徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

量子の謎

2010年12月12日 | 物理

謎の量子力学の話をしよう。 量子力学が示す物質の振る舞いはとても、とても奇妙である。はっきり言うと、この現象を真に理解している人間は現時点で誰もいない(断言します)。アインシュタインの相対論は発表当時、理解しているのは3人しかいないと言われた。それは時空の変換というパラダイム・シフトを受け入れる難しさと、リーマン幾何という高度な数学的理解を要求されたからであるが100年経った現在ではそれは常識(古典)となり謎は無い。ところが量子論は根本の部分で謎を残しており、未だに真の理解に至ってはいない。

その謎は三つある。

1.観測問題

2.マクロ系のスーパーポジション (シュレジンガーの猫)

3.量子もつれ(Quantum entanglement)

観測問題とは何かというと、例えば二重スリットを通過した電子が干渉パターンを示す現象がある。電子は粒子のはずなのに波動方程式に従い波のような広がりを示し、二重スリットの右と左を通過する状態が重ね合わされている。ところがどちらのスリットを通ったか確認しようとしてスリットにセンサーを取り付けると重ね合わせは解消し粒子としての電子が検出され干渉パターンは現れなくなる。この干渉は電子を一時間に一個づつ個別に飛ばしても起こる(日立、外村)。この重ね合わせという状態は何を示しているのかについて喧々諤々、未だに明快な答えは無い。コペンハーゲンにあるボーア研究所が発信したコペンハーゲン解釈というのがある。これは、重ね合わせの状態は不定で無意味であり観測した瞬間に実在となるという考え方(解釈)で我々が従来持っていた認識と全く違う考え方である。これを聞いたアインシュタインは”月は我々が見た時にだけ存在すると言うのか”と呟いた。しかし、こうでも考えない限り、重ね合わせの状態というのは奇妙で理解不能な状態なのである。

もちろん、このコペンハーゲン解釈は一種の思考放棄でもある。そこで、これを説明しようとして、いくつかのほかの説が現れた。その代表としてエベレットの多世界解釈、ボームのパイロット波(量子ポテンシャル)等がある。多世界解釈というのは、重ね合わせの状態にある電子は右のスリットを通る宇宙と、左のスリットを通る宇宙が並行に存在しそのどちらかの宇宙に存在する観測者が其れを見る。というもので論理的な矛盾は見事に解消する。しかしである、量子過程が起こるたびに宇宙が分岐する?! 例えば原子崩壊の際の中性子の放出方向は量子過程であり360度球殻状の波動関数を持つ。とすると原子崩壊が起こるたびに、この全ての方向に応じた宇宙に同時に分岐しているというのか?原子爆弾が爆発するとき膨大な数の原子崩壊が起こり、其れが360度全ての方向への宇宙に分岐する!これではコペンハーゲン解釈よりも謎が深まった、としか言いようが無い。おまけに並行宇宙は干渉しないのでこれを証明するすべは無い。ボームの仮説に関しても支持する向きは少ない。つまり重ね合わせの状態を、証明付きで説明する理論は存在しないのである。D.リンドリーはその著書の中で ”結局、これはコペンハーゲン解釈のとおりで、我々が経験し得無い事は理解も出来ないのではないか。” と書いているが、これが正解なのかもしれない。 続く....



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