絵本の森美術館と違って子どもも満喫できる作りになっています。その分洗練された感じはないけれど

常設展示としては、ミヒェエルエンデの世界、松谷みよ子の世界、桜井誠の描く世界の童話、信濃の民話、信州の児童文学コーナーがあります。ここで、初めてミヒャエルエンデの晩年の再婚相手がはてしない物語翻訳者の佐藤真理子さんだと知りました!そして、松谷みよ子さん。松谷さんも黒姫山に山荘を持っていたんですね~。知らなかった。そうそう、ここには、いわさきちひろの黒姫山山荘も移築されています。とてもこじんまりだけれど、居心地のいい小さな山荘!素敵なミニマムライフが見られます

個人的にココが好きなのは、桜井誠さんの常設展示があり、定期的にギャラリー展示も行われるから



桜井誠さんという名を知ったのは大人になってから。小さい頃は外国の文学の挿絵はぜーんぶ向こうのものだと思ってたんですよねえ。挿絵の画家が誰かなんて意識してないですもん。大好きなリンドグレーンのピッピシリーズが、実は桜井誠さんの挿絵だと知って、ああ私はこの挿絵で育ったんだなあ、と。以前『ミーチャとまほうの時計』という絶版本を2年くらい探し求め続けていたのですが、その挿絵を見たとき何とも言えず懐かしい思いにかられ、で、ピッピと同じ桜井さんの絵だってことが分かって、なんだかすごく感動したんですよねえ

黒姫山童話館で楽しみなのは、ミュージアムショップ。色んな絵本の絵ハガキが買えます♪ カフェのほうは・・・うーーーーん、利用しないかな




最終日は、次男が一番楽しみにしていた、戸隠地質化石博物館へ!こんなところに本当にあるの~!?ってくらいの山奥をずんずん進むと現れる廃校になった小学校。こんなところに通学してた人たちがいること自体がもはやスゴイ。それを利用して作られたのがこの博物館。残念ながら三男が車で寝てしまい、起こすと大騒ぎするので私は車の中でお留守番でしたけどね。この日はちょうど採掘ミニ体験会のようなものがあり、行きたくないと渋っていた長男も目をキラキラさせて戻ってきました。楽しかったー!って。『海辺の宝もの』がより身近になったかな♪