Something to Feel

"I'm basically happy person."

吐田君に言わせるとこの世界は/渡辺浩弐

2008年04月25日 | BOOKS
パンドラVol.1 SIDE-Bに掲載された渡辺浩弐氏の新作
「吐田君に言わせるとこの世界は」読み終わりっと。

わたしは渡辺さんの毎週更新コラム「日々是コージ中」を愛読しているのですが、
昨年の5月頃だったかな、渡辺さん癌の疑いがあるという記事をのせていました。
その後、8月くらいに、結局それはシロだったとまた記述していて、
ファンとしては一抹の不安がありつつも安心したのですが・・・
その頃、生死について色々考えて、「遺書のつもりで」書いた、作品なのだそう。

そんないきさつがあっただけに、どきどきしながら読みました。

いままでの渡辺作品と、明らかに違う何かを感じました
全作読んだわけではないけど、でも絶対に違う
作品に漂う色が違う。
生きる事に対する深い、肯定的な、希望、光を感じるんだ。
それは「精一杯がんばる」とかそういうストレートなものでなく、
明るい未来とかいう楽観的な世界でも決してないのだけど。
まわりの環境に流されながら、ただ時間が過ぎていくように見えるものなのだけど・・・
それは運命って言い方もできるけど、それを「選んでいる」のは自分でさ。
それでいいじゃん、って、そーやって時間過ぎてるだけでも、
実は変化があって、人って変わっていくのだと励まされるような。
とりあえず生きてみたら、と思える。

吐田君は止まって生き続けていたはずが、
消える命と新しい命の両方に「運命的」に?関わって、
そして最終的に、吐田君自身大きく変わっていく。
新しい生命に、自分を見いだすことで、変わっていくのね。
いわゆるトラウマも乗り越えられると信じたいと思う。
でも、その最初のキッカケ思いついて、実行したのは他ならぬ吐田君本人なんだよね。
そこに「運命」と「意思」の不思議な絡まりを感じるだよねー

この小説は深いなー。
いま、書きながら、色々思い出しても、なんか・・・
生命が続いていく不思議がある。
だけど描写は、とても現実的で、隣の部屋で起きててもおかしくなさそう。

単行本にならないかなあ。なったら絶対買うと思う。
そしてきっと何度も読み直すと思う。
けっこういまキツイ世の中なんじゃないかという気もするけど、
この小説、そんな時代の空気を感じる。
だけど、普遍的なものがあると思う。

・・・渡辺さんには健康で長生きしてほしいなあ・・・
もうすぐ講談社BOXのカフェ(KOBO CAFE)やるからというので
1日にものすごい量のコーヒーを飲んで研究とかしてるそうですが、
胃腸は大丈夫なんだろーか
これから先、きっとまたすごい作品が出てくる気がするので
倒れないでほしいっす

支離滅裂眠い

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