徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

海水魚と十円玉と鉄くぎ

2010年10月22日 | 海水魚・水草
海水魚飼育の基本課題は餌のタンパク質から生成される硝酸および燐酸の処理、その前段階のアンモニア処理、病気対策の四つである。アンモニア対策は良く知られている通りバイオ・リアクター(濾過器ともいう)によるアンモニアー>亜硝酸ー>硝酸反応で解決する。海水の場合これが安定稼動するには半年はかかる。しかしこの硝酸が蓄積するとpHが下がるし敏感な魚や無脊椎は飼えない。よってこれを除去する必要がある。従来の硝酸除去はひたすらの水換えであった。しかしここに来て嫌気性細菌による硝酸還元で窒素(N2)にして大気中に放出する方法が実用化されてきた。というとかなり大げさだが実際は穴のあいたタッパーにスポンジを入れ、中央に外部海水と直接触れないよう(嫌気性)にしたところに生分解性バイオ・プラスチックを詰めるだけでOKである。バイオ・プラスチックはバクテリアの餌となり硝酸をせっせとN2還元し硝酸濃度を下げてくれる。
一方、燐酸の処理もある。これも悩みの種だが思わぬ方法でしかも低コストで処理できる。鉄釘だ。こうなると眉唾ものと思われるかも知れないが水溶性の2価鉄が燐酸に反応すると燐酸鉄となる。燐酸鉄は水に不溶性。つまり鉄釘ー>2価鉄溶出(微量)->燐酸反応ー>燐酸鉄が起こる。不溶性の燐酸は濾過槽に蓄積するので半年に一回ほどドレイン除去する。
さて、次なる問題は病気の発生だ。実は私の水槽は長年病気が発生したことが無かった。ところがイソギンチャクだとかサンゴとか貝、えび等々の無脊椎動物を入れると数日で悶絶、死亡してしまう。長年その原因が判らなくて悩んでいたが、ある時ふと配管に真鍮部品を使っていることに気がついた。ははあ、これだなと思い部品をSUSに交換し銅吸着を行ったところ無脊椎の死亡は無くなった。ところが、である。その真鍮部品を取り去ったあとしばらくして白点病の大発生に襲われてしまった。無脊椎動物である白点原虫も銅イオンがなくなったせいで元気になってしまったようだ。いかんせん私の魚たちは長年白点病にかかったことが無く免疫耐性が無いため、ばたばたと死亡し水槽崩壊に至ってしまった。しかし、この経験からほんの微量の銅イオンが白点病予防になることがわかった。以来、水槽を再立ち上げし無脊椎は諦め十円玉を5枚ほど水槽に投げ込んで飼育を続けているが白点病は一切再発していない。以上、私のずぼら水槽は鉄釘と十円玉とバイオ・プラスチックで維持しているわけだ。
下の写真は記事とは全く関係ありません。ただのビーバー赤ちゃんです。


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