皮膚呼吸しか知らない蛙

アスペルガー症候群当事者が、2次障害に溺れることもありながら社会に適応していく道のりを綴っていきます。

知能検査解釈に関する提言

2008-09-30 21:17:30 | アスペルガー症候群
現在実施されているウィスクラー式知能検査はWISC-Ⅲ・WAIS-Ⅲだと思いますが、点数の出る検査と言うのは怖いですね。
ついつい『人より優れている・劣っている』って思いがち。

私は特に心理学を専攻したわけでも、その様な分野に携わっている訳ではありませんが、幾つかの大学図書館で閲覧した書物を読む限り、どうも誤解を招きかねない所があるんじゃないかと思いました。

検査で何かと気になってしまう所は、
・全知能(FIQ)
・言語性IQ(VIQ)
・動作性IQ(PIQ)
・ディスクレパンシー
・群指数
・下位検査数値

このあたりまででしょうか?
確かに分かりやすいんですよね、数値化されると。

基本的にクライアントの問題点となる箇所を全ての検査結果、検査時の所作、検査結果の間違え方の傾向、生育歴、カウンセリング等で感じたその人に対する感想等を『論理的に矛盾のないように解釈して初めて所見という物が出せる』ということが抜け落ちちゃってる事が往々にしてあるような気がします。


FIQの標準偏差は±15。
ですので平均と呼ばれる人達はだいたい85~115の中に入るだろうというのが前提条件です。そういう統計的検査であることに着目しているとIQの数値に踊らされることも少ないのかな?と思います。

測定標準誤差として信頼度95%でのFIQは±9とされています。
例えばFIQ=85(±9)という結果が出たとすると、「平均の下」という範疇になりますが、測定誤差として「平均」~「境界線」までの範囲内の信頼度が95%と言うことなので数値だけを見て判断は出来ないことになります。

言語性IQ、動作性IQについても同様で、2つの差(ディスクレパンシー)に関しても『それが有意な差』であるかどうかきちんと掘り下げた上で『有意』と判断される論拠が無ければただの数値でしかありません。

そのように考えると単純に言語性IQ>動作性IQという結果から『言語性有意』などという発言は減ることになります。


知能検査は多くの人間のサンプルを集積した統計的データからクライアントの知能を分析する検査ですが、その意味するところはクライアントの相対的差異を明らかにする事ではなく、クライアントの内側に起こっている絶対的差異を検証するシステムであるということを理解しないといけないと思います。

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