『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

小室哲哉氏と怪物

2018-01-21 11:18:59 | ファンタジー:イギリス



『怪物はささやく』(2011年)パトリック・ネス著(シヴィーン・ダウド原案) 池田真紀子訳 あすなろ書房


小室哲哉氏引退ニュースを読んだ、今日の一冊は、2016年に映画化もされたコチラ。
芸能人のスキャンダルよりも、もっと流すべきニュースがあろうに、日本!・・・と思ったものの、今回思わずネットニュースを読んでしまったのは、「介護への思い」という言葉が目に留まったから。ああ、ちょうど感想を書こうと思っていたコチラの本とリンクしてしまいました。小室さんにこの本をそっと差し出したい。

読み終えての感想は、ああ人は誰しも自分の感情に向き合うことをしなければ、生きづらくなるんだな、っていうこと。感情に良いも悪いもなくて、ただ見つめてあげることが大事なんだな。自分の真実の感情を認めることが、いかに大切なことか。


《『怪物はささやく』あらすじ》

ある夜、怪物が少年とその母親の住む家に現われた―それはイチイの木の姿をしていた。「わたしが三つの物語を語り終えたら、今度はおまえが四つめの物語をわたしに話すのだ。おまえはかならず話す…そのためにこのわたしを呼んだのだから」嘘と真実を同時に信じた少年は、なぜ怪物に物語を話さなければならなかったのか…。(BOOKデータベースより転載)



ジム・ケイによるモノクロのイラストもとっても雰囲気があってよいし、紙の質感も分厚くて、装丁もいい。これ、デジタルでは味わえない感覚です。映画版は予告編しか見ていないのですが、色鮮やかにデジタル化されることで、なんだかチープな印象になってしまうのが残念。

さて、主人公は13歳の少年コナー。もうね、不幸のデパートみたいな人生で、なんでこんな小さな子がこんなにいっぱい背負わなくちゃいけないのー!?って感じなんです。

両親の離婚、祖母との確執、重病の母と介護、学校でのイジメ、孤独、それに加えて、毎晩悪夢にうなされて、ついには幻覚!?モンスターまで呼び寄せちゃう。うわああ、これは、叫びたくなっちゃいますわ。ダークです。

コナーの真実とは一体なんだったのでしょう?怪物に追い詰められても追い詰められても、本当にギリギリになるまで話せなかった真実。人によっては、なあんだということかも。理解できないくらい、些細なことかも。でも、分かる人には分かる。自分が死にたくなるくらい隠したい秘密、認めたくない感情だってことを。



■ 矛盾は悪いこと?人間は矛盾した存在

この物語を読んだとき、驚いたんです。こういう物語が西欧から出てきたことに。だって、とっても東洋的。西欧はキリスト教の影響が強いので、どうしても善悪二元論的な物語が多いのだけれど、この物語に描かれているのは、人というのはもっと複雑で、善なるものも悪なるものも同居できるし、もっといえば善も悪も本当はナイということ。それを怪物が語る寓話的な三つの物語が分かりやすく教えてくれる。人間には色んな面があるということ、矛盾を抱えて存在しているということ。

あ、感情に良いも悪いもないってことは、直接的にこの物語に書かれているわけではなく、私自身がそう受け取ったということです。
うちは長男(現在小6)が小2~小4くらいにかけて荒れに荒れたので、私は必然的に色んな感情を向き合うことになったのですが、例えば怒りや恨みの感情っていけないと思ってたんですね。だから、長男はダメだ、このままではアブナイと思ってたし、正していかなければと今思えば何様的な、子どもをコントロールしようとしてた母親でした。だって、社会的に迷惑かけるような子にしちゃったら、親の責任でしょう?って思ってた。

ネガティブな感情はダメ!だから押し込めなくては。そうやって、うちの長男もコナーのように自分を否定し、怪物を呼び寄せ、暴れていたのかもしれません。思い出すなあ、母親である私が、余計にダークさを加速させてた子育て暗黒期(笑)。


■ 真実はなぜ大事?フタをしてはいけないの?


でも、違った。ネガティブと思える感情も否定したりするものではなくて、受け止めるものだった。良いも悪いもなく、どんな感情をもきちんと見つめる、受け止める。そして、それが真実に向き合うということ。真実が大事なのは、フタをしてはいけない理由は、それに向き合うことで、初めて自分のいる状況や困難をも受け入れることができ、克服していくことができるからなんだなあ。そうしないと、自分の中の怪物が暴れ出します。気づいて~、って。怪物は、コナーにこんなことを言います。

「人の心は、都合のよい嘘を信じようとするものだ。しかし同時に、自分をなぐさめるための嘘が必要になるような、痛ましい真実もちゃんと理解している。そして人の心は、嘘と真実を同時に信じた自分に罰を与えようとするのだ。」(P.201)


冒頭の小室さんがね、「僕は裁判所で執行猶予付きの有罪判決を言い渡され、裁判官から頑張るんだよという叱咤激励を受けまして、そのときの判決を見た時のような気分を文春さんの取材を受けた時、抱きました。」と述べていたんです。どうして、どうして介護で頑張ってるほうが、罪悪感を覚えて罰を自分に与えなければと思わなくてはいけないのでしょう?そんな思いを抱いてしまった自分を許せないから?いいのに、いいのに。思ってしまうことは仕方がない。疲れてしまうのも悪いことではない。そういう自分の感情、真実に向き合って、それを抱き留めてあげればいいんだなあ、ってこの物語は教えてくれます。

色んなことで苦しんでいる子どもたちにはもちろん、介護疲れしている大人にも差し出したい一冊です。


人生最後に思い出したい姿は?

2018-01-20 09:32:36 | ファンタジー:イギリス


『川の少年』(2003年)ティム・ボウラー作 入江真佐子訳 早川書房
RIVER BOY(1997) by Tim Bowler 


今日の一冊はコチラ。1997年にイギリスでカーネギー賞を受賞した、ちょっと幻想的で詩的な物語。ティム・ボウラーの物語は美しい。ただ、入りこめる人とそうでない人に分かれるかも。

《『川の少年』あらすじ》
ジェスはおじいちゃんが大好きな15才の女の子。夏のある日、そのおじいちゃんが倒れた。最後の願いをかなえるため、家族はおじいちゃんを連れて故郷の川へ向かう。ジェスはそこで、不思議な少年と出会った。その少年に導かれ、ジェスとおじいちゃんの運命は大きく変わっていく。(BOOKデータベースより転載)



年をとると、みな頑固になりがちだけれど、まあ、このおじいちゃんの頑固さはすごい、びっくりするくらい。それでも、家族から受け入れられているおじいちゃん、孫から愛されているおじいちゃん、幸せだなー。
と、作者が伝えたいところではないところにも、まず感心してしまう。自分だったら、こういう風に接することができるだろうか、とか色々考えてしまう。

さて、本当は入院していなければならなかったおじいちゃんは、わがままを言って故郷へ向かいます。病院で死にたくないの、分かるなあ。だけど、周りは大変。

以下、あらわれた不思議な少年のネタバレ含みますので、ご自身で謎解き含め楽しみたい方はここまでで(忠告しましたからね~)。


■ 死が迫ると思い出すことは?

さて、ジェスの前に現れる不思議な少年、一体誰なのでしょう?

素直に考えればすぐ思い当たるのでしょうけれど、私は何かすごい仕掛けでもあるのかな?と逆に考えすぎてしまいました。おじいちゃんが過去に約束を果たせなかった、子ども時代に出会った子なのかな、とか。実は、おじいちゃん既に死んでいるのに、ジェスが受け入れられなくて、一緒に故郷に帰ったという幻想を見てるのかな、とか。(←想像力ありすぎ)

死ぬときって、どの時の自分を思い出しながら死ぬんだろう?天国(があるとしたら)に入るときって、死んだ時点の自分の姿で入るのかな?など、考えたことある人は多いのでは?

なんとなく、人は自分が一番楽しかった時代の姿か、もしくは逆に心残りだった時代の姿、いずれにせよ自分の中で忘れられない時代の姿になるんじゃないかなー、と思っていたので、少年の正体が分かったときは、だよね!って思いました。(←分かる直前まで違う想像してたのに 笑)


■ 思い(魂?)は時空を超える

時間は同時間でもね、例えば誰かを思いやる祈りのような気持ちは、空間こえて、思いやっている人のそばにいると思うし、逆に恨みも伝わる気がしている今日この頃。

だから、生きていてもね、心残りだった時代の‟思い”って霊になって、彷徨っていることってあるんじゃないかな、って思うんです。それが時代を超えて、やってくることって、あるんじゃないかなー。そして、一緒に過ごしたいのは、肉体があった時点ではまだ出会っていなかったかもしれない、大好きな人。だから、時空を超えてやってくる。『君の名は』みたい(笑)。
そういう意味では、この物語は、不思議でも何でもなくて、とっても自然なのかもしれません。



■ 人の一生は川のよう

美空ひばりの名曲にもありましたありました『川の流れのように』。

この物語でも、最後に出てくる川の姿は壮観!チョロチョロと流れる水源から大海へと流れ込む70キロの道のり。小さな流れが大きくて力強い海へとつながる。その光景を、不思議な少年は、川の一生を見ているみたいと言います。

「ここで生まれて、自分にあてがわれた距離を、あるときは速く、あるときはゆっくりと、あるときはまっすぐ、あるときは曲がりくねって、あるときは静かに、あるときは荒れ狂ってながれていく。最後に海に行きつくまでずっと流れつづけていくんだ。心がなぐさめられるような気がするよな」・・・「旅の途中で川にどんなことが起こったとしても、最後は美しく終わるってわかるからさ」(p.197)

途中は美しくなく、闘うことがあっても、最後は必ず美しく終わる。大海に注ぎこむ。そして、水源では、またすでに新しくまれた川が流れはじめる・・・。

なんて、壮大なのでしょう。
自然を見れば、人間の生も死ももっと自然に受け止められるのかもしれません。

幽霊からの返事?『ガラスの封筒と海と』

2017-10-02 20:42:01 | ファンタジー:イギリス


『ガラスの封筒と海と』(2017年)アレックス・シアラー作 金原瑞人&西本かおる訳 求龍堂
A MESSAGE TO THE SEA,2016 Alex Sheare



いつも絶版本ばかり紹介しがちなので(だって、埋もれてるのモッタイナイんだもの!)、たまには新刊本をば。というわけで、今日の一冊は、ガラスをイメージした透明カバーが素敵な『ガラスの封筒と海と』です。なんて爽やかな装丁。ちなみに原書はこんな感じ↓



«『ガラスの封筒と海と』あらすじ》
舞台は、イギリスの港町。船乗りの父を海で失った少年トムは、母親が悲しむと知りつつ海に憧れる気持ちを止めることができない。
ある日、車の中のラジオから流れてきたポリスの‟メッセーイ イン ア ボトル”という曲を聞き、海にガラスのボトルに入れた手紙を流そう!と思いついたトム。果たして返事は来るのか・・・。
そして、ついに見つけた返事は思いもよらぬ男からの返事だった!幽霊とのやりとり?これは誰かのいたずらなのか現実なのか。謎の男、テッド・ボーンズとやりとりするうちに、トムは本当に自分が海に送りたかったメッセージはなんだったのかに気付き、最後の手紙を送る。諦めない勇気と希望の物語。



■ ネット時代だからこそ、読みたい物語


なんでも、ネットで済んでしまいがちな今日この頃。ああ、こういうワクワク感忘れてたよなあ、って。ネットは便利だし、私もどちらかといえば依存気味(←)なのだけれど、でも、お手紙が来るあのワクワク感を知ってる世代としては、‟時間がかかる”からこそのワクワク感忘れてたよな、って。それは、‟待ってる時間”の愛おしさ(イライラ含め)。
手紙を入れたボトルを海に流す・・・それ自体は、それほどの冒険じゃないのに、心の動きは大冒険にも匹敵するくらい感情が揺れに揺れるから、面白い。

SNSがあふれて(私も活用してるけど)、面白くなった半面、想像するという楽しみは奪われた気がします。あの人今ごろ何してるのか、いまごろどこを旅しているんだろう・・・そんなことを想像する楽しみ。リアルタイムで様子が送られてくるのには、少々ゲンナリな今日この頃だったのです

いつ誰が拾うかワカラナイ、大海原を旅してきたボトル。想像するだけでロマンが広がります。しかも、それに返事が来たら?昔、風船に手紙をつけて飛ばしたことを思い出しました



■ 海の非情な現実

この物語のいいところは、海の非情さも淡々と描いているところ。観光客は「素敵~。こんなとこ住みた~い」っていうけれど、冬のつらさや生活苦も海のそばで暮らす人たちは知っている。そして、海の非情さを知ってるから、自然を前にとても謙虚なんですね。一神教の西欧人は、自然をはじめとした森羅万象に神を見る日本人と違って、自然は「征服できるもの」と思う傾向にあるから、これは意外

海はえり好みをしない。・・・中略・・・慎重な人も軽率な人も、わけへだてなく扱う。全員の命をうばうこともある。・・・少しでも常識のある船乗りなら、海を相手に勝ち目などないと始めから知っている。そして港に帰りつくたびに、自分の力だけではなく、運が味方してくれたから帰れたんだと思う。(P.57-58)

海の前では、誰しもお手上げ状態なのです。どの家族も親族たどれば一度は海に命を奪われた経験がある。それでも、離れられない海の魅力、魔力。全てのものを受け入れてくれる命の源とか、母なる海なんて、そんなふんわり優しいものじゃない。海はただただ淡々とそこにある。荒れ狂うときは荒れ狂い、奪う。人や時を選ばず。それを知っているから、海難事故に家族があっても、海を恨むということはないんだなあ。


■ 手渡し方が難しい

物語は、淡々とすすみ、地味にいい物語だなあ、と思うのですが、手渡し方が難しい。海外ではよく児童書(特にヤングアダルト本)でもプロモーション動画が作成されていますが、こちらは珍しく日本版もありました↓

ガラスの封筒と海と
※うまく動画が貼れなかったので、クリックしてくださいませ。

それがなあ、個人的には、なんだかなあ、なんです。なんだろ?こういうプロモーションの仕方だと、もっとドラマチックな内容を読者は期待してしまうのではないかな?と。感動!とか泣ける!とか、読者モニターの99%が満足!といううたい文句もなんだかなあ・・・違うんだよなあ・・・。急に薄っぺらくなってしまう気がして。私だけ?
そんな点でも、手渡し方というものについても考えさせられた物語でした。


ひたひた恐怖の古典『マリアンヌの夢』

2017-05-23 23:41:21 | ファンタジー:イギリス


『マリアンヌの夢』(2001年)341頁
キャサリン・ストー作 猪熊葉子訳 岩波少年文庫
Marianne Dreams (1958)


今日の一冊はコチラ↑
はい、猪熊葉子さんの訳にハズレなし!臨床心理学者の故河合隼雄さんもおススメの本です。でも、でも・・・ああああ、惜しい!!表紙が惜しい!・・・なかなか自分からでは手に取らないかも

昨日ご紹介した『ぼくが消えないうちに』では、正体不明のバンティング氏と、見るからに不気味な連れの暗い少女が恐怖でした。が、それはある意味お話にありがちな分かりやすい恐怖。ところが、この『マリアンヌの夢』のほうは、よりシンプルでありながら、より背筋が凍る感じなのです。きゃ~、ホントにコワイの苦手~。でも、読んじゃう、面白いから。

【『マリアンヌの夢』あらすじ】
病気になったマリアンヌは、自分が描いた絵のとおりに夢の中の世界が動いていることに気づきます。そして夢で出会った少年といっしょに、こわい夢を克服していきますが…。「不安」と「恐怖」をテーマに、子どもの心理を描いた異色のファンタジー。小学5・6年以上。
(BOOKデータベースより転載)


一気読み。
何がこわいってね、誰にでもありえそうだからなんです。苛立ち、嫉妬、自分の心の中の闇・・・。
マリアンヌは自分が描きだした憎しみ(目のある石)に悩まされることになるのですが、これがもーーーー!!!石に目が一つある、容姿はそれほどおどろおどろしくないのに、ひたひたと押し寄せるこの恐怖!ぜひ味わってみてください

河合隼雄さんも、深層心理学的にもこの物語は素晴らしい!と述べていらっしゃいましたが、それもそのハズ。作者のキャサリン・ストーさんは精神科医なんですね。マリアンヌが友情を感じたり、嫉妬を感じたりする相手のマークがこれまた、いいんですよね。病気ですっかり“どうせ僕なんて・・・”と思うクセがついていたのに、努力して自信を取り戻していく。マリアンヌの心の変容過程も素晴らしいです。

原書が書かれたのは1958年と古いけれど、古さを感じさせない
子どもの頃って、説明のできない、言語化できない恐怖におびえていたり、目に見えないものと戦っていたりするんですよね。それは自分だけじゃないんだ、っていうことをこの物語は教えてくれます。ファンタジーなのに、心理描写がとっても現実的で、暗いけれど、勇気をくれる名作です

読書苦手な現代っ子にも!『ぼくが消えないうちに』

2017-05-22 18:42:00 | ファンタジー:イギリス


『ぼくが消えないうちに』(2016年)
A・F・ハロルド作 エミリー・グラヴェット絵 こだまともこ訳 ポプラ社 326頁
THE IMAGINARY, 2014

今日の一冊はこちら『ぼくが消えないうちに』

活字が苦手な長男(小6)への本選びは、なかなか難しい。プライドだけはあって、高学年向きに見えないものは手に取りたがらないし、かといって、地味で描写から入っていくような物語にはついていけない。そんな読書の苦手な現代っ子もこの本ならいけるかもしれませんよ~。うん、サクサク読みやすい。

いままでも、空想上の友だちが出てくる話はたくさんありましたが、この話が新しいなと思うのは、この本の語り手が、人間側ではなくて、想像上の友だち側からであること。

【『ぼくが消えないうちに』あらすじ】
ラジャーは、アマンダが想像してつくりだした親友だ。ふたりはいつも一緒に、楽しい時間をすごしていた。しかしある日、アマンダがいなくなり、ラジャーはひとりぼっちにされてしまう。アマンダに忘れられると、ラジャーはこの世から消えてしまうというのに。大切な友だちを探す、奇妙でゆかいな旅がはじまった…!新しいイギリス児童文学!
(BOOKデータベースよりそのまま転載)


ケイト・グリーナウェイ賞を受賞したことのあるエミリー・グラヴェットの挿絵もいいです。エミリーさんが来日したときの講演会レポはコチラ


【ここがポイント】

◆ スリル満点!意外と怖くてゾッとする。

◆ 大人が読むと、ママが自分の幼い頃の想像上の犬を思い出すところに感動

◆ スピード感があり、追いかけられるさまがドキドキ!

◆ アマンダは想像力豊かなものの夢見る夢子とも違い、いい子過ぎないところが共感できる



私怖がりなのでね、アマンダとラジャーを執拗に追いかけてくるバンティング氏と謎の少女にはぞーーーーーっとしました。空想がいかに大事か。ある意味『はてしない物語』を別の形で分かりやすく伝えてくれているような。バンティング氏は『モモ』の灰色の男たちとかぶりますしね。

ただ、個人的にはバンティング氏がなぜ悪魔と取引してまで永遠の命を望んだのか、その背景についても描いてくれたらなあ、という思いがあります。ただの悪者に終わるのではなく、本当はバンティング氏はすごく寂しい人だったんじゃないかな、って。
アナザーストーリー、読んだ人が自分で書いてみたり、親子で考えてみるのもいいのかもしれません