徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

福島原発 IAEAレポートより 4/5

2011年04月05日 | 福島原発

4月3日までのレポートの冒頭は、必ず下記の文言: 福島原発の状況は非常に深刻 で始まっていた。

 

1. Current Situation

Overall at the Fukushima Daiichi plant, the situation remains very serious.

しかし、今朝のレポートにはその文言が無い。

 

1. Current Situation

Power supply to the temporary electric pumps for water supply to the 

これはIAEAの事故認識の変化を表している、と考えるのは拙速だろうか。

 

 


福島原発 IAEAレポートより 4/4

2011年04月04日 | 福島原発

今朝のレポートで下記の記事が特出しされていた。 炉心冷却注入系が正常化したという内容だ。

日本人は強力なリーターシップの元で臨機応変に事態に対応する狩猟型の文化ではなく、合議に基く農耕型の文化なので、事故の初期対応は鈍いが一旦やることが見定まれば着実に事態を改善していく能力を持っている。 このモードになれば、もう大丈夫だろう。

 

Fukushima Nuclear Accident Update (3 April 2011, 17:15 UTC)

Japanese authorities today informed the IAEA of the following developments at the Fukushima Daiichi nuclear power plant:

In Units 1, 2 and 3, external power supply is now being used to power the pumps that are injecting fresh water into the reactors, thus replacing temporary electrical pumps.

The switch to external power supply occurred on 3 April at:

03:02 UTC (12:02 Japan time) for Unit 1.
03:12 UTC (12:12 Japan time) for Unit 2.
03:18 UTC (12:18 Japan time) for Unit 3.

Some lighting has been reactivated in the turbine buildings of Units 1, 2, 3 and 4.

 


いったい、どれくらいの放射能が漏れたのだ?

2011年04月01日 | 福島原発

今日のIAEA報告も特に問題は無い。また明るい話題としては、毎日新聞が下記のような記事を載せている。

海水ポンプ復旧にめど 原子炉冷却本格化へ

 東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発で31日、原子炉の冷却システムを支える海水ポンプの復旧にめどが立った。今後、ポンプと外部電源をつなぐ作業に入る。正常に働けば、原子炉の冷却に向けた対策が本格化する。

http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/news/20110401k0000m040129000c.html

これを信ずるなら一歩前進といっていいだろう。

IAEAの報告の最後にロシア、シンガポール、アイルランド、スイスの各国でヨウ素131とセシウム137が検出された、とある。レベルは数mBq/m3と低い値である。 放射能(放射線)は人の五感では感知できないので恐ろしい。しかし反面、計測器を使うととんでもなく高感度で検出出来る。いったいこの数mBq/m3という値はどれくらいの漏洩があればこうなるのであろうか?

例えばヨウ素131が1mBq/m3検出されたとして、これが地球大気に均一に拡散していると仮定する。その場合の総量は下記のように求められる。

原子の数(/m3) =Bq x 半減期(秒) / 0.693 

= 1 x 10^-3 x 8x24x60x60/0.693=997.4 (個/m3)

大気中の総数=997.4 x 5.25x10^18/1.293 = 4.05 x 10^21 (個)

大気中総重量 = 大気中総数/アボガドロ数 x 原子量 = 0.85 (g) //

空気密度 1.293Kg/m3 , 地球空気総量 5.25 x 10^18 Kg、アボガドロ数6.02x10^23/mol, ヨウ素131半減期 8日、ヨウ素原子量 126.9

なんと、驚く無かれ一円玉より軽い0.85gのヨウ素131が大気中に漏れ出せばスイスで検出されるのだ!プゥとおならをしたら地球の向こう側のスイス人にバレルなんて、あなた信じられますか。 あ、エイプリル・フールじゃありませんよ...

 


福島原発 IAEAレポートより 3/31

2011年03月31日 | 福島原発

昨夜、2チャンネルは下記の記事で盛り上がっていた。しかし、これは今後、再臨界が起る可能性を指摘しているものであって既に起った、と言うものではない。確かに可能性はまだあるかもしれないが、その確率は非常に小さいだろう。

3月30日(ブルームバーグ):国際原子力機関(IAEA)は30日のウィーンでの記者会見で、東京電力福島第1原子力発電について、「再臨界」の可能性もあるとみて、分析作業を進めていることを明らかにした。IAEA原子力安全局担当のデニス・フローリー事務次長は30日、「最終判断ではない」と発言。「局所的に起こる可能性があり、放出が増える可能性もある」と述べた。

 

再臨界といえば東海JCO事故ではバケツの中のウランが臨界になり、作業員2名が中性子被爆で亡くなっている。臨界状態になったウランは中性子を出し続け、そばに近づけなくなったが国からの圧力を受け、結局JCO社員の決死隊が被爆覚悟で突入しバケツを冷やすウォーター・ジャケットの水を抜くことで反応を止めることが出来た。

連鎖反応が臨界に達するには水が重要な役割をはたす。ウランが分裂するときに出る中性子は光速の5%の速度を持ち高速中性子と呼ばれる。光速の5%(1.4万km/sec)にもなると相対論的効果(ローレンツ変換)が現れ、動いている中性子から見た他の止まっているウラン原子が縮小し吸収断面積が減少する。こうなると連鎖反応が続かない。そこで中性子と干渉を起こす水を入れることで中性子は減速し、相対論効果は薄れ相対的に大きくなったウラン原子と衝突し連鎖反応が継続する。つまり、空焚きになったら連鎖反応は継続しないのである。軽水炉はこの理由で比較的安全と言われている。

IAEAの今朝の報告によると炉心温度は、1号炉ノズル281℃、炉底134℃、2号炉ノズル177℃、炉底88℃、3号炉ノズル75℃、炉底116℃ と、問題無しです。

福島原発 IAEAレポートより 3/30

2011年03月30日 | 福島原発

今朝のレポートではやはり滞留汚染水を問題視しているが、報道されている以上の情報は無い。炉心への真水注入は本来の注入ライン経由、電動ポンプ駆動で安定的に行われている。炉心温度に関しては下記内容のようにやや奇妙な点がある。1号炉の注入ノズル点では299℃なのに圧力容器底では135℃、3号炉ではノズルが61.5℃で圧力容器底で120.9℃となっている。特に大きな問題では無いが原因は調査中との事。

下の添付図は汚染海水の1週間後と2週間後の拡散を予測したものです。かなり沿岸沿いに広がり、仙台・石巻湾あたりに滞留する様子が示されている。現時点での海水汚染は大したことは無いが2号炉の1Sv超の汚染水が海水に流れ込めばかなり深刻な汚染を引き起こし、農作物に引き続き海産物の放射能汚染が現実のものになってくる。汚染水処理を急ぐ必要がある。

IAEA Briefing on Fukushima Nuclear Accident (29 March 2011, 16:30 UTC)

At Unit 1, there has been an increase in temperature at the feed-water nozzle of the RPV from 273.8 °C to 299 °C. The temperature at the bottom of the RPV remained stable at 135 °C. Temperatures at Unit 2appear relatively stable at the same measurement points. At Unit 3, the temperature at the feed-water nozzle of the RPV is about 61.5 °C and 120.9 °C at the bottom of the RPV. The validity of the RPV temperature measurement at the feed water nozzle is still under investigation.

 


福島原発 IAEAレポートより 3/29

2011年03月29日 | 福島原発

プルトニウムが原発敷地内土壌から検出されたと東電から発表がありました。0.54Bq/Kgとの事ですが、2号機汚染水などは1Sv/hrもの強い線量なので、この中には桁違いのプルトニウムが存在すると思います。東電は追々、大きな数値を発表してくるでしょう。

核燃料に含まれるプルトニウムが環境中に漏れ出してくることは、燃料棒融解 -> 排気ベント、格納容器破損の時点で想定されていました。問題はどの程度の量が、どれくらいの範囲に拡散するかです。原発建屋、敷地は相当汚染されていると思います。あと、煙突(120m)から放出されたベント水蒸気にまじって周辺に拡散している可能性と海洋汚染が考えられます。

ただ、しつこく言いますが、今回の事故ではチェルノブイリのように炉心爆発、火災を起こしたわけではなく水蒸気ベントと汚染水の漏洩が起っているだけです。平和な時の日本であればこれは大騒ぎしてもおかしくは無いですが、今回のような危機的な状況の中でこの程度で収まった事は”不幸中の幸い”だと思います。

また、トレンチに溜まっている汚染水の件ですが、炉心冷却や保管プールにジャカジャカ注水していた最中に、この水はいったい何処に行くのだろうかと思っていました。東電はこれを判っていたと思いますが、そろそろそれが溢れそうになってきて、次は海洋放出の段階が近づいてきたので敢えて発表したのではないかと推測しています。汚染水はトレンチの淵に近づいているので、この汚染水の海洋放出の可能性は高いと思います。蒸気ベントの大気放出の次は汚染水の海洋放出です。あのあたりは、私の好きな戻り鰹の回遊ルートに近いので、いい加減にしてくれと言いたいところです。

   

IAEAの今朝の発表は特に目新しい情報はありませんが、天野局長が福島原発事故の教訓を生かして原子炉安全指針を見直す委員会を立ち上げ、今夏までに方針を出すとのステートを発表しています。

上の二つのグラフはIAEAが今朝発表したヨウ素131放射能モニターの結果で、左が周辺主要都市の気中モニター、右が水道水中の量をプロットしたものです。両方とも順調に減少しており、事故以前のレベルに戻りつつあります。


福島原発 IAEAレポートより 3/28

2011年03月28日 | 福島原発

引き続き1-3号炉の圧力容器の温度は、徐々に下がりつつあり安定しています。現時点での最重要課題は海水ポンプ復旧による復水器(Condenser)の稼動です。このレポートでは1,2号炉に関して ”in progress" となっています。 復水器が稼動すれば、排気ベントの必要は無くなり、汚染は圧力容器内に封じ込めます。(圧力容器は全号機健全)

IAEA Briefing on Fukushima Nuclear Accident (27 March 2011, 13:30 UTC

At Unit 1, the temperature measured at the bottom of the RPV fell slightly to 142 °C. At Unit 2, the temperature at the bottom of the RPV fell to 97 °C from 100 °C reported in the Update provided yesterday. Pumping of water from the turbine hall basement to the condenser is in progress with a view to allowing power restoration activities to continue.

At Unit 3, plans are being made to pump water from the turbine building to the main condenser but the method has not yet been decided. This should reduce the radiation levels in the turbine building and reduce the risk of contamination of workers in the turbine building restoring equipment.

No notable change has been reported in the condition of Unit 4.

Water is still being added to the spent fuel pools of Units 1 to 4 and efforts continue to restore normal cooling functions.


福島原発 IAEAレポートより

2011年03月27日 | 福島原発

下記、IAEAのレポートでは1号炉温度144℃、2号炉温度100度℃、3号炉温度102℃と報告されています。 100℃以下が冷温停止の条件ですので、もう一息ですね。また海水から真水への転換も順調のようです。

IAEA Briefing on Fukushima Nuclear Accident (26 March 2011, 14:30 UTC)

At Unit 1, the main change is the injection of freshwater to the Reactor Pressure Vessel (RPV). The temperature measured at the bottom of the RPV is stable at 144 °C. Pressure in the RPV, containment vessel and suppression pool have come back down after having increased from 22 to 24 March. At Unit 2, the injection of freshwater to the RPV commenced at 01:00 on 26 March.The RPV temperature is stable at 100 °C at the bottom of the RPV. The pressure measured in the RPV and in the containment pressure vessel is stable at circa one atmosphere.

Freshwater is also being injected in the RPV of Unit 3. Temperature measurement at the feed-water nozzle of Unit 3's RPV is still judged to be unreliable, but at the bottom of the RPV it is stable at 102 °C. White "smoke" continues to be emitted as of 23:00 UTC on 25 March from Unit 3, as it does from Unit 4Unit 3 shows a consistently low containment drywell pressure of circa 1 atmosphere.


福島原発が、もう大丈夫な理由

2011年03月26日 | 福島原発

政府も、NHKを含む報道機関も福島原発事故について、なかなかもう安心とは言ってくれません。これは、避難している半径20kmの人たちの事を考慮しての事だと推測しています。うっかり、もう大丈夫などと枝野さんが口を滑らせれば、それなら、ワシャうちに帰ると言い出す方がゾロゾロ出てくるでしょう。それは、後処理を無人地帯で行いたい政府、東電にとっては管理しにくい事態となります。

その上で、特に海外で心配しているJICAの仲間に、原発事故はもう峠を越え、収束に向かいつつある事をお伝えしたいと思います。

まず、元々福島原発で何が問題だったかと言う事ですが、福島第一原発の全ての炉は地震直後に制御棒が正常に挿入され、ウラン核分裂反応は停止しました。ところが原子炉には厄介な崩壊熱という現象があります。核分裂反応は例えば、ウラン235原子に中性子1個が当たるとクリプトン92+バリウム141に分裂し中性子3個を出します(235+1=92+141+3)。このときに出るエネルギーで熱を発生し水を水蒸気に変え発電します。この例ではウランはクリプトンとバリウムに変わりましたが、その他の色々な組み合わせで分裂を起こします。つまり、原子炉を運転するとウランから色々な物質が生まれて来るわけです。プルトニウムもその一つです。これらの核分裂生成物は安定ではなく、例えば問題になっているヨウ素131などは半減期8日で分裂し別の物質になります。こんな不安定な物質が使用中、使用済み核燃料にはぎっしり詰まっていて炉が停止した後も、それらが次々と自然に分裂を起こし熱を発する現象を崩壊熱と呼んでいます。

崩壊熱がいつまで出るかは下記のサイトを御参照下さい。停止一分後には定常出力の2%になり、一日後に0.5%、10日後に0.3%と徐々に低下してきます。今日現在は停止から2週間経っているので0.2%程度で、かなり冷えた状態になっています。

http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/kid/safety/decayhea.htm

原子炉停止した後に、この崩壊熱を取り去る必要があるのですが、福島原発ではバックアップ電源等が津波にさらわれた為、原子炉は崩壊熱により圧力と温度が上昇してきました。本来ならECCS(緊急炉心冷却)が働いはずであったのが、その電源が絶たれたのです。これを放っておくと圧力で炉心ごと吹っ飛び、最悪の事態になります。それを避けるため、海水を炉心に注入し炉心を冷やし、それで発生した水蒸気を排気ベントにより外部に放出を行ったわけです。

ここで予想外の事態が起りました。一つは注入した海水が炉心の燃料棒を満たすレベルに達せず、燃料棒の上部が海水から出て空焚き状態になり加熱して融解したこと。これにより本来であればジルコニウム菅の中に封入されているべき燃料と、核生成物が圧力容器内に漏れ出てしまいました。この漏れた核生成物は、ベント水蒸気と同時に大気に放出され今、報道で大騒ぎしています。ただ、幸いなことに燃料棒の上部は溶けましたが下部は海水につかっており、溶けた上部も下の海水に落ちて冷え固まっていると思います。このため、圧力容器の底が加熱することは無く、底が抜けて水蒸気爆発を起こしたり、再臨界で核反応が起ったりすることは避けられています。海水を注入している限り、この問題がこれ以上悪化する可能性はありません。

もう一つの予想外は、海水を注入したためバルブが塩で固まって上手く圧力が抜けない状況が起ったことです。これにより2号機の格納容器が破損しました。(3号機も同じだと思います。)ここでも幸運が日本の味方をしました。福島第一はBWR・Mark-1型といって最も古い型の原子炉で格納容器がドライチャンバーとサプレッション・プールという円環(トーラス)部分に分かれていてその二つは熱膨張を吸収するためのジャバラで接続されています。(蛇腹、ジャバラ、解りますよね。) 圧力が高まった2号機(+3号機)はこのジャバラ部分が、安全弁のように破れて内部蒸気が吹き出てしまいました。これが無ければ、格納容器は大爆発していたかも知れません。吹き出たものは、すでにベントで出していた水蒸気と同じもので、違いは煙突から出すか、ジャバラから噴出すかの違いだけで、環境に対する影響は同じです。ただ、現場作業にとっては大違いで、この破損で現場の放射線量は一気に上がったと思います。

世界中を仰天させた1,3,4号炉の水素爆発ですが、これは原子炉建屋で保管している使用済み核燃料プールから発生した水素が爆発したものです。(これはマスコミの意見とは違いがあります。)使用済み燃料は水中で保管され崩壊熱を冷却しているのですが、電源が停止したことで二つの問題を起こしました。一つは水の冷却が出来無くなりプールが沸騰を始めたこと。二つ目は水中の核燃料放射線で発生した遊離水素を外気に放出でき無くなり、水素が建屋に充満したことです。充満した水素は派手に爆発し1,3,4の建屋天井をふっ飛ばしました。(2号は壁だけ)ただ、格納容器はこれくらいではビクともしないぐらい頑丈に出来ているので、炉心は保安されています。もう一つのプールの沸騰ですが、プールは15mの深さがあり燃料棒(4m)の上を11mも水で覆っています。この11mの水が全部沸騰して無くなれば燃料棒はむき出しになり、やばいことになります。しかし、どう計算しても1週間くらいでは水は無くならないのです。水の蒸発潜熱は非常に大きいので、ストーブ並みの発熱量の核燃料では簡単には無くなりません。おまけに、自衛隊や消防隊がやっきになって水をかけまくったので、プールはあふれています。よって、この問題もこれ以上悪化はしません。ちなみに、保管プールからは水素が発生を続けていますが建屋が吹っ飛んでいて溜まらないので再爆発はありません。ただ、局所的にたまった水素が、ボヤを起こしてゴムや油に延焼し、時々黒煙を上げているのではないかと思います。

また、保管燃料棒が破損していない間接的な証拠は100km離れた下記の女川原発の放射線モニターで得られます。ここの、特にMP2はベント直後は3600位まで上昇しましたが、その後は単調低下しています。もし保管燃料が溶け出して封入が破れた場合は放射性ガスが漏れてこの値が再度上昇するはずですが、そうなっていないので私は保管燃料は保全されていると思います。

http://www.tohoku-epco.co.jp/electr/genshi/onagawa/mp.html

さて、恐れられるプルトニウムの漏出ですが、問題になっているヨウ素131(訂正セシウム134は固体)は気体になりやすく、ベントで外部に出れば拡散して環境を汚染します。しかしプルトニウムは固体です。これが拡散するには炉心爆発か保管燃料が火災で燃え上がり、灰として散らばるか位しかありませんが、そのどちらも起っていません。またIAEAの調査では、少なくとも20km地点ではアルファ線の検出はありません。(プルトニウムはアルファ線を出す。)よって、プルトニウムの大量放出は無いと考えています。(格納容器破損で、近辺には炉心の水と一緒に出ている可能性は残っていますが...)

結局のところ海水注入、蒸気ベント、格納容器(ジャバラ)破損、水素爆発、プール沸騰等が有りましたが最も重要な炉心と保管燃料は保たれおり、チェルノブイリのような最悪事態は避けられました。今後は電源が復旧し、10年ほどかけて徐々に後始末をしていく事になるでしょう。もちろん1-4号炉は、廃炉になると思います。


放射能ほうれん草を食べると、どうなるか?

2011年03月24日 | 福島原発

上の図は中央電力研究所がまとめた生体に与える放射線の影響です。

http://www.anshin-kagaku.com/kaneko.pdf

横軸は一時間あたりの放射線量率、放射線の強さです。ここではGyですがSvでも同じと考えてください。

縦軸はその放射線を浴び続けた総量。放射線の強さ x 時間で、例えば左下にある自然放射線:10^-7Gy/hrを50年間浴び続けると10^-7x24x365x50=4.38x10^-2 となります。

今回問題となっている放射性元素はヨウ素131とセシウム134ですが、ヨウ素131は半減期が8日で、一ヶ月も経てば10分の一に減ります。これなら、ひと月くらいほうれん草を食べるのを止めれば済む話です。ところがセシウム134の半減期は30年なのでそうは行きません。

茨城県高萩市で取れたほうれん草のセシウム134は、国の暫定基準の500Bq/kgに対して524Bq/kgという値を示しました。ベクレル単位をSv・Gy単位に変換するのは簡単にいかないのですが変換に便利なサイトがあります。http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.php?guid=ON

コチラを使わせてもらうと、524Bq/kgのセシウム134は9.956uSv(uGy)に換算されます。この値はこのほうれん草を1kg食べ、50年間体内に留まり続けた場合、これだけ被爆する、という値です。

上の図では9.956uGyは枠外なので、例えばこのほうれん草を1トン食べると9.956mGyと言うことになり、やっと左端の下から2メモリ目に張り付きます。体に悪影響を及ぼすレベルとなると、そのまた1000倍近くを食べる必要があります。半減期を考慮に入れないとしても、1000トンの、この汚染ほうれん草を食べると50年後に何か悪影響が出るかもしれない、という事です。 つまり、ケッコウあほらしい話をしている、と言うことが御理解いただけると思います。

また、この図では空色で”生体に有効な領域”というのが示していますが、これが被爆者が一般人より長生きできる範囲です。このほうれん草を1000トンは食べすぎですが、100トン位に抑えておけば近藤先生みたいに長生きが出来そうです。

ちなみに、ヨウ素131は年齢依存性があり40歳以上の成人には影響は有りません。しかし小さな子供は甲状腺がん、になる可能性があるため、ここ一ヶ月ほどは汚染食品を与えず、ヨウ素剤を飲ませておく方が気分的には安心でしょう。(もっとも、1トンもほうれん草を食べる子供がいるとは思えませんが。)


福島原発事故 プルトニウム汚染について

2011年03月22日 | 福島原発

福島第一原発3号炉はプルサーマル・MOX燃料にプルトニウムを含んでいる。また問題となっている使用済み核燃料にも%オーダーのプルトニウムが含まれる。プルトニウムは最強の毒物でその汚染拡散が最も懸念される。それに関するデータが今朝、IAEAより出されているのでレポートします。

Fukushima Nuclear Accident Update (21 March 2011, 15:30 UTC)

I have no further information available regarding the measurement of alpha radiation. As I reported yesterday, from the measurements taken within the evacuation zone (20 km), no significant alpha radiation had been detected at that time.

プルトニウムは崩壊するときにアルファ線を出す。アルファ線は中性子2個、陽子2個からなるヘリウム原子核で紙一枚も透過しない、また空気中も数センチしか飛ばない。よって、プルトニウムの飛散を確認するには現地に赴いて、GM計測器で地面を丹念に当たって回るしかない。今回のIAEAの報告は炉心から20kmの場所で顕著なプルトニウムによる汚染は検出されなかった、と解釈できる。

 


放射能について

2011年03月21日 | 福島原発

大衆は簡単にパニックを起こす(私もその一人だが)。今回の東京の物不足がその一つの証拠だ。私が高校か大学の頃トイレットペーパーが無くなった時期がある。生産量は需要を十分カバーしているにも関わらずパニックに陥った消費者が必要以上に買い込み生産が追いつかなくなり、市場からトイレットペーパーが消えた。これは火事のとき出口に人々が殺到し、スムーズに逃げれば死ななくて済むのに、ほとんどの人が出口に折り重なって焼け死ぬのと同じ状況である。

ガラス張りの政府とか、全ての情報を開示せよ、などとマスコミは簡単にいうが、たとえば今回の福島第一の事故で発生した放射能(放射性物質)の問題を、政府はありのまま大衆に伝えるわけには行かないのだ。

その上で敢えて、低線量放射能は余り危険ではない、という事を主張したい。おいおい、お前いつから御用ブロガーになったんだ?という皆さんの反応が目に見えるようだが、私は科学的観点からこの問題を考えて見たいと思う。

一つの興味深いデータがある。 たとえば、こんな記述がある。

http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-02-05-05

(3) 低線量放射線による寿命延長

 高バックグランド地方に住む人々、核施設や原子力潜水艦に従事した人々は、しばしば低い死亡率を示すが、原子力産業で働いている作業員では骨髄性白血病のリスクが高いという報告もある。

実は、広島、長崎で被爆し被爆者手帳を持っている方々の寿命は我々より長い。それは多くの厳密な学術調査で確認されている。

http://157.1.40.181/naid/110001132359

今現在の食品等の放射線レベル基準は ”低線量毒性説”に基いて決められている。これは放射線被爆に閾値(しきいち)はなく、被爆量は少ないほど良いという仮説である。

しかし、考えてみれば我々は誰でも通常10mgの天然由来の放射性カリウム40を持っており常に3000ベクレルの内部被爆をしている。これは1mSv/年に相当する。確か、今回の汚染牛乳を1L飲むと33uSvになるらしいから、これは天然カリウム40被爆の30分の一である。

問題は、人類を含む生命体が放射線ダメージにたいして何らかの修正機構を持っているかどうかによる。近年の研究によればDNAは何重もの誤り訂正の修復機能があり低線量ダメージには十分適応できる機能が備わっていることが判ってきている。逆に、低線量を照射したラットの実験では放射線耐性が著しく向上するとのデータもありホルミシス効果として議論になっている。つまり、生命は進化の過程で放射線耐性の能力を得ているのだろう。

以上、現行法を規定している低線量毒性説には黄色信号が点り始めており、健康には全く影響の無いレベルで騒いでいる可能性が高い。

とにかく、正確な情報を知ることがパニックを起こさない唯一の方法なので各自がきちんと放射線被害に関する勉強をすることでしょう。(マスコミ情報は駄目ですよ。)

私は ”人は放射線になぜ弱いか 近藤宗平” を読むことをお勧めします。


福島原発事故 後記

2011年03月20日 | 福島原発

今朝の朝刊トップは ”燃料プール水温低下” となっています。 IAEAの最新コメント(19/Mar 14:00UTC)では、

 We still lack reliable validated data on water levels and temperatures at the spent fuel pools at Units 3 and 4. 

..と定量的なデータは無いはずなのに、ずいぶん楽観的です。先日のパニックタイトルといい、今日の楽観タイトルといい要は記者の個人的な気分が反映しているのでしょう。今後、報道は冷静で客観的、なんて事は一切言わないで欲しいものです。

かく言う私も、3号炉の爆発や4号炉の火災発生には肝を潰しました。と言うより、あの画像を見た瞬間、汚染物質拡散で自分自身や家族が血反吐を吐き、苦しんで死ぬ光景や、全人類が緩慢に絶滅していく光景が本当に脳裏をよぎり絶望的になった瞬間が何度かありました。しかし、最悪の危機はなんとか乗り越えました。

私は体力トレーニングのため毎日、近所の400mほどの山に登っているのですが、その上からは緑が出始めた春小麦の畑、耕作を始めた茶色のほくほくした土の色、咲き始めた菜の花の黄色、芽吹きを前にした木々など春の平和な風景が見えます。これがもし、福島原発が炉心爆発や保管燃料延焼を起こしていたら、沈黙の春を迎える事になっていたでしょう。

地震や津波、火山の噴火、台風などの災害は、被災された方は本当に大変だと思いますが、人類は過去何万年にわたって、ずっと相対し、生き延びてきた問題です。しかし、原発事故や核戦争と言うものは今まで人類が経験したことの無い絶滅につながる問題です。これは我々と、我々の子孫の為に本当に慎重に扱わなくてはなりません。

今後、福島原発事故は暫時的に収拾に向かうでしょう。(そう祈っています) 当事者でもある政府の発表も、主観的なメディア発表もあまり当てにならないので私は下記のIAEAのレポート

http://www.iaea.org/newscenter/news/tsunamiupdate01.html

を見ながら、今後の推移を見守りたいと思います。


福島原発事故 続報-5

2011年03月19日 | 福島原発

19日 6:30

やや気になるニュースがある。

 福島第一原発の放射線量、地上放水後に一時上昇

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110319-OYT1T00020.htm

13:50 3.5mSv、17:00 5.1mSv、20:00 3.6mSv と一旦上昇して元に戻っている。この程度の上昇は放水による3号炉建屋汚染物質の巻上げと考えてよいだろう。(燃料プルニウムによる汚染拡大とは考えたくない。)

一方、電源に関しては順調のようです。

http://www.asahi.com/national/update/0319/TKY201103180618.html

東京電力は19日未明、爆発事故などが続く福島第一原発に電力を供給する送電線の復旧作業について、予備電源変電設備までの受電が完了したと発表した。送電が再開すれば、原子炉を冷却するために必要なポンプなどを動かせる可能性がある。

19日7:40 プルトニウムの毒性について

プルトニウムはアルファ線(ヘリウム原子核)を放出し、これは空気中で数センチしか到達しない。だから飛散しても検出は困難、放射線量が低いからと言ってプルトニウム汚染が無いとは言えない。これを体内、特に肺に取り込むとα線が近傍肺組織のDNAを傷つけ下記のようなことになる。

http://www.ne.jp/asahi/hayashi/love/nuclear_plutonium.htm

成人の肺に沈殿したプルトニウムの粒子による肺ガンの生涯リスクはおおむね摂取量に比例する:

1マイクログラムのプルトニウム(0.07microCi)を摂取すると、ガンになるリスクが1%増加する(ガンが発生する通常の割合は20%)。
10マイクログラムの摂取は、ガンの障害リスク20%から30%に押し上げる。
100マイクログラム(7.1microCi)あるいはそれ以上摂取すると、数ヵ月後に肺の損傷が表面化し、最後に肺がんが発生(通常は数十年後)する。

注) 一円玉が1グラムだが、1マイクログラムはその100万分の1

19日9:30

IAEA(国際原子力機関)のホームページで福島原発事故のデータを公開している。

http://www.iaea.org/newscenter/news/tsunamiupdate01.html

原子炉破損状況 :http://www.slideshare.net/iaea/summary-of-reactor-unit-status-at-18-march-graham-andrew

原子炉詳細(水位、内圧):http://www.slideshare.net/iaea/technical-briefing-of-nuclear-safety-aspects-of-the-situation-in-japan-march-18

放射能被害状況:http://www.slideshare.net/iaea/technical-briefing-on-theradiological-situation-in-japan-renate-czarwinski-18th-march-2011

燃料保管プールに関する報告が無いのが残念だが、今のところ危機的状況には無いとの認識

19日10:15

放射線分解による水素発生過程に関する資料

http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-02-02-10

19日14:50

IAEA Update 4:30UTC(13:30JST)

特に深刻なアップデートは無いが下記の記事があった、

Unit 5 and 6

Workers have opened holes in the roofs of both buildings to prevent the possible accumulation of hydrogen, which is suspected of causing explosions at other units.

5,6号プールは水は満タンだが水素を抜くため天井を開放した。現場は遊離水素の件をちゃんとご存知のようですね。

また ヨウ素剤適用の推奨が20km退避住民に対して出ている。我々のような年寄りは飲む必要は無い。

 On 16 March, Japan's Nuclear Safety Commission recommended local authorities to instruct evacuees leaving the 20-kilometre area to ingest stable (not radioactive) iodine. The pills and syrup (for children) had been prepositioned at evacuation centers. The order recommended taking a single dose, with an amount dependent on age:

Baby 12.5 mg
1 mo.-3 yrs. 25mg
3-13 yrs. 38mg
13-40 yrs. 76mg
40+ yrs. Not necessary

19日19:10

先ほどの地震、震源は福島原発の極近だったが何とも無ければ良いが... 1,2号機の電源接続が完了したようだ。

東日本巨大地震で被災した東京電力福島第一原子力発電所で、冷却機能が喪失した1、2号機の配電盤兼変圧器に外部からの送電線を引き込んで接続する作業が完了した。20日朝から2号機内部の機器を点検し、その後、緊急炉心冷却装置(ECCS)などの系統につながる大容量のポンプを動かし、原子炉や使用済み核燃料貯蔵プールなどを効果的に冷やす冷却システムが稼働するかを確認する。同原発では、地震によって停電したほか、ECCSなどを作動させる非常用ディーゼル発電機も津波の影響などで破損した。(2011年3月19日18時29分  読売新聞)

 

 


福島原発事故 続報-4

2011年03月18日 | 福島原発

18日6:30

今朝のBBC(下記)によると二号炉は電源接続したとの事。 昨夜、現場作業員のTwitterで1号炉接続完了との情報もあった。順調に電源が回復しつつあるようだ。

http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-12779512

17 March 2011 Last updated at 20:17 GMT Engineers at Japan's stricken Fukushima nuclear power plant have successfully connected a power line to reactor 2, the UN's nuclear watchdog reports.

IAEAによると海水注入終了後、引き続き3号炉への接続を行うとの事 BBC.

The International Atomic Energy Agency (IAEA) said the cable had reached the site by 1730 local time (0830 GMT) on Thursday, and that engineers planned to reconnect power to the reactor once workers have finished spraying seawater over reactor 3.

17日8:00

今朝の朝刊で燃料発熱体の発熱量がストーブ4台分でそれが514体あるとの情報が北大・奈良林教授談としてあった。またプール容量が2000tとのアップデートがあったので計算をやり直して見た。

T = (プール深さー燃料棒長)x底面積x水蒸発熱量 / (燃料棒数 x 単位崩壊熱量 )

石油ストーブ4台分 2000Kcal/Hr x4 = 8000Kcal/Hr 燃料棒数:514 Total 4.1Gcal/Hr

水蒸発熱 2259(J/g) x 10E6 = 2.259GJ/t = 0.54 Gcal/t  底面積:133m2                

 T = (15-4)x133x0.54 / 4.1 = 192.7Hr = 8 days //

本日2時で7日経過なのでこれが確かなら後一日。ただストーブ熱量は800-2200Kcal/Hrで上記計算では2000を使ったが1000kcal/Hrなら倍の16日となる。北大の先生は上記に基き、一日あたり100tの水注入が必要だと言うし、阪大の先生はNHKで半分の50tと言っていた。(昨日の計算はこの50tベース) 安全係数を考えれば最悪、後一日と言ったところか。

ちょっと待てよ、100t/d なら T=(15-4)x133/100 = 14.6日だな。北大ストーブは1200Kcalと言う訳だ。あと一週間は余裕がありそうだ。

17日8:40

福島原発「前日からの顕著な悪化なし」、IAEA専門家

  • 2011年03月18日 08:16 発信地:ウィーン/オーストリア

こんなのもあるらしい、
東京電力福島第1原発の事故を受け、三重県四日市市の建設会社が17日、所有するコンクリートポンプ車を原発への放水に利用してほしいと国に申し出た。同社によると、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故を封鎖する際に 活躍した重機と同型で、国や東電は使用可能か検討している。 

18日9:43
3月18日(ブルームバーグ):原子力安全・保安院は18日午前6時現在、福島第一原子力発電所の使用済み燃料共用プールがほぼ満水であることを確認したと発表した。

18日14:00

自衛隊と東京消防庁の放水が始まった。 昨日のヘリと違い盛大に水をぶっ掛けている。50tonの放水らしい。これは効果が出そうですね。

18日15:40

電源復旧状況、本日中に1,2号機は復旧の見込み。

http://matome.naver.jp/odai/2130042663951761801

18日17:40

放水の効果について マスコミは放水前後の放射線量がわずかに下がったので効果があったとか、効果が無かったとか言ってますが、これは全くのナンセンスです。元々急いで放水しようと煽ったのはプールの水が蒸発して燃料が空気中にむき出しになり炉心溶融のような状態になっているとの憶測からでした。もしそうなら 1)水が空になったプールから何時までも湯気が上がり続けるのは何故か? 2)溶融でむき出しになった核燃料から発生した揮発性放射能量が急増していないのは何故か?の二点が矛盾しています。また、溶融が仮に起ったとして、そこに水をぶっかけると何が起るかというと、水蒸気爆発を起こして猛毒のプルトニウムを含んだ死の灰を巻き上げて一巻の終わりです。(スプーン一杯で2000万人死亡ですよ...)

保管燃料は既に数ヶ月の冷却期間を経ており、発熱量は炉心と違い石油ストーブ並みに落ちています。よって2000トンのプールの水を蒸発させるには数週間かかります。推定される事は燃料は放水前も水中にあり、放水後はその水かさが増えただけ、というものです。よって放水前後で放射線量に変化が無いのは当たり前です。私自身は自分で計算する前はNHKに騙されて、放水で灰を巻き上げて線量が急増することを恐れていましたが実際は変化なしでほっとしました。

なぜ、NHKの水野氏がプールが空になっていると勘違いしたかと言うと、4号炉の火災があったからだと思います。彼は火災は水素起因でその水素は水・ジルコニウム反応で発生したのできっと空焚きになっているに違いない、と思い込んだのでしょう。ところが水中に保管されている核燃料からの放射線で水素は遊離するのです。4号炉の火災はこの放射線による遊離水素が原因です。 

考えて見れば1,2,3号機の水素爆発も同じ原因の可能性が高いですね。解説の学者先生方は空焚きになった炉心の水・ジルコニウム反応で発生した水素が圧力容器と格納容器のシールを破って建屋天井にたまり爆発した、と説明していましたが、いくら水素でもそんなに簡単に分厚い格納容器を通り抜けるはずはありません。そんなことが本当なら夜店で売っている風船の水素ボンベはしょっちゅう中身が抜けてしまいます。炉心で発生した水素は大量の水蒸気ベントと同時に煙突から排出されたはずです。よって、1,2,3号機も保管燃料の放射線遊離水素が爆発したと見るのが妥当かと思います。 ちなみに、正常時はプールで発生した水素は排気ファンで外部に放出され爆発の危険はありません。5,6号機が水素爆発を起こさなかったのは、唯一動いている6号機の非常用ディーゼル発電のおかげで排気ファンが動いていたのでしょう。

放水は今後も続ける方が良いとは思いますが、その目的は水かさを増して保険をかけて置くという意味ですのでお間違えのないよう。 また、放射線量が少しずつ減少しているのは、今まで盛大に放出していた炉心冷却目的の海水から発生した放射性蒸気が崩壊熱低下により減少したもので、放水の効果では無いと思います。