ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

百蔵山 ~秀麗富岳十二景の一座と猿橋~

2018-01-05 07:06:49 | 登山(伊豆・箱根・富士山周辺)

1月3日(水)

福泉寺前バス停→登山道入口→金比羅宮→西ルート分岐→百蔵山→西ルート分岐
→百蔵浄水場→猿橋→猿橋駅

2017年の山歩き納めは矢倉岳だったが
富士山がほとんど雲の中に姿を隠していたので
2018年の初山歩きは、どうしても富士山を見たかった。
矢倉岳に行った時、バスでご一緒した方から百蔵山のお話を伺い
正月休み中であれば電車もそれほど混んではいないだろうと
珍しく中央線沿線の山に行ってみることにしたのだった。


最寄駅6時28分発のJR宇都宮線に乗り、途中、浦和駅で京浜東北線に
南浦和駅で武蔵野線に、西国分寺駅で中央線に乗り換え
高尾駅で列車を乗り継ぎ、8時52分に猿橋駅に到着。

猿橋駅に降りると、まさに寒風吹きすさぶといった感じで
冷たい風が耳や顔を切り裂くように、音を立てて強風が吹いていた。
猿橋駅9時8分発の小菅の湯行きバスに乗り、9時21分、福泉寺前バス停で下車。

9時27分、身支度を整え、福泉寺参道を福泉寺に向かって進む。
途中、道路を曲がる場合には、道標が要所要所にあるし
ご近所の方が身振りで教えてくれたりもする。

バス停から歩くこと25分、9時52分に登山道に入る。

登り始めは傾斜も緩やかで歩きやすい。

時折後ろを振り返りながら登ると、登山口から40分ほどで樹間から富士山が見えるようになる。
今日は周囲に雲もなく、風が強いので、昼に頂上に着くまでこの姿が隠れることはなさそうだ。

登山口から40分後の10時32分、赤いお社の金比羅宮に到着。

中央に不動明王、左右に制多迦童子(せいたかどうじ)と矜羯羅童子(こんがらどうじ)。
それはいいとして、前面に並ぶ不思議な5人のお方はどなた?
しかもみなさん同じ衣装でポーズも同じ。
ご存知の方がいらしたら、コメント欄から教えていただけないでしょうか。


金比羅宮までで、既にダーリンとの差は目視できないほどに開いていたが
5分待ってもダーリンは現れず、結局ぴすけは先に出発。
金比羅宮からは傾斜がきつくなり、そこそこの急登であった。
なんの目的か不明なトラロープが張られていたが、歩きにくいことこの上ない
登下降の補助のためなら、せめて結び目くらい作っておいてほしかったし
登山道を外れないようにするためだったら、ロープを跨がずとも歩けるようにしてほしい。
いずれにせよもう少し工夫がほしいところだ。

10時50分、道標が立つ907mピークから連なる尾根に乗り
右に折れて尾根上をいったん緩やかに下降して、西ルート分岐に至る。

11時19分、西ルート分岐に到着。

あまり中央線沿線の山を歩いたことがないのでわからないが
山頂手前は植林帯なのか、見事なアカマツ林で、大変気持ちの良い場所だった。
ただ、頂上までの間、かなり風が強く、頂上で強風に曝されることを覚悟しながら登った。
ところが、途中から不思議なことにぴたりと風がやんで
風がやんだ途端に、燦々と降り注ぐ日の光に包まれて、体が温かくなってきた。

ドーン
11時35分、松林を抜けて開けた山頂に飛び出て南を見ると
秀麗富岳十二景の一座にふさわしく、富士山が気高く聳える姿が眺められた。

うひょ~

これは美しい。
富士山の手前に流れるように山々の稜線が重なり合い
その濃淡が、一層の奥行きを感じさせる効果を出している。
写真を撮りながら待っていると、8分後の11時43分に青息吐息でダーリンが到着。

目の前に道志の山々が見える場所に腰を下ろし、お昼を食べる。

山頂にいる間は無風状態で、この幸運に感謝しながら
富士山を思う存分眺めつつ、ゆったりと過ごすことができた。
少々がっかりだったのは、近くに来たパーティーの誰かの柔軟剤臭が漂ってきて
最近は山で出会う人の中に、強烈な香料臭を放っている人が増えていることを感じたこと
吾妻小舎にいた時も、たまに強烈な柔軟剤臭を放つお客がいたが
あの時から5年経とうとしている今、柔軟剤臭を放ちながら山を歩く人が増えているのだ。

山頂に百蔵大明神遺跡の碑があるので、かつては神様が祀られていたのだろう。
12時25分、下山を開始。
東ルートは利用せず、西ルートを分岐まで戻る。

12時35分、西ルート分岐を下和田・猿橋方面に下る。

下り始めて10分ほどで、ベンチが置かれた小広場があり
南に開けたその場所からは、これまた素晴らしい景色が眺められる。
百蔵山の山頂より高度が下がった分、山の谷間に見えていた市街地が隠れて
人工物があまり入らない写真を撮ることができる

傾斜も緩く危険な場所もない西ルートは、登って来る人たちも軽装だったり、運動靴だったりして
西ルートを往復するだけなら市民が気軽に散歩気分で登れる道なのかもしれないが
百蔵山の標高は1000mを超えていることや、福泉寺からのルートを利用するのであれば
靴を含め装備はしっかり準備して、冬季はアイゼンを持参した方が安全だろう。
ちなみに大月市のホームページでは、軽アイゼン持参を勧めており
この日使うことはなかったが、ぴすけたちも装備に加えた。


13時10分、浄水場方面と猿橋駅方面の分岐道標が現れ
少々悩みながらも左の斜面を上がる、猿橋駅を示す方向に進む。
これが失敗というか、予定以上に距離と時間を費やすことになったのだった
そうとも知らず、斜面を上がるともうそこは百蔵山登山口の駐車場で、その先は舗装路になっていた。

ダラダラと舗装路を歩くうち、突如として現れたのが和田美術館なる建物。
しかし、門扉脇の掲示板に一般公開はしていないと書いてある。
帰宅後、いろいろと調べてみても、得体が知れずよくわからない和田美術館であった。
和田美術館を過ぎて、なんだか浄水場らしき施設が右手に見えてきて
予定では、歩こうと思っていた道の左手に浄水場が見えなければおかしいので
先ほどの分岐で斜面を上がった選択が間違いであったことに気がついた。

道間違いをしても、浄水場を抜ける道路からの眺めはすばらしく、損して得取れの気分。

13時30分、百蔵浄水場を後にして、しばらく進んで驚いたのは
下山途中で追い抜いた2組のパーティーが、我々の先を歩いていることだった
道端で休んでいる家族連れに尋ねたところ、分岐を浄水場方面に下ったそうで
我々が蛇行する舗装路をダラダラと下る間に、直滑降に近い下りで時間短縮をしていたらしい。
これが響き、猿橋経由で予定の列車に乗るために、これ以降結構な早歩きを強いられることになった。

14時5分、一度来てみたいと思っていた猿橋に、やっと来ることができた。

猿橋は、実際に渡ることができる。

橋に並ぶ燈籠にはさまざまな切り絵が施されていて、見て歩くのもこれまた楽しい。

猿橋が架かる桂川渓谷の眺めも見事。

猿橋は橋脚がない特殊な構造で、橋の下部から眺めるとその美しさがひときわ目立つ。

猿橋の上から眺めて気になったのは、レンガ造りのトンネルと、そこに架かる箱型の橋。

橋だと思っていたものは、橋は橋でも八ツ沢発電所施設第一号水路橋で、轟轟と水が流れている。
この水路橋はなんと1912年の建設で、重要文化財だそうだ。
14時15分、猿橋を後にし、猿橋駅へと向かう。
乗車予定の中央線は14時50分発。
なんとか間に合いそうだ。

14時30分、猿橋駅に到着。

猿橋駅の構内には、秀麗富岳十二景が写真とともに紹介されている。
大変美しい風景写真なのだが、惜しむらくは退色が著しくパネルも汚れている。
大月市にせよ猿橋駅にせよ、素晴らしい景色を紹介する展示なのだから
景色が泣いてしまうような展示は改善して、見た人が行ってみたいと思うようにしないとね


猿橋駅14時50分発の高尾駅行きの列車は、予想に反して満員だった。
しかも、山頂で嗅がされた柔軟剤の臭いが引き鉄を引いたのか
下山途中で、休憩している人のお菓子の香料に吐き気を催し
駅で電車待ちの間や帰路の電車内での香料臭に反応して激しい頭痛に襲われた
帰宅しても割れるように頭が痛く、就寝前にやっと治まった。
山では、整髪料や香水などの臭いに反応したスズメバチに攻撃されることは知られている。
いくら冬だからといっても、近年は温暖化の傾向によって
完全にハチが活動を休止しているとは限らないそうだ。
香料臭を周囲にふりまきながら山を歩くことは自殺行為であるし
他者に対しても危険性を高めることをしていることになる。
無自覚に整髪料や柔軟剤などの香料を使用している人は
早く気づいて香料使用をやめてほしいと切に願う。



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2 コメント

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百蔵山 (Blume)
2018-02-03 23:26:27
こんにちはー
矢倉岳ではお世話様でした。
百蔵山に、行かれたのですね。
富士山、結構よく見えますよね。
リベンジ出来ましたね。 私もあれから富士山を山頂から見ましたが・・埼玉県の低山だったので、小さかったです(;'∀')
また、どこかで会えると良いですね(#^^#)
良い山を教えてくださいました (ぴすけ)
2018-02-04 11:44:35
Blumeさん、ようこそ当ブログへお越しくださいました。
矢倉岳では、楽しいひとときをありがとうございました。
あれから、Blumeさんのお写真を、FacebookやTwitterで拝見して、山の美しさや小鳥のかわいらしさに見とれております。

この日はお天気に恵まれまして、富士山がよく見えました。
百蔵山は危険な個所もないので単独でも行けますし、眺めも最高
お気に入りの山になりました。
教えてくださったおかげです。
ありがとうございました。

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