『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

秋の夜長にさらりと読みたい

2017-12-10 17:24:21 | 日本文学


『アーモンド入りチョコレートのワルツ』(1996年) 森絵都著 いせひでこ絵 講談社

森絵都さんの物語はとっても読みやすい。シナリオライターだったんだ、ナルホド、納得。

13歳、14歳、15歳を主人公にし、音楽をテーマにした短編集。シューマン〈子供の情景〉、バッハ〈ゴルドベルク変奏曲〉、サティ〈童話音楽の献立表〉をBGMに物語たちも流れていく。音楽のようにさらさらと。秋の夜長に、ホットチョコレートを飲みながら読みたい感じ。

表紙カバーに、「三つのピアノ曲の調べから、きらめくような「あのころ」に語りかける三つの物語」とあるけれど、それぞれに透明感があるんです。ちょっとだけチクっとする胸の痛みを伴ったあの頃の思い出。不器用だけれど、一生懸命だった、まっすぐだったあの頃。

第1話、『子供は眠る』は、章くんと呼ばれるボス的存在の別荘で毎夏を過ごす、5人の従兄の物語。いつも命令ばかりしていて、自分より抜きんでることは許さない章くん。なぜ、みなに夜眠たくなるようなクラシック音楽を聞かせることを強要するのか、その秘密を知ったときには、ホロリと来てしまいました。人には、みなそうなった背景がある。そんな当たり前のことをあらためて感じさせられたり。

第2話、『彼女のアリア』はもうもう胸キュン。女子校卒の私には憧れの風景。そうすると、やっぱりこういう表紙出てきちゃうよね・・・



印象があまりにも変わってしまう。急に安っぽい恋愛ものになっちゃう気がして、ちょっと残念だけど、自分の好みにあった表紙を選ぶというのはアリなのかなあ。ちなみに、おなじ角川でも大人向けの文庫はコチラ↓



第3話、は普段は巡り合わないような、フランス人のおじさんが登場。熟年層の恋の物語が、なんだかいいんだなあ。え、自分がそちらの年齢のほうが近いから身近に感じるって!?こういうシチュエーションは、なかなか自分で出会えるものではないから、物語を読む楽しみ

読みながら飲みたいのは、ホットチョコレートだけど、読み終えた後は、ハーブティーを飲み終えた後のような、爽やかさと温かさを感じる物語たちです

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お久しぶりです。 (すきっぷ)
2017-12-10 19:24:11
随分ご無沙汰していました。
「アーモンド入りチョコレートのワルツ」なんてタイトルから優雅ですね。
甘くて少し苦い…完全に妄想突入です。

それでは、また。
お久しぶりです! (Shino(管理人))
2017-12-12 21:38:19
》すきっぷさん

お久しぶりです、嬉しいです~。
しばらく、更新されてないなあ、と思っていたら、ブログ移転されていたんですね!また楽しみに読ませていただきますね(^_^)

コメントを投稿